専門コラム 第304話 自分を喜ばせてあげることと天職
前の投稿では、自分のことを愛してあげる、自分自身を喜ばせてあげることの効用について書きました。そしてこれを突き詰めると、好きを仕事にするというテーマにぶち当たります。
これは、いまを以って、結論を出すことが難しいテーマです。二つは繋がるように見えますが、まったく別種のものだからです。
ただ好きを仕事にするとか、自分の天職が何かというテーマは、興味が尽きない話しです。それは自分が生まれて来た意味を探ることでもあるからです。そして筆者は結構早くから、自分が好きなこと、自分の天職について思いを馳せて来ました。
せっかく、自分を喜ばせてあげることの効用まで語ったのです。
そこで、完全ではなくても、自分が好きなこと、自分の天職について、逃げないで踏み込んでみようと思います。
はじめに自分を喜ばせることと、好きを仕事にすることの違いについて書いていきます。
れいによって長くなりそうです。
本編には続編が続くと思っておいてください。
自分を喜ばせてあげることと天職
ギターや音楽と長く付き合える方が幸せな理由
昨年のコラムで、20代の一時期にプロギタリストを目指してドロップアウトした友人のことを書きました。そして好きを仕事にするというテーマを考えたとき、否応なく、彼のことが蘇ってきます。
もちろん彼以外にも、人生のある時期、ギタリストを目指したことがある人はいるはず。
そして彼らの多くは、音楽、またギターという楽器に、ひとりの人間を夢中にさせる何かが詰まっていることを認めるでしょう。
理由は簡単です。
ギターに触っていると、不思議と時間の感覚がなくなるからです。
しかもギターは、固体として大きさも丁度いいんです。
先日、友人の電話で訃報を知った和田アキラという方[1]が居ます。
彼などは起きている間中、たとえ電話がかかって来ても、常にギターを離さなかったといいます。そのくらい和田アキラさんはギターの虫でした。
プロ・アマ問わず、彼のようなギターの虫は、他にも何人も居ます。
人は何かに没頭すると、時間を経つの忘れます。
ギタープレイヤーにとってその状態というのは、ある意味で当たり前なんです。
そして何かに没頭すると時間を短く感じられる方は、他につまらないことをやっている方と比べて、ほとんど年を取りません。楽器をやる人(つまり、自分を喜ばせる人)の多くが、一様に若く見えるのはそのためです。もちろんギターフリークも、そういった人種です。
たとえプロになれなくても、ギターや音楽と長く付き合える方は幸せです。同じ時間なのに、体感時間の長短で、彼らは皆若々しく生きられるからです。
[1] 1956年生まれ、2021年3月28日死去。
国内初フュージョンのオリジナルバンド PRISM のギタリストとして長く活躍。そのほかセッションマンとして多彩な活動を世に残している。
なかでも松岡直也&ウィシングでの流麗且つ“泣きのギター”は、ファンの間ではあまりにも有名。また彼はアイドルに、イギリス人のギタリスト、アラン・ホールズワースを掲げており、和田自身も難解なフレージングを本領とする本邦屈指のテクニシャン。
自分を喜ばせること、好きを仕事とすることの最大の違い
この他にも自分を喜ばせると、宇宙の波動と同調し、予期せぬ良いことが次々と起きます。
こちらの例は後で書くとして、逆に好きを仕事にする場合、いくつか注意点があります。
それは、
1)その道の学習者というレベルを超えることです。
プロを目指す場合は特にですが、いつまでもその道の学習者というレベルでは、苦しみが伴います。そして苦しみが伴うと、その人がどんなに熱中していても、付随して起こることはトラブルや災難であることが多い。
ここが自分を喜ばせることと、好きを仕事とすることの最大の違いでしょう。
それと、
2)あなたのそばにいるか方が、あなたが熱中していることに反対してもいけません。
同じように、そのブロックが様々なトラブルを引き寄せます。考えてみれば彼がそうでした。ドロップアウトしてチャンスをうかがっていたものの、当時の彼は音楽のプロ、しかもジャズでプロフェッショナルを目指すレベルではありません。
またそれに輪を掛けて、当時同棲していた彼女との諍いが絶えなかったことも、トラブルの火種だったかもしれません。しかも、彼女は筆者がギターに熱中していることに不満でした。
しかし彼女は音大卒です。幼い頃からレッスンを受け、コンサートプレイヤーとしてやっていけるか、将又音楽の先生止まりか、厳しく突き詰められてきたはず。いまにして思えば、そんな彼女が自分の感情論で、彼がギターに熱中するさまに不満だったとは考えにくいでしょう。
夢を断念して、もう一度彼はアパレルの仕事に戻ります。ただ、その後も相変わらずアマチュアとしてプレイを楽しんでいました。するとプロを目指していた頃より、ジャズ・イディオムがきちんと理解でき(ゆえに、演奏が面白くなり)、不思議と演奏できるクラブ数も増えていきました。
それだけではありません。プライベートでも良きこと、ハッピーなことが次々と起きました。まさに引き寄せ状態です。
音楽を職業とする難しさと自分を喜ばせることの違いは、こんなにも差が開くものなのです。
あれから色んなことが起きて、人生も様変わりを遂げました。当時を懐かしみ。むかしの音楽仲間から時折電話を貰います。 どう様変わりしたか。それは彼が健康上の事由から、ギターを諦めなければならなかったのです。
好きを仕事にするとは「自分の得意なこと」を探すこと
ギターを諦めなければならなかった理由、またそれによる精神的ショックを細かくは明かしません。ただ今度は、ギターに代わる何かを、見つけなければいけません。
というのも、彼がギターを諦めなければならなかった理由が必ずあるからです。
ただ、結論を急ぐ前に確認したいことがあります。好きを仕事に選ぶ際、必要なこと。それは、好きなことは自分の得意なことだという意識です。
人によっては、自分の好きなことが見つからないと言う方もいます。そういうときこそ、自分が得意なことを手掛かりに探してみるといいでしょう。
では、自分が得意なこととは一体何でしょう。
多少、乱暴な言い方かもしれませんが、それは特に練習しないでも、はじめから出来てしまうことです。
少し飛躍してしまうかもしれませんが、ワールドカップ・カタール大会で一躍ヒーローとなった、サッカーの三笘 薫選手。彼のドリブルは練習の賜物と言えるかもしれません。ただそれはドリブルというテクニックに磨きを掛ける段階の話しで、実は天賦の才というのが現実ではないでしょうか。
もっと卑近な例ではマンガを描くこと、ボウリングをすることが得意な方もいるでしょう。
また『沸騰ワード10』に主演する伝説の家政婦 志麻さんなども、「練習しないでも」料理が得意だった方かもしれません。
なかには、あまりに普通のことすぎるため、これまで自分が得意なことと、意識的に考えてこなかった方もいるでしょう。
次のコラムでは、何とか結論のようなものが見つけられればと考えています。
記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇
弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。
営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。
また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。