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専門コラム 第136話 無印良品の家が示す「教育」コンテンツとは?

 

良い意味でコンテンツに「教育」を感じるウェブサイトに無印良品があります。

 

そして無印良品にはハウジング部門として「無印良品の家」があります。

 

実は筆者、長年に亘り、無印良品の隠れファンとして商品を愛用してきました。

また「無印良品の家」についても、気持ちとして惹かれる部分は大いにあります。

 

また派手さはありませんが、思わず読み込んでしまう無印良品のコンテンツには、ユニクロとはまた別の「マガジン的」な面白さがあります。

 

多分、好き嫌いが分かれるところも多いと思いますが、今回は「無印良品の家」の魅力に迫ってみたいと思います。

  

     

無印良品の家が示す「教育」コンテンツとは?

良いものは持っていそうなのに「好き嫌いが分かれ」そうな「無印良品の家」

  

ウェブサイト「無印良品の家」には、「無印良品と家」コンテンツがあります。

これは会社が目指すコンセプトを掲げたページです。

 

住宅会社のコンセプトは、普通の会社なら、代表者の挨拶などで済ませるところも多いでしょう。

また会社が目指すコンセプトを示すのに、これだけのスペースをとって解説しているウェブサイトは、無印良品の他になかなか見当たらないと思います。

 

しかもそのほとんどはテキストだけです。

 

テキストと、効果的に——ここではヘッダーに、アンドレ・ジイドが世界一美しい村と言ったアフリカのカメルーンにある「ディリ」村の家、また中段には、端正に整理整頓されたいわゆる無印グッズの数々の——写真が挿してあるだけです。

 

 

会社によって「こんなページ、無くても良いもの」という考えから、通常ならいちばん先に消されているかも知れません。

でも消さないで、ゆったりとスペースを確保しているところに、“いかにも”無印良品らしさを表していると筆者は感じます。

 

はっきり言って、書いてある意味は万人に通じるものではないかも知れません。

しかし読む人によっては意味不明とも取れる長文を載せるところに、無印良品らしさ、無印良品の本来のコンセプトが詰まっていると思います。

 

そしてこの長文の最初の段落に出てくる「無印良品は、住まい手の方々それぞれが、自在に暮らしのかたちを発想でき、そして時に応じて変えられる丈夫で可変性に富んだ家をご提案いたします」という文章こそ、「無印良品の家」を端的にあらわしたものと言えましょう。

 

さすが堤清二氏が率いる、セゾングループの一員だったことを匂わせる社風(corporate culture)です。

 

ただ、そうした企業文化を理解できないと、「無印良品の家」は「分かったようでよく分からない」、「つかみ所がない」と誤解される向きもあるでしょう。

筆者が冒頭で「好き嫌いが分かれるところも多い」と書いたのは、そういう意味を含んでいます。

 

ただコンセプトは非常に概念的な「無印良品の家」ですが、他の部分は“とても分かりやすく”まとめられたウェブサイトです。

 

次に掲げる基本構造・性能等の解説ページは、それを表しています。

 

  

基本構造・性能等の解説ページは「無印良品の家」の「教育」コンテンツ

   

「無印良品の家」は「外の環境に左右されずに、室内の空気をいつでも、快適な温度と湿度に保つ性能を備えています」と「基本構造・性能」のページにある最初のパラグラフで説明があり、

 

  • 「安心・安全の理由」【耐震性】【構造計算】【耐久性】
  • 「快適の理由」【高断熱・高気密】【+AIR(全棟温熱シミュレーション)】【風・光環境】【温熱環境(快適性を数値で証明する、温熱計算)】
  • 「永く使える理由」【保証・保険】【長期優良住宅】
  • 「かたちの理由」【長期優良住宅】【住宅性能表示一覧】

 

上記のように4つの項目から、それぞれのリンクに飛ぶと、そこでは無印良品らしい“ゆったり”と“詳しい”解説ページが用意されています。

 

皆さんは現役の住宅のプロですから個別には言及しません。

ただ、これを見ると、「無印良品の家」がかなりの高性能な仕様の住宅ということが分かるでしょう。

これだけのしっかりした仕様があるから、多少会社説明がコンセプチュアルに過ぎたとしても文句は言えません。

 

またハウスメーカーで、ここまであからさまに仕様を示す会社を、筆者は見かけたことがありません。

 

しかしいまの時代、「営業マンが詳しく説明するから」ということで、パンフレットに詳細な仕様を記載しないのは、もはや時代遅れのように思えます。

少なくとも「無印良品の家」のウェブを見て、混乱するユーザーの方が少ないのではと考えてしまいます。

 

言わばこの解説ページこそ、「無印良品の家」の立派な「教育」コンテンツと考えて良いと思いますが、いかがでしょうか?

 

なお、ここに来て皆さんが気づくのは、無印良品のウェブサイトに使われているフォントの種類、また行間隔も、文章を読むのに非常に適切なサイズを選んでいるということです。

 

「無印良品の家」はこれだけ文章が多くても、決して煩く感じません(読んでいて疲れません)——同じことを「Think with Google 日本」にも感じます——ウェブ担当者はこの辺りも研究してみると面白いと思います。

 

  

無印の家のコンテンツ戦略「住まいのコラム」とは?

  

「無印良品の家」には戸建ての注文住宅のほかに、リノベーションも行っており、MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトというものをやっています。

 

そして毎週、定期・不定期かは分かりませんが、筆者のメールアドレスにも戸建ての注文住宅、リノベーションプロジェクトのコラム、「住まいのコラム」が届きます。

 

それほど熱心な読者ではないのですが、アタリのコラムが届くと、仕事を忘れてつい読み耽ることもあります。

 

戸建ての注文住宅のコラムは専門家の寄稿が多いようですが、リノベーションプロジェクトのコラムは社内の方が仕上げているようです。

まあ、これも「無印良品の家」のコンテンツ戦略なのでしょう。

 

ただ、自分の子どもが家のことを考え始めた場合は、「無印良品の家に相談してみれば」と伝える可能性は高くなります。

なぜなら「無印良品の家」は至極真っ当な住宅を供給していますし、まがりなりにも筆者は「住まいのコラム」の読者だからです。

 

つまり、自社でブログやメルマガ(ニュースレター)を更新している場合は、どのようなコンテンツ戦略でも「手を抜かず書きましょう」ということです。

 

皆さまの健闘を祈っております。