専門コラム 第62話 自社のウェブサイトを大改革!コンテンツマーケティングへの取り組み(2)〜ブログは「信頼貯金」~
住宅業界におけるコンテンツマーケティングの成功例は、筆者の知る限り皆無に等しいと考えられます。
理由はいろいろ考えられますが、コンテンツマーケティングの方針を掲げていても、実際は外部ライターに依存する会社が多いという事が影響しているのではないでしょうか。
自社のウェブサイトを大改革!コンテンツマーケティングへの取り組み(2)〜ブログは「信頼貯金」~
コンテンツマーケティングは外部ライターに依存しないのが基本
コンテンツマーケティングというのは、外部ライターに依存しない事が基本になります。
もちろん、一定のルールを作り外部ライターを起用する方法もありますが、質の良いコンテンツマーケティングを実現することは、結構難しいと考えられます。
本コラム第60話で紹介したバズ部も、もとは外部ライターに依存しないスタイルを標榜していたように思います(今は違うようですが…)。
なぜなら多くの外部ライターは、特定のジャンルだけを扱っているわけではないからです。
どんなに優秀なライターでも、現場への細かな理解がなければ記事を仕上げることはできません。
ましてや、執筆ジャンルがいつもと違えば尚更です。
たとえば一般の外部ライターの場合、普段は美容について書いているライターが、住宅分野のコンテンツマーケティングを始めてみようと考えているクライアントの案件に平気で応募してきます。
またライター募集をするSEO会社も、そうしたライターを平気で登用します。
そのため、コンテンツマーケティングを実践しているサイトは、(少なくとも私の知る限りアフィリエイトサイトは見つかっても)出てきていないが現状のようです。
そんな中、テックブログ(デベロッパー系ブログともいう)には、コンテンツマーケティングを真剣に追い求めているサイトが幾つかあります。
今回は、クラスメソッド株式会社が運営する『Developers. IO』をご紹介したいと思います。
なお『Developers. IO』は外部ライターを使わず、現在は「全社員の3分の1ぐらいが記事を頻繁に書いて」いるようです。
なお、今回は「外部ライターを使う・使わない」の話ではなく、社内のいろんな書き手にブログを書いてもらった場合のメリットについて、共有したいと思いました。
今回記事を書くにあたって参考にしたサイトがあります。
それは『Marketeer(マーケティア)※1』というメディアで、記事タイトルは「オウンドメディアを文化にせよ|自社社員だけで作り上げた、月間200万PVを誇る国内最大規模BtoBオウンドメディア『Developers. IO』を運営するクラスメソッドに聞く、成功するコンテンツマーケティング」※2です。
本コラムでは、便宜上この記事から文章や文面を抜粋していることを、はじめにお断りしておきます。
また少々長いインタビュー形式の記事ですが、コンテンツマーケティングに興味があれば、ぜひともご一読をお勧めします。
※1(参考サイト) Marketeer (https://marketeer.jp)
※2(参考サイト) オウンドメディアを文化にせよ (https://marketeer.jp/yokota/)
「信頼貯金」と「返報性の法則」
クラスメソッドが運営するテックブログ『Developers. IO』は、現在約17000本の記事数を誇るコンテンツマーケティング・ブログです。
ただ当然ながら検索数からみると、当たる記事・当たらない記事が混在しているようです。
また「社内には、年間150本前後の記事を書くヒトが何十人もいる」のですが、記事をたくさん書いたから給料が上がるようなインセンティブは特に設定されていないそうです。
ただクラスメソッドの代表である横田聡氏によると、直接給料への反映がなくても、大量にコンテンツを作るヒトはスキルアップもそれだけ早まり、「結果的に給料が伸びやすくなるのは間違いない」とのことです。
そして横田氏はこうも続けています。
「確かに直接的には1円も入ってこないのですが、これをやっていると、信頼貯金が貯まるんですよね。
で、読んだ人はそれを「お世話になったから仕事をお願いしよう」とか「ここからものを買おう」という形でお返ししたいと考えるんです。
こういう風に、「信頼貯金」が貯まれば、最終的には結果に繋がっていくんだと思います」
横田氏が言っている「信頼貯金」とは、『ニュースレターの書き方・始め方⑤(本コラム第47話)』で触れた「返報性の法則」と同じ考え方です。
「返報性の法則」とは、相手から与えてもらった好意に、お礼したいという気持ちが芽生えるという考え方のこと。
この場合なら、たとえ検索数が伸びない記事でも、コンテンツの内容さえしっかりしていれば誰かには役立つ記事になるはず。
そしてその記事で助けられた人は、何かの折に、必ず仕事を依頼してくれるものだと、横田氏は言っているのです。
ここがはじめにお伝えしたかった、社内のいろんな書き手にブログを書いてもらった場合のメリットです。
「集客ではなくカルチャー」という意識
しかも『Developers. IO』では、記者の名入りで記事が公開されています。
またこれは、仮にクラスメソッドを退社しても自動的に消されることはありません。
つまりそういう人たちの社会的な価値は、記事を書くにしたがって上がり続けます。
これも『Developers. IO』に投稿する方々の大きなメリットと言えるでしょう。
また記事の後半で横田氏は「私たちがやっているのは集客というよりカルチャーなんですよ」と述べられています。
この「集客というよりカルチャー」という深い意味が、『Developers. IO』からよく伝わってきます。
私たちが日頃難しく考えがちな集客という概念が、企業文化と言い切れるのです。
なんとも素晴らしい文化ではないでしょうか。これが3つ目のメリットです。
社外パートナーを使って、マーケティングを上手く運用できている方もいるでしょう。
しかしコンテンツマーケティングを進めようという方は、社内リソースにこだわりブログを育てる『Developers. IO』の運営方法から、多くを学べるのではないでしょうか。