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専門コラム 第123話 1棟が1千数百万円台のローコスト住宅の注意点

 

自慢にはなりませんが、筆者はいわゆるローコスト住宅を販売した経験がありません。

 

いずれもハウスメーカークラス、中には前回のコラムにも出てきた建築家クラスの比較的高い住宅を中心に売ってきました。

ですから今回のコラムのように、ローコスト住宅いついてあれこれ言う資格は本来ありません。

 

ただ最近テーマにしている「こだわりポイント」が明確な会社に、ローコストの会社が含まれていないのは、如何なものかと考えました。

そこで今回は、あえて筆者の不得意分野のローコスト住宅をテーマにしてみました。

 

ただ一言でローコスト住宅といっても、一般的なローコスト住宅もあれば、近年では価格が 1000 万円台を切る“超ローコスト住宅”もあります。

今回のコラムで扱うのは、一般的なローコスト住宅——価格で言えば、1 棟が 1 千数百万円台程度——を想定しています。

 

その上で「こだわりポイント」が明確なローコスト系の会社は、一般的な住宅と、どの点で違ってくるかを見ていきましょう。

  

     

1棟が1千数百万円台のローコスト住宅の注意点

業界には新たな「進化系ローコスト」の波が来ている!

  

筆者は住宅営業マンとして、比較的長い経験があります。

その中で、何か特別な理由があって、ローコスト系の会社を避けてきたわけではありません。

 

ただ現役当時を思い返すと、ローコスト系の会社は上から結論を急がされるのではないか、固定プランが多くてメーカーで学んだことが全然生かされないのでは、といったうがった見方をしていたことは否定できないでしょう。

 

でも少なくともいまは、ローコスト住宅といっても仕様は概してハイレベルです。また中には、自分が携わっていたハウスメーカーの仕様を、軽く超す建物も出てきています。

それにプランの内容も、下手に素人が手を加えない方が良いもの、有名メーカーを超えると思われるも、正直言ってあります。

 

住宅の基本性能も現在のローコスト住宅は、かなりグレードを上げてきています。

 

温熱・省エネ性能は、住宅性能表示基準の最高等級 4 をクリアしている会社もあります。

また耐震性能も最高等級 3 をクリアする会社もあるほか、全棟「構造計算書」を付けるFC系ローコスト住宅も出ています。

 

少し話が飛んでしまうかもしれませんが、近い将来、マニアックな設計重視の注文住宅とこれら進化系ローコスト住宅に、業界は二分されることも想像できます。

 

つまり以前の感覚でローコスト系を捉えるのではなく、新しいタイプの低価格でコンパクトな住宅がフランチャイズを中心に出てきたのが、現状のローコスト住宅ではないでしょうか。

   

     

ローコスト住宅は標準仕様をチェックせよ!

   

そんな中、営業マンの目でローコスト系の会社を選ぶ際に注意することは——もちろん皆さんのほうが詳しいと思いますが——会社の標準仕様をつぶさにチェックするということでしょう。

 

例えばその仕様を見たとき、ほとんどのお客様が会社の標準仕様で納得できること、また時間を掛けず仕様が選べることもポイントです。

 

ローコスト住宅がローコストで収まる理由は、お客様が会社の決めた仕様をできるだけ逸脱しないことに尽きます。

 

でもこれには住宅会社にも問題があります。筆者らが営業していた当時の住宅は、たとえメーカーであっても、仕様は悲しくなるほど貧弱なものでした。

 

ところが現在のローコスト住宅は、構成や選ぶのに時間がかかる照明プランも、プロのコーディネイターがプランニングしたものが、前もって用意してあります。これなら大抵のお客様が迷わず標準内で決めてくれるでしょう。

 

またオプションとなりがちな無垢フローリングも、準標準仕様としてはじめから設定されていれば、それほど大きな差額にはならないでしょう。

いまのローコスト住宅は、この辺がかなり徹底されて仕様が決められています。

 

逆にいまの住宅ユーザーが仕様を迷ってしまうような会社は、選択から除外すべきです。

 

会社を選ぶ場合は、建てる側の視点で、使える標準仕様となっているか吟味しましょう。そうすれば売り方がラクだと思います。

   

  

どうしても避けたい!いまどき現場監理不在のローコスト会社  

  

もうひとつ注意すべきことは、ローコスト住宅が欠陥住宅になってしまう危険性です。

 

いま現在のローコスト住宅は施工体制が以前とは違い、ある意味でシステマティックにまとまっています。

つまり現場監理にも、良い意味でマニュアル化が進んでいるのです。

そのため職人さんの時短体制や現場監督の不足などによる施工ミスが格段に減りました。

 

しかし大工さんが工務店を経営しているところでは、現在でも現場監督不在の会社、現場があります。

ローコスト住宅は時短体制で、より多く現場をこなすことになります。

にもかかわらず現場監督が不在では、かんじんのチェック機能が効きません。

 

 

ローコスト住宅に限った話ではありませんが、営業もお客様も、監督が不在の会社は、選択から外すことをおすすめします。

たとえ営業マンが良い人でも、そういう会社では長続きしきません、早晩辞めてしまうでしょう。

そして営業マンにとっても、とどのつまり不幸なことだと思います。

 

ローコスト住宅ほど、人員体制が重要になることを忘れてはいけません。

そのため最低でも、現場監理か監督ができる設計士を雇っている会社を選びましょう。

 

皆さまの健闘を祈っております。