専門コラム 第301話 知の資産を得ることの利点とは何?
「次回は知の資産を得ることの利点にも触れようと思います」という言葉を残して、先回のコラムを終えました。
ただ知の資産というものに全く興味が無い方もいると思います。
そういう方は、どうぞもっと他の有効な時間の使い方を選択してください。
これからお話しすることは、そういう方にとって恐らく退屈きわまりないことと思います。 もちろん知の資産の意味が分かると、お金が潤沢に得られる訳でもありません。
なのでお金が好きで堪らないという方にも、以降の話は全く響かない可能性があります。
知の資産を得ることの利点とは何?
「深く学ぶ」こと。それは義務とは違う
知の資産とは、このコラムでいうところの知識に該当します。
営業にとって非常に重要な知識とは、浅く攫った(さらった)ものではなく、先回のコラムでもお話ししたとおり、「深く学ぶ」ことで得た知識のことです。
という話を聞いて「深く学ぶ」ことを義務のように感じた方は、そもそもの学ぶ方向が、間違っている可能性があります。
たとえば住宅や建築より、もっと違う分野のことなら、ごく自然に深く学んでいたかも知れないということです。
これはよく思い出すことなのですが「いま住宅に掛ける情熱と同じくらい、音楽に情熱を掛けられたなら、多分音楽の分野でも一角の者になれるんじゃないか」と。
当時の筆者はこのように思うほど、本当にあらゆる本を読み漁り、住宅や建築の知識を吸収しました。
またそれとは別に、営業という仕事についても勉強しました。
筆者の頃はインターネットが大きく普及する前夜です。勉強と言ったら専ら本を読むしかありません。ですから空き時間は、よく書店に入り浸っていました。
ただこれらは義務でやっていたことではありません。
あの日を境に、ごく自然にやっていたことです。
いまふうに言ったら、自分への投資といえば良いでしょうか。
そして2000字程度の営業コラムを、3年にも亘り更新してこれました。そしてこれをこの先も続ける自信があるのは、自己投資を続けたからです。
こういうことが実現出来るのが、筆者が知の資産と呼ぶ所以です。
そして物事を深く学ぼうとする皆さんにも、受け継げる資産なんです。
独自の営業体験を後進にも伝えられる
どういうことかと言うと、皆さんには皆さん独自の営業体験があります。
その営業体験を自分の後輩達にも教えてあげれば良いんです。
たったこれだけです。
ニュースレター営業が成功したと言う方なら、ブログやメルマガの更新はお手のものでしょう。そしてその営業体験を文章に載せて伝えれば、十分オリジナルなコンテンツとして成立します。
またニュースレターにも独自の工夫が仕掛けてある場合は、そのアイデアをブローシャー(小冊子、パンフレット)に編集して販売しても良いでしょう。大したお金にはならなかもしれませんが、生活の足しになってくれそうです。
これをやるのに必要なもの、スキルといったら、本物の知の資産を保有することです。そうすれば、コンテンツの更新に躓くこともありません。
先ほども言ったとおり、物事を深く学んだ方は、一つの事をあらゆる角度で表現できる術を、すでに身につけています。そのため、同じことを繰り返し伝えられるのです。
私の小学校6年生を受け持ってくれた先生は、体育の時間にこのようなことを話してくれました。
「跳び箱4段を跳べる」とは、正面からだけではなく、4段を左右斜めから跳んでみたり、跳んで着地する際、蹴つまずいた場合、マット上で前転して起き上がる。
それが出来て、はじめて「跳び箱4段を跳べる」のだと。それば出来てはじめて、跳び箱4段を攻略したことになるんだと。
小学中学年を前に話すことではないかもしれません。
しかし先生の言葉は、なぜかいまも、子どもながらに憶えています。
ようは、表面ヅラを撫でるのではなく、本質が何かを学び取ること。
先生はこのことを僕達に伝えたかったのでしょう。
どうしても情熱を傾けられないとしたらどうする?
ではあなたが当時の筆者のように、住宅や建築について、どうしても情熱を傾けられないとしましょう。だからといって、むげに転職できない環境の方もいるでしょう。
その場合は、せめて本コラムに書いてあることを真似てください。
例えば筆者なら、サンキューレターがおすすめです。
それもどうせなら1、2回で止めて終わず、会える度に毎回書いてみます。
お礼のハガキや手紙ぐらいなら誰でも書けます。ただそういう小さな繰り返しだけで、お客さまの反応が変わってきたとしたら、それは目付け物です。
サンキューレターが書けたら、次はニュースレターです。
それもビギナーが書くA4版表面だけのもの。最初の挨拶文だけのレターを月一の割合で見込み客に配布しましょう。
多分これだけでも、あなたは自社の営業マンの中で上位に躍り出るでしょう。
そういう目の前のことを一生懸命対処していたら、今度は神様が、もっと情熱を掛けられる分野に、あなたを連れていってくれます。ないしは自分が、建築という分野に向いていることが分かります。
これに気づいた方は、自分のペースで己の知の資産を築けばいいのです。
そうして得た知識は、あなたを一生食べるのに困らない資産に育っています。
営業で得た知識というのは、本来そういうものです。
何も出版や本にこだわる必要はありません。いまは本や編集者のレベルもむかしとは違います。それより、己の知の資産をどれだけ豊かにするか。僕達はそこに神経を向けるべきではないでしょうか。
記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇
弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。
営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。
また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。