専門コラム 第113話 芸のない長文レターでも、読んでいただける読者はいる!
ここのところレターを書く営業方法を否定するような内容が続きました。
しかし筆者は「書いて売る営業」しか、人様に誇れることがりません。
なので改めて筆者の営業体験を綴る形式で、コラムを書き進めたいと思います。
もちろんのこと、もう一度筆者が営業の現場に戻れたら、情報誌(ニュースレター)を武器に営業活動を進めると思います。
ただその際に用いるレターのフォーマットはいわゆるニュースレターの形式ではなく、もう一度基本に帰り、プレーンな横書きの何の変哲もない形式に戻してレターを書いてみたいと思います。
イラストや写真もないヒラのレターがいまのお客様に受けるか疑問ですが、筆者は特別なフォーマットを用いない、素直なスタイルのレターがいちばん好きです。
芸のない長文レターでも、読んでいただける読者はいる!
現役のころ、レターを書くなら大抵が社外だった
よく会社の事務所でお客様宛の長い手紙を書いていると、直接耳には入らずとも「そんな長い手紙を書いて、誰が読むんだ!」との同僚の影の声が聞こえたり、冷ややかな一瞥を感じたりすることがあります。
そこで筆者は「長文レター」を、社外で書いていました。ここで言うところの社外とは、車中や図書館、あるいは喫茶店などです。
理由は簡単です。
その方が集中して作業ができるからです。
そして無理して事務所で仕上げると、あとで失敗を後悔するからです。
なのでサンキューレター以外は、ほとんどが社外で仕上げたものです。
中でも図書館は空調もちょうど良く、レター制作スペースとしては最高の環境でした。
先ほどの同僚の影の声によく似たものに、お客様とのやりとりは、お客様も忙しいので「できるだけ簡潔且つ手短にまとめるべきだ。」と教える会社もあるようです。
確かにそれも一理はあるでしょう。
しかし、手紙まで簡潔、且つ手短にまとめなければいけなかと言えば、それは間違いだと言うのが筆者の考えです。
もちろん伝達事項を送るだけならメールもありますし、簡潔に伝えなければいけないものはそれ用の文章を使います。
ただ情報誌(ニュースレター)や戦略的に書くセールスレターは、伝えるべきそれなりの情報量が必要です。
さすがにいまは業務中に「パソコンの作業が長すぎ」と、茶々を入れることは少ないとは思います。
しかし一昔前までは、営業マンが社内のデスクで作業していたら、「営業なのだから、早く出かけて受注を取ってこい!」と追い立てられたと思います。
皆さんの会社では、いかがでしょうか?
レターが長くなるのは必要な情報を伝えたいから
まあそれは良いとして、——話を戻すと——芸のない長文レターでも読んでくださるお客様はいます。
誰が読むかと言えば、内容が面白ければ長くても読んでくれます。
もちろん発送したレターを全員が読むことはありません。
ただ長いニュースレターでも、面白ければ一定の反応があります。
ということは、興味がある内容なら必ず読んでくれる方がいると言うことです。
見学会などで再来場してくださったお客様から、ニュースレターの内容について質問してくれる方も現れます。
これは一定のお客様が長い情報誌や手紙を一所懸命精読してくれた証拠です。ニュースレターはこういう人のために書きます。
そして何より別段のアナウンスがなくても、筆者が独自に開催したひとり見学会に、それこそひっきりなしにお客様が来場されます。
この状況を一度体験したら、多分レター営業から離れられなくなると思います。
そして始めのうちはフォーマットなど無視して、ワードのいちばんシンプルな文書で作って出していました。
いま考えるレターの反応率は、その頃のがむしゃらな時期がいちばん良かったのではないでしょうか。
そして読者から数%でも見学会に再来場し、受注に繋がる行動を起こしてくれれば良いのです。
そして行動を起こすポイントは、送られたレターの内容の濃さ・充実度に比例します。
したがってレターが長文になることは、ある意味で仕方ないことなのです。
簡潔にまとめられないからではありません。
もう一度初心にかえり、丸腰で勝負したい!
で、なぜ再び営業として一線で活躍できたら、ニュースレター的なフォーマットを使わないでレターを書きたいかと言うと、筆者がもともと形式的なフォーマットを好まないというのがひとつと、もう一度初心にかえり、丸腰で勝負してみたいという気持ちがあります。
もしかしたらニュースレターの反応率は劇下がりするかも知れません。
それでもしばらく様子をみたいと思います。
筆者の営業マン時代を振り返ると、職業柄多くのことはその他多くの営業マンと同じように、会話によるコミュニケーションで受注を勝ち取って来ました。
そのこと自体には変わりありません。
ただ初期段階でのお客様との信頼の構築は、筆者の場合「書き言葉」にありました。
特にニュースレターを用いてからは、その比率はかなり増えたと思います。
つまり筆者にとっての営業の本質は、一つに書くことがあげられます。
ただそうは言っても、もう一度現役に戻ることは現実的には難しいでしょう。
だからこそ、皆さんの健闘を心より信じ、陰ながら応援を続けます。