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専門コラム 第29話 心理操作は必要か?

                                   

心理操作は必要か?

 

むかしから心理学と営業は人の心理を扱うことで親和性があり、関連書籍も多数出版されてきました。

またマスコミも視聴率が稼げるジャンルとして、これまで番組づくりにも力を入れてきた経緯があります。

 

ただ実際に営業で心理学のテクニックを駆使するには、相当なトレーニングが必要です。

ミラーリングやコーチングといっても、本に書いてある通りに真似ても簡単にマスターできるものではありません。

 

また実際には言うほど、心理学の操作や誘導が、営業の現場で使われているなど、少なくとも住宅営業では聞きません。

 

果たして心理学と営業技術がどこまで結びついているのか、多くの場合疑問が残ります。

 

顧客の心理操作や誘導の技術は営業にとって必要か?

建築自体が好きで営業を続けているという事実

確かに心理操作や誘導が意のままに操れるなら、宴の席で注目を集められるかも知れません。

そう言う意味で心理学のテクニックを、一種のネタとして温めておく価値は決してゼロではないでしょう。

 

ただそうした心理学の技術は、必ずしも営業マンに必要なものではないようです。

 

心理学のテクニックは、確かに本などで読む分にはいろいろ参考にはなります。

しかし実際に活用するのはやや難しい技術です。

しかも実際にそれをマスターしてまで、使う気にはなれません。

 

一つの理由として、私たちは心理学云々というより、建築や住宅が本質的に好きであり、好きなものを自由に勧めたいという気持ちがどうしても先に立ってしまいます。

 

実際の営業の現場では、皆さんが考えているより、住宅建築や建物を作ることが好きな人が多く集まっているというのが偽らざる実感です。

建物自体が好きで、営業を続けているといえば良いでしょうか。

 

特にこれはメーカー系の営業マンには多いもので、皆さんの先輩や同僚にも、営業なのに大学で建築を専攻していた人を結構見かけるでしょう。

個人的にもユーザーの立場なら、建築好きな営業に家づくりを頼みたいものです。

 

お客様は説得されることを嫌う

また心理操作や誘導の他にも似たようなことで、営業は「説得の技術」ということも言われています。

ただ「説得の技術」も心理操作や誘導と同じで、欲しくもないものを営業の技術で買わされたという印象がどうしても拭えません。

 

以前の記事にも書きましたが、皆さんの中にここ2、3年で、欲しくもないものを買わされたということが何かあったでしょうか。

特に経営に携わるような方なら「欲しくもないものを買わされた」ということは、おそらく一つも無いでしょう。

 

何が言いたいかというと、大半の方が購入を決めたのは、多分自分の自由意思からのはずです。

心理操作や誘導でもありませんし、まして営業マンに半ば強引に説得され、買うと決めたわけではないでしょう。

 

特に若手の経営者は、強引で押しが強い営業を嫌います。

それより彼らの多くは、当たりが柔らかい、それでいて商品選択には絶大な信頼をおける(つまり商品に詳しい)営業を好みます。

 

私たち住宅営業も、柔和でありながら、お客様に的確な決断や実行を促せて、尚且つ商品に詳しい営業でありたいと、常日頃考えています。

 

心理ネタで誘導しても失笑を買うだけ

もうお分かりのこととは思いますが、私たち営業の大半は、操作や誘導、あるいは説得などと無縁でありたいと、無意識に願っているところがあります。

 

特に注文住宅のお客様は人生の成功者が大半です。

その人を、ビジネス本で得た知識を用いて誘導しても、おそらく失笑を買うのがオチです。

 

やはり心理ネタは宴の席で興じるのが関の山です。

心理ネタを仕入れる時間があれば、私たちにはもっと大切なことがあります。

心理学について時間を割くのは、それが済んでからにしたほうが良いでしょう。