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専門コラム 第206話 私が考える「ニュースレター効果」について

    

前回、前々回と一般的な「ニュースレター効果」についてまとめてみました。

そして今回は、私が考える「ニュースレター効果」について伝えていくことにします。

読むと分かるように、筆者はニュースレターのことを「万能セールスツール」と考えています。
言葉を換えるなら、ニュースレターはセールスのオールラウンダーです。

過去にも同じことを書いているので、コラムをお読みの方には「何だ、あのことか……」と分かる方もいると思います。

ただ、大切なことなので、もう一度ここにまとめおきます。

それでは始めましょう。

  

私が考える「ニュースレター効果」について

1 ニュースレターは短期決戦客も効果がある

 

ニュースレターは短期のお客さまにも効果があることを、あらためて強調しておきます。

一般的な「ニュースレター効果」は、中長期客や顧客フォローという側面にどうしても光が当たります。長いものでは十数年も音沙汰もなかったお客さまから、リフォームの受注をいただくという話も実際にあります。
それには担当者からのニュースレターや年賀状などのお知らせが、長い間途絶えなかったことがあげられますし、それが一種の美談として語られることもあるようです。

ただそれが、ニュースレターをフォローツールとしてだけ使っている理由だとしたら、本来の「ニュースレター効果」を十分に引き出していないことになります。

もしそういう方がいたら、ニュースレターは短期客、いわゆる新規獲得客にも同じように使ってほしい。これが筆者の本音です。

つまり展示場や見学会で出会った新規客にも、リストに向けて毎月出しているニュースレターを、サンキューレターの次ぐらいに渡してほしいということ。

たとえば筆者は面倒な質なので、展示場や見学会で住所と名前を書いていただく際、
「こちらには一切訪問はしません」と言い切ってから、次のように続けました。

「ただ住宅のご計画がある方に参考になるニュースレターを、郵便でお送りしています。
きっと役に立つと思いますから、送り先とお名前を記入していただけませんか?」と。
(筆者と同じように、皆さんにも「訪問などしないように」と言ってはいませんので、念の為……)

すると「一切訪問はしません」が効くのか、
住所とお名前を記入しないお客さまは、まずいなかったと思います。

実際のところ、話が盛り上がって、お客さまから「土地を見に来てほしい」や「土地の資料を届けてほしい」と言われることもあります。
また感触の良いお客さまには、こちらから連絡してアポイントをとります。

でもニュースレターを使ってからは、こちらからあえて訪問することをしませんでした。
それはニュースレターのチカラ、パフォーマンスがどれだけのものかを把握したかった。つまり実験です。
(実際、このときの数字を細かく取って、暫く残してもいました)

すると分かったことがあります。
折衝していくのに十分なお客さまが、固定の住宅展示場や見学会に再来場してくれることを。

なぜそんなことが可能かというと、
約束どおりニュースレターが届き、レターの内容がお客さまの琴線に響くからです。

「琴線に響く」とは、お客さまの心に「理解、信頼、記憶」の3つの要素を作ることです。

 → 私のことをどんな人間かを理解している。
 → 私のことを住宅のプロとして信頼している。
 → 私のことをいつも記憶している[1]

それ以来、現役を続けた数年間、安定的に受注活動を継続できました。
それと言うのもニュースレターに、お客さまの心を射止めるチカラがあるからです。

残念なことに、こうやっても他社で決めるお客さまもいます。
しかしその理由は、訪問しなかったからではなく、展示場案内の仕方や、会社や営業マンの対応が筆者より上手だったということです。

何度も言いますが、このことは「訪問しない」営業を、推奨しているのではありません。

ただ出会ったお客さまには、可能な限り早い段階で、ニュースレターを渡してください。レターは一通送るだけで、お客さまを動かす力があります。
またそれによって、あなたは「住宅のプロ」、または「専門家」としてみてもらえます。

 


 

[1] 『「どうすれば」ではなく「どうなれば」お客さまは買うのか?』(2022.06.23投稿)

   

2 ニュースレターは集客にも使える

  

