専門コラム 第21話 セールスレター❶
セールスレター❶
『セールスレターで「住宅」が売れる本』も出版されたのは1999年です。
この本はタイトルからもわかりますが、手紙と営業という比較的地味なテーマを扱った住宅の営業書籍です。
ただこの本はファンが多いようで、大きな本屋のビジネス書のコーナーでは、いまだに新刊本と共にこの本が並んでいるのを見かけます。
この影に隠れた名著とも言える『セールスレターで「住宅」が売れる本』から、セールスレターの力を探ってみます。
住宅営業の名著『セールスレターで「住宅」が売れる本』を久々に読んで
いま読んでもちっとも古臭さを感じない圧巻の筆力
『セールスレターで「住宅」が売れる本』を久々に再読し驚いたのは、著者である三島俊介氏の圧巻の筆力です。
何しろ初めて読んだ時と比べ、読んでいて、解説や手紙の例文が全く躓くことなくストンと心に落ちてきます。
これはこちらの経験値が上がった(?)ことと関係するものと思いましたが、とにかく読みやすい。
もちろん氏の文章は、極めて平易で読みやすいものです。
ただ、これだけ素直に文章が入ってくると、三島氏が営業マンであったら「彼を担当者に選んでしまうのではないか」と勝手な想像をしてしまいました。
その意味では『セールスレターで「住宅」が売れる本』は、営業マンが手元に置いて読むだけでも、十分文章のお手本としても活用できるでしょう。
なぜ今でもこの本が静かに売れ続けているのか? そのひとつの理由に「いま読んでもちっとも古臭さを感じない」氏の文章表現の豊かさにあるのではと考えます。
セールスレターを出す前に住宅営業が考えなければいけないこと
セールスレターと聞くと、米国のマーケッターが流行らせた、ネットのE-Book販売などでよく見る、長文の文章(セールスレター)のことを思い浮かべる方もいることでしょう。
もちろんそれもセールスレターに違いはないのですが、ことセールスの現場で使う場合は、顧客に送り届ける手紙のことを指します。
『セールスレターで「住宅」が売れる本』でも、数十もの手紙(セールスレター)の例文を読めますので、セールスレターが分からない、初めてという方は、まず本書を参考に顧客宛のレターをまず一通でも送ってみるといいと思います。
会社によっては全く手紙を書かないところもあるようですが、営業がレターを送る(書く)ことを「サボり行為」などと考える会社は恐らくないでしょう。
ただ、お客様にセールスレターを出す前に考えていただきたいのが、
- 営業マンであるあなたが住宅と言う商品をどう考えているか?
- またお客様に対しての(営業という)立場をどうのように理解しているか?
という点です。
これは本書「第一章 セールスレターの基本的心構え」の「2.営業マンの思いがレター表現に反映する(P24)」の中で書かれており、ある意味この本の中でキモになる部分です。
そして三島氏はこのキモについて
これらは、住宅営業マンがお客様の立場になって気配りしなければならないことのほんの一部です。
本書は『住宅販売の実務』の本ではありませんので簡単に記しましたが、このような気のついた点を、お客様といっしょに考え、サポートすることが、営業マンの大切な仕事なのです。
とまとめています。
氏は「簡単に記した」としていますが、この部分はぜひ本書を手に取り、確認してみることをお勧めします。
日頃の営業実務に追われる中堅の皆さんにも、改めて住宅営業という仕事の責任の重さというのを知る、いい機会になるでしょう。
レターが諸刃の剣となる可能性について
良いことずくめに思えるセールスレターですが、レターのリスクについてもお話ししておこうと思います。
それはレターが「諸刃の剣」となる可能性があると言うことです。
レターの特性は、それを捨てるまで、文面は半永久的に残ることです。
国会では文書データの改ざんが問題になりましたが、レターも文書データの一種であり、間違ったことや誤った事実を書けば、後で問題になる危険性がゼロだとは断言できません。
ただ一方で、長くセールスレターに慣れ親しんだ方に言わせると、レターが営業活動の足枷になったことは一度もないと言います。
レターはただ本心で思ったことを綴り、調べ物ではきちんと裏付けとなる根拠を元に、顧客宛に心を込めて書くだけです。
そして顧客とのコミュニケーションを深めるのに、セールスレターは多大なる貢献を果たします。
しかしながらこれからセールスレターを書いてみようと思う方は、レターが及ぼすリスクについてもしっかり認識しておく必要はあるでしょう。
またこのことは、営業としてブログなどを書く場合にも当てはまります。
そしてセールスレターを書き終えたら、必ず読み返してみることです。
そうした習慣が、リスクを犯さないレターライティングに繋がっていくことでしょう。