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専門コラム 第194話 教育の局面で無理なセールスを仕掛けていけないワケ

    

今日は遅ればせながら、5月4日に投稿していた、「第191話:発信者の人となりが伝わるニュースレターとは」の補足を、させていただければと思います。

補足とは、

配布したレターで営業マンが売り込んだら、
その時点でセールスは失敗します。
というのも、ニュースレターは見込み客に共感していただくツールだから。

また共感・教育のアスペクトから、セールスを仕掛けてはいけません。
(なぜそうなのかは、ここでは割愛します)

の部分です。

実は営業マンが無闇に売り込まないほうがいいと言う主張は、
本コラムの色んな場面で登場します。

ではなぜセールスで、無理な売り込み・誘導が宜しくないのか?

それは無理な売り込みが、売り手・買い手の双方からイヤがれるものだから。

  

教育の局面で無理なセールスを仕掛けていけないワケ

1 多くのセールスはもはやハードプッシュ型の営業スタイルを返上しつつある

 

更にハードプッシュ型の売り込みというのは、これも買い手側より、
セールスマンのほうが相当堪えます。

今や過去の時代の遺物といってもいい無理な売り込み。
組織や会社によって(それも大手と言われるところも含まれる)現在も根強く残っています。

ではどうやってハードプッシュ型の売り込みを排し、
彼らは商品を販売し、契約を取り付けているのでしょう。

手短にいうと、営業は商品を売ってはいません。
むしろ広い意味で教育している。そういえば伝わるでしょうか?

踏み込んだ言い方をすると、
教育を通じて、お客さまが営業の考えに広く共感していただく。
そう言っても良いかも知れません。

そして教育・共感の結果、商品が売れ、また契約が成立します。

これで教育の局面から、無理にセールスを仕掛けてはいけないワケが、
何となく理解できたでしょう。

そして注目すべきことは、この方法は特に新しいやり方ではありません
たとえばセールスレターやニュースレターを使うことで、トップセールスの間では、かなり前から取り組まれていたことです。

本コラムでも、ニュースレターを営業の第一に掲げているのは、
ご存じの方も多いと思います。

実際にはトークだけでやる方もいれば、
我々のようにニュースレターを使うやり方もあります。

いずれの場合も、お客さまに「買ってください」とお願いすることもほぼありません。

あるのは、決済の手順をお伝えすることぐらいです。
これがある意味でクロージングの役目を果たします。

「そんなので本当に売れるの?」

ええ。もちろん大丈夫です。
結果もすでに出ています。

くどいようですが、この方法はトップセールスの間で、
かなり前から取り組まれています。

またこれらのことは、皆さんがうまく言語化できないだけで、
営業経験者なら誰でも実践できています。

皮肉なことに、今回のコロナがもたらした嬉しい変化と言えます。

   

2 レターが何の目的で届けられているかを明らかにする

  

ただニュースレターに関して、ひとつ注意することがあります。
それはニュースレターが、何の目的で届けられているかという点です。

長くニュースレターを続けていると、反応について多少の波が出てきます。
そして原因として考えられるのは
「これだけの情報を無料で差し出すのには、何かワケがある」と感じている方が、
ニュースレターの読者にはいるだろうということ。

本コラムでよく登場する小野博史氏[1]

彼も自分のページ[2]で、
“次に、自分がなにを目的に手紙を届けているのかを、はっきりと書きました。
多くの場合、あたりさわりのないあいさつで終わることが多い。
私も当初、文末を曖昧に締めていました。
しかし、最終的な成約率を計測すると、やはり良い数字は得られませんでした。
自分がお願いすべき部分は、はっきりと言い切ることが重要です。
「ガスを取り付ける段階になりましたら、必ずご一報ください。後悔はさせません!」
きっぱり伝えなければ、相手の心に届かないことを知りました”
と語っています。

筆者は見学会の案内をニュースレターと一緒に出していたので、
自分のレターに「住宅を建てる段階になりましたら、必ずご一報ください……」などの文言は特に入れませんでした。

ただ業種によっては、「こう言う目的で、レターを出している」と、読者にはっきり伝えておくと安心です。

もちろん情報を出す側は、無条件でレターを発信しています。
ただし自分が買う段階に来たら、候補業者として検討してもらいたい気持ちはあります。

そこをお互いに理解しておくことは、情報をやり取りする上で大切です。

 


 

[1] 主にニュースレター(情報紙)を通じて企業支援を行うドクターツール(有)代表。

[2] [ニュースレター 成功事例](http://www.drtool-1.com/honpen/)

   

3 コンテンツマーケティングの根底にあるのも「教育」

 

最後にニュースレターはコンテンツマーケティングの考えが、ベースにあることを述べておきます。

コンテンツマーケティングの定義を、イノーバ[3]では次のように示しています。

コンテンツマーケティングとは、読者にとって価値あるコンテンツの制作・発信をとおして見込み顧客のニーズを育成、購買を経て、最終的にはファンとして定着させることをめざす一連のマーケティング手法です。

コンテンツマーケティングとは?潜在顧客に「見つけてもらう」仕組みをつくる[4]|innova より抜粋

もちろんニュースレターも、コンテンツマーケティングの産物であり、一種の仲間と言っていいもの。

なぜならコンテンツマーケティングの定義にも「ニーズを育成」というワードがあり、
ニュースレターも「教育」というキーワードを持つから。


そもそもコンテンツマーケティングの歴史はかなり古く、
今から 100 年以上も前、アメリカの農機具メーカー「Deere & Company」が
1895 年に創刊した「The Furrow」という雑誌がその起源と言われています。

そして「The Furrow」の特徴は、商品やサービスの売り込みは一切行わず、
農家への情報提供が主な目的でした。

まさにニュースレターと同じですね。

ニュースレターも

                   • 売り込みを嫌う。

                   • 何よりグッド・コンテンツを目指す。

点で、コンテンツマーケティングと編集方針、方向性はほぼ同じです。

これらのことからコロナ以降の営業も、「見込み客への教育」というワードが重要になると考えられます。

 


 

[3] 2011年6月に設立された株式会社。主にコンテンツマーケティング支援を行なっている。

[4] [コンテンツマーケティングとは?潜在顧客に「見つけてもらう」仕組みをつくる](https://innova-jp.com/content-marketing/)

 

 

  

  

 

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。