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専門コラム 第296話 業種は問わず「営業の基本」は絶対に売り込まないこと!

    

以前のコラムで「詳しい解説は又の機会に譲りますが」と書いた営業の動画について、解説したいと思います。

そのタイトルは『売れる営業マンが絶対に言わない口癖 3選』。
運営されているのは、リクルート時代はトップ営業として君臨した伊庭正康氏です。

この動画の内容は営業の基本として、新たに皆さんと共有しておきたい項目です。

なかには「あまりに初歩的過ぎて、何を今さら——」という方もいるでしょう。
でも営業という仕事は、非常に残念ですが、誤った解釈が普通にまかり通り、他の職種では考えられないことがいまも根強く残っています。

この記事の共有が、それを正すきっかけになればと思います。

(なお、こちらの都合で「値引きをしてでもとる」の解説を、今回は省かせていただきました。)

  

業種は問わず「営業の基本」は絶対に売り込まないこと!

1 なぜ売れる営業マンは「売り込まない」で売ってくる?

 

では早速いきましょう。

伊庭さんのよれば、売れる営業マンが日頃絶対言わない口癖とは、
1)目標達成のために売り込め
2)自分の数字にならない
3)値引きをしてでもとる
の、以上3つです。

ただ、これだと少し分かりづらいため、普通に書くとこうなります。
1)売れる営業マンは、目標達成のために売り込んだりしない
2)売れる営業マンこそ、「自分の数字にならない」ことを敢えてする
3)売れる営業マンは、基本的に値引きはしない

これで少し分かり易くなりなったと思います。

またこの動画の冒頭部分で「このスパイラルを知らずして売れ続けることはまず難しい」とし、ダニエルキム氏が提唱する「成功循環モデル」について触れています。

「成功循環モデル」とは=「お客様が満足してくださるからこそ関係の質が高まる」

 

                   [結果の質]→[関係の質]→[思考の質]→[行動の質]

 

そして「成功循環モデル」の大切なキーワード。それは「関係の質」です。

実は「成功循環モデル」も、営業レターやニュースレターの教育で、このスパイラルを回しています。

では売れる営業マンは、なぜ「売り込まない」で、また「自分の数字にならない」ことも進んでやり、おまけに「値引き無し」でも売ってくるのでしょうか?

    

2 トップセールスは「関係の質」を高めることが仕事

 

これについて、伊庭さんご自身も言っていますが、まずトップセールスと言われる彼等から、「売り込む」という言葉を聞いたことがないと。

彼等は分かっています。

こちらの都合でいきなり売り込んでも、それは結果には結び付きません。
それで、幾ら上司が「売って来い」と発破をかけても、自分のセールスのシナリオを崩さないのです。

だいいち目標達成というこちらの都合は、お客さまにとってどうでもいいことです。
それなのに一生懸命売り込んだところで、あなたとお客さまの「関係の質」は絶対的に高まることはありません。

トップセールスは、そのような無駄な事はしません。
それよりお客さまが望んでいることをして差し上げる。そのことで「関係の質」を高めるのです。なお「関係の質」はお客様との信頼関係と言っても良いでしょう。

たとえば住宅のお客さまが望んでいること。
それは、「どういう基準で家づくりを進めていけば、間違った業者を掴まず済むか」を教えて差し上げることです。

そういう意味では、営業レターにはあなたの会社の利点ではなく、むしろそういうものは捨ててでも、「真っ当な家づくりの進め方」を知識として伝えます——もちろんレターというフォーマットが使いづらいなら、口伝えでも動画でも結構です。

すると何割かの方は、あなたが伝えた「家づくりの進め方」に響いてくれます。そして共鳴したお客さまから順番に手を上げ、真の見込み客に変わっていくのです。

また法人営業なら、あなたの会社の宣伝より先に、今週、得意先をまわって気づいた情報、売れるポイントなど(たとえば売り場でこんな風に工夫したら、死に筋が売れ筋に変化した)を教えてあげます。
そうすることで、あなたは一業者、あるいは営業という立場を越え、自社のコンサルタントとして取引先から信頼される……つまり売れ続けている人は、そのことが営業で大事なことだと分かっているんです。 あとはその事を繰り返すだけです。実に簡単なことです。

  

3 ワンストップ化で営業はあらゆるチャンスを呼び込んでいる

 

「自分の数字になる・ならないを気にする人。こんな人は、ハッキリ言ってトップセールスにはいません!」。伊庭さんは、これも声色を変え強調しています。

もちろん営業には、いつまで追っても意味がないお客さまもいます。
筆者も新人の頃「いつまで君は、例のお客とダンスを踊っているんだ!」と、上司から叱られたものです。

ただ伊庭さんが言うように、トップセールスは「自分の数字になる・ならないを気にする人」ではありません。
それより営業は総合的な窓口という立場を取ることで——伊庭さんはこれを「ワンストップ化」と呼んでいます——あらゆる営業チャンスを呼び込みます。

過去に紹介した本では、山下義弘(通称:ビリーさん)氏が書いた『売り込まなくても「トップ営業」になれる!』(大和出版、2008/10/1)が良い例です。
この本は、あと一ヶ月で退社を言い渡された山下氏が、知人のアドバイスから、独自の紹介営業によって返り咲くストーリーを克明に描いた保険セールスの本。
紹介営業を極めたい方にはおすすめの一冊といえます。

そしてこのスパイラルを動かすエッセンスこそ、広い意味での知識や教育です。

知識や教育は「書く営業」にとっても、重要なワードです。
腑に落ちるまで、繰り返し読んでみてください。

  

 

  

   

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。