専門コラム 第17話 飛び込み訪問
飛び込み訪問
皆さんもよく知っている某大手ハウスメーカーでは、現在も新人営業マンに飛び込み訪問を課していることは有名です。
この会社では初めの一棟を獲得できるまで、営業車の使用を認めず、銀行の行員が使うような、昔ながらの大きな自転車を移動手段として貸与しているよう。
ここまで書くと「ああ、それって○○○○ハウスのこと?」と分かる方もいるのでは。
ただこれに限らず、特に住宅営業は、未だ新人に飛び込み訪問を課している会社が少なくありません。
これには、何か意味があるのではないでしょうか?
今回は多分に私見を交え、「住宅営業と飛び込み訪問の関係」について考えてみましたので、お付き合い願えれば幸いです。
飛び込み訪問の隠れたメリット
飛び込みは時代遅れの新規開拓方法?
飛び込み訪問は新規開拓の一つですが、これからも有用な新規開拓に数えられるか、それとも過去のものとなるかは微妙なところです。
しかし、大半の営業の世界で、飛び込み訪問はすでに過去の遺物となっているのが現状でしょう。
飛び込み訪問を経験している営業マンは、少なくとも時代と共にその難しさ、無用さに気付いているはずです。
インターネットやSNSがここまで発達している世の中ですから、飛び込み訪問がもはや時代遅れの新規開拓方法とされても、何も不思議なことではありません。
ただ飛び込みを経験したセールスパーソンとそうで無い人では、明らかな差異を感じない訳ではありません。
推測するに、飛び込みを経験した営業には「独特の推察力」「動物的な危険察知能力」、また「営業センス」が備わっている気がするのですが、如何でしょうか。
仮にそうだとしたら、大手ハウスメーカーが、今も新人に飛び込みを課す意味が納得いくように思うのです。
飛び込み経験者は「顧客が何を考えているか」察知することに長けている
「独特の推察力」とは「顧客が何を考えているか察知できる力」と置き換えられます。
営業なら誰しも「顧客が何を考えているか」理解できて当然とも考えられますが、9割以上が門前払いか、会話できても短時間で終わることが殆どの飛び込み営業を相当期間続けてこられた営業は「推察力(察知力)」の質が、そうでない営業とは明らかに違います。
例えが良くありませんが、その緊張感の違いは「新しく下ろしたばかりの下着」と「ゴムが伸びきった下着」との差と言えばおかしいでしょうか?
また彼らは、損切りする力にも長けています。
つまり今追うべき人では無いと見切ることで、良い意味で追っても仕方ない顧客を決して深追いをしません。
こうしたことで、より効率的な営業活動を進めていけるのです。
もちろん人にも依りますが、毎朝の営業活動の発表などで決まって時間泥棒するのは、飛び込みを経験せず中堅になった社員が多いように思います。
飛び込みは厭でも「営業センス」を磨ける
「営業センス」とは先の、類まれな「推察力」(または「察知力」)とつながりますが、別の言い方をするなら「的確に相手の気持ちを思い、常に半歩ほど先回りし、顧客が欲しいものを提供できる人」のことです。
これは、非常に難しく困難な飛び込みを続けることでしか得られない「営業技術」です。確かに天性の営業センスを持つ人が、実際に存在することは知っているつもりです。
それでも一見無意味に思える、飛び込みを強いられている新人の駆け出し営業マンがいたら、飛び込み営業の意味を見直して欲しいと思います。
真のトップ営業は、表向きには飛び込みそのものをあまり高く評価しません。
しかし、その多くは必ずキャリアの初期に、相当時間を飛び込みに費やしています。
彼らは経験の中で、飛び込みで得られた営業技能がこの仕事を長く続けられたことと深く関係していることに、多分気付いているはずです。
もしあなたが飛び込みを義務として続けていたとしても、それが長い意味で役に立つ時が来ると信じ、業務に邁進して欲しいと思います。
飛び込みのコツは、初めは教えてられたトークを無心に使ってみることです。
ただどこかのタインミングで、別の手法を加えてみて下さい(私の場合は、オリジナルのチラシです)。
きっと成長の跡を感じられる時が来るでしょう。
以上、飛び込み営業経験者の妄想のような文章でしたが、幾つか参考になることがあれば幸いです。