専門コラム 第27話 正しいクロージング
正しいクロージング
駆け出し営業マンに限らず、ある程度営業経験が長い者でも、クロージングの進め方に戸惑う方は未だに多い印象があります。
これは住宅以外の全ての営業職に、共通していることかも知れません。
ただその一方で、クロージングのプレッシャーをほとんど意に介さない強者もいます。
両者の違いはどこから来るのでしょうか。
何はともあれ、クロージングの正しい進め方があれば「ぜひ知りたい」と考えている方は、この記事を参考にしてください。
商談の基本「クロージング」の正しい進め方について
クロージングの種類は2つが基本
それでは「クロージングをどのタイミングで入れていけば良いか」というところから説明します。
まず住宅営業のクロージングですが、最終の概算見積もりの提示の際に行うというのが一般的な認識です。
『飛び込み営業で成果を出すコツとは③』でもお伝えしましたが、「ぜひとも、当社に〇〇様の住宅計画をお任せいただけないでしょうか」などと切り出すのが典型的な例でしょう。
ただ厳密にいうと、クロージングを入れるべき「もう一つ重要なタイミング」があります。それは「契約を前提とした具体的な折衝に入る際」です。
場面で言えば、敷地調査のアポが取れたタイミングが典型的なシーンです。
あるいは折衝の流れによって、プラン要望のヒアリング時というケースも考えられます。
こちらもクロージングの伝え方は様々ですが、仮に営業から接触を切り出す場合は「よければ契約を前提に、私どもに設計提案の機会をいただけませんか。
ついては、一度プランについての要望をじっくりお聞かせ願いたいのですが如何でしょう?」などと、相手に伝えればいいでしょう。
これらを一度まとめますと、住宅営業のクロージングは、少なくとも次の2種類があります。
1.契約を前提とした折衝に入る際のクロージング(テスクロ)
• 敷地調査のアポが取れたタイミング
• プラン要望聞き取りのタイミング
2.プランがほぼ決定し、概算見積もり提示の際のクロージング
なお、折衝に入る際のクロージング「1.」のことを、概算見積もりの提示の際のクロージングと分けて捉えることから、「テストクロージング(テスクロ)」と呼ぶこともあります。
またほかにもクロージングの派生形は、商談中に幾つか存在します。
例えば過剰提案を補正するためのやり取りも一種のクロージングです。ただそこまで挙げてしまうと、かえって混乱してしまうでしょう。
そこでここでは、上記2種類を「住宅営業のクロージング」とします。
クロージングのプレッシャーはあなたの営業活動次第で変わる!
特に駆け出し営業マンには不得意とされるクロージング。
しかし商談の基本的な仕組みが分かると、妙な苦手意識がなくなります。
そもそもクロージングとは、顧客に決断を促すもので、一般的には決断を促す側の営業マンにプレッシャーが掛かります。
自身の経験から言っても、特にクロージング「1.」は相当ストレスフルなものでした。
ただ顧客は何をもって決断するかと言えば、その大半は皆さんが行ってきた営業行為に他ありません。
ですから顧客フォロー(つまりこれまでの営業行為)が確かなものなら、クロージングはある種の確認行為に過ぎません。
また、商談によってはクロージングが全く不要なケースすらあります。
例えばレター等でしばらくフォローを続けていた顧客がいたとすると、クロージング「1.」は、顧客の方から設計依頼を頼まれることだってあります。
またクロージング「2.」も特にかける必要がなく「このまま契約を進めていただきたい」と言われることもめずらしくはありません。
当然のこと、こちらでクロージングを切り出すより向こうから商談を進めて欲しいと言われた方が、契約率は圧倒的に高まるでしょう。
反対にこれまで営業行為が不十分、あるいは不適切なものなら、クロージングはとてもストレスフルなもので終わります。
つまりクロージングは、これまで重ねてきた営業行為次第ということです。
ヒントと言えるか分かりませんが、住宅の商談や顧客フォローは、顧客が知りたがっていることを営業マンが的確に伝えることでも随分と変わってきます。
商談をこちらのペースで運びたければ、まず顧客の声に耳を傾け、相手の疑問に的確な答えを与えてあげることです。
そして顧客から信頼や敬意をもって見られるようになる頃、クロージングの苦手意識はなくなっているはずです。
クロージングは顧客に媚び諂う(へつらう)行為ではない
もうひとつ、クロージングの正しい進め方として覚えていただきたいことは、クロージングは決して顧客へのお願い(媚び諂う)行為ではないということです。
何故なら、クロージングが単なるお願い行為に終わると、顧客との力関係が対等ではなくなってしまうからです。
誤解を恐れずに言うと、商談の技術やクロージングの技術がある程度高まった営業マンにとってクロージングとは、見込み客の選別と除外をするための行為でもあります。
そのため顧客の出した答えがノーであるなら、それを素直に受け入れて、新しい見込み客や次の商談に注力します。
もちろんその判断のタイミングは、クロージング「2.」よりクロージング「1.」で(つまり早く)判った方が、営業マンとしてトータルの生産性は向上します。
ただ現段階では、ここに書かれていることが信用できない方もいるでしょう。
その場合でも、クロージングは顧客へのお願い行為ではないということだけは理解しておきましょう。
クロージングを顧客に問う営業マンの姿勢としては
• 必要以上に力まないこと
• 出来るだけ爽やかに伝える
などと言われているのは、このためでもあるのです。