私が考える「ニュースレター効果」の 2 つ目は、集客にも使えることです。

このことでニュースレターは、見込み客フォロー、セールス、集客と 3 パターンの使い方ができ、まさにオールラウンダーとしての面目躍如を果たせています。

それゆえ極端ですが、セールス全般にわたり、ニュースレターだけを極めても良いということです。またこれは、ダイレクトレスポンスマーケティングで「コピー(レターを書くこと)が全てを解決する」との言葉を証明しています。

ただ集客としてのニュースレターは、セールスや見込み客フォローとは違い、完璧ではありません。ですから集客ツールとしてニュースレターを使う場合は、他の方法と併用することが求められるでしょう。

たとえばメインの集客は展示場・見学会を設定しておき、ニュースレターはサブで使うなどです。

言い換えるなら、ニュースレター単体の集客力、それ自体をあまり過信してはダメだということ。逆に言うと、展示場・見学会だけに自社の集客を依存するのも危険です。
ここに集客の難しさがあります。

それを熟知している営業はベテランになっても、多少忙しくても、飛び込みをスケジュール化しています。そういう営業は、他が苦しいときも、見込み客が途切れることがありません。

話が横道に逸れましたので、ニュースレターによる集客にテーマを戻しましょう。

ではどのようにニュースレターを集客に使うかですが、
使い方自体はとてもシンプルなもので、レギュラーで配布しているニュースレターを、飛び込みエリアに事前レターとしてポスティングをするだけです。

ただそれではあまりに策がなさすぎなので、自分や仲間の建築現場があれば、その周辺を狙ってポスティングをします。理由は現場が完成したら見学会に誘致できるからです。
現場が完成するまで最低 3、4 回、臨時号を追加して撒けば 5、6 回はポスティングできるでしょう。そして最後に配布するレターで見学会の告知レターを挟み込みます。

このとき無料レポートなどのオファーを付けることもよくやる方法ですが、筆者は「〇〇邸の見どころ」、「設計で苦労した点」などをまとめた、ニュースレターを普通にお渡ししていました。

元々見学会の多くは、以前も申したように[2]筆者独自の「ひとり見学会」をやることが多く、来場者が混み合うと、筆者が対応できずに帰る方もいたからです。

これで毎回 2 組ほどの新規を獲得できましたから、飛び込みに掛かる時間を考えても、ニュースレターのポスティングが、いかに効率の良い集客方法かが分かります。

なお予算がある方は、ニュースレターのポスティングを外注する方法もあります。
有名なものでは日本郵便が行う「配達地域指定郵便物」ですが、都市部ではポスティング専門の業者もいます。興味のある方は、探してみるのも良いでしょう。

 


 

[2] 『【備忘録&総まとめ】「ニュースレター効果」あれこれ (2)』(2022.01.01投稿)

   

3 ニュースレターは建築やファイナンス全般の知識を得るのに役立つ

 

最後にあげる商品知識に関しても、ニュースレターをテーマとしたとき、あまり触れられることがありません。

しかしお客さまに、何某かの文書を定期的に配信する場合、営業マンであれば大なり小なり商品知識的な題材は必要です。これがニュースレターとなれば、重要性は増すのが当然です。

ニュースレターの発行者側の利点は、建築やファイナンスなどの専門知識を得るのに役立つことです。

また必要に迫られて得た知識は、書いて伝えることで体系的に積み重ねていけます。そのためこのコラムでは、営業マンにニュースレターを自作することを推奨しています。

これもよく行う質問ですが、ある程度の高額な買い物をする際、
あなたならその商品が好きで周辺知識にも詳しい人から買うのと、そうでもない人から買うのと、どちらを選ぶでしょう?

また同じぐらいの知識はあるけれど、「商品を買わせるため」に知識を鼻にかける人と、判断基準がどこなのかを真摯にあなたへ伝える人だったら、あなたはどちらのタイプの営業マンに心を許すでしょうか?

確かにニュースレターを書き続けることは、営業にとって困難な面もあります。
しかしそれにも増して、我々営業はニュースレターから学べることはたくさんあります。

あなたならどのタイプの営業を目指すでしょう。

 

 

  

  

 

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。