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専門コラム 第280話 成功はシンプルな仕組みにある

    

久々にニュースレターについて——駆け足ではあるけれど——三編のコラムにまとめさせていただきました。

毎度お馴染みのニュースレターについてコラムでしたが、初期のコラムと比べると、新しい解釈をしている箇所もあり、その点でも意味のある試みだったと思います。

特に今回は、現時点で最も敬愛するマーケッター、そして作家の小野博史氏の文章を何度も読み返す機会を筆者に与えてくれました。

この文章(『ニュースレター 成功事例』、『ニュースレターの作成方を伝授|ドクターツール』)に出会ってから、15年ほど年月が経ちますが、今もなお(つまり、営業という立場を離れた現在も)新たな気づきを筆者に与えてくれます。 今回、『ニュースレター 成功事例』のほうから気になった点を三つ程抜き出し、コラム記事をまとめたいと思います。どうかお付き合い下さい。

  

成功はシンプルな仕組みにある

1 筆者が見落としていた「ある箇所」について

 

まず、新しい「気づき」ではなく、たんに「筆者が見落としていた点」を書いておきます。

それは「自分の日常を、きちんと語る」ということ。このことが、実は『ニュースレター 成功事例』の中で語られていました。

場所は『ニュースレター 成功事例』の中盤あたり、
「私が行った、すべてのライバルを一発で蹴落とす方法!」と赤の太字の見出しに続く、箇条書きのところで登場します。

 

このつながりを利用して信頼関係を築くために、情報紙に書くべき内容を突き詰めて考えました。私は、次のことを書くようにしました。

・自分の顔写真を添付して、素顔をきちんと明かす
・どこのどんな会社からやってきたのかを、きちんと説明する
・どこで住所を調べてやってきたのかを、きちんと説明する
・何が目的で手紙を出したのかを、きちんと説明する
・自分の日常を、きちんと語る
・商品についての正しい知識を、きちんと伝える

「ニュースレター 成功事例」より抜粋

 

どうして「自分の日常を、きちんと語る」ことが、つながりを維持し、信頼関係を築くために必要なのか。その理由について小野氏は次のように記しています。

 

さて、その後私は、自分の身近で起こったパーソナルな情報を伝えていきました。
日常のとりとめもないことです。日記に近い感じのものです。
目的は、親密な関係を築くためです。
共感を得ることによって、売り手と買い手の垣根を取り払うことが目的でした。

「ニュースレター 成功事例」より抜粋

 

筆者はニュースレターをつくる上で最も大事なことは、
「自分の日常を、きちんと語る」と、
「商品についての正しい知識を、きちんと伝える」ことだと思っています。

前に出てくる 4 つも大事なことは変わりありません。
しかし私たちの環境では、最初の出会いの場が展示場か見学会会場ということもあり、この 4 つは、すでに満たされているケースがほとんどです。

しかし営業マンによって、「自分の日常を、きちんと語る」ことが、不十分なレターが多く見られます。

なかには「自分の日常を語りたいけど、どこで語ったらいいか分からない」方もいるようです。
そんな方に言うのは、取っ掛かりの「挨拶文」、そして最後に持ってくる「編集後記」に、「自分の日常をきちんと語る」スペースを与えるよう指示しています。

もちろん、それ以外にも、本文の文章を一人称で書けば、ニュースレター全体がより親しみを持って読んでもらえるでしょう。ニュースレターやコラムとは、本来そういう読み物です。

またこれもよくやる手ですが、自分の卒業校の話、部活は何だったかという話題も面白いのではと思います。

また、それが帰宅部だとしたら「実家があまり裕福でく、部活どころではなかった」とか、
「高校時代は友達と言える人がほとんどいなかった」など、一見ネガティブなことも、ありのまま書けば良いと筆者は考えています。

とにかく無理のない範囲で構わないから、自分を曝け出すこと。
そうすると不思議なもので、読者のうちの何人かには、そういう陰の部分に惹かれる方、安心する方が現れます。
人は決して光だけではありません。光があれば陰の部分も必ずあります。 そいうことを書かないから、他人(ひと)は自分のことを「信頼」しないのです。

    

2 ビジネスで最も難しく、最も大切な事が「信頼」を得ること

 

さて先の引用箇所のすぐ前に、このような記述があります。

ただ、このテクニックの取り扱いには、十分に注意してください。
価値のない商品をこの方法で売ったら、あなたは犯罪者になります。

この「あなたは犯罪者になります」という表現。
些か大袈裟のように感じます。

しかしまんざら嘘とばかりとも考えてはいられません。
なぜならニュースレターは、営業や販売者を、他の方法より何倍も売りやすくするから。

ちなみ小野氏のレポートでは「他より営業が 10 倍楽になった!」と、ニュースレター効果を称賛しています。

筆者の実感も、おおむねこれに同感です。

そしてなぜ「営業が 10 倍楽になった」か? 
これはあなたのニュースレターが、読者から十分な信頼を得たからです。
「信頼、信頼、信頼……」、信頼こそ全ての源泉です。

 

 あなたがどんなに最高の商品を作り、最高のコピーを書きあげたとしても、お客さんはあなたから何も買ってくれません。

 究極にキレイなホームページを作ったとしても、権威人からの推薦文をもらっても意味がありません。

 『信頼してもらう事』

 それこそが、ビジネスで最も難しく、そして最も大切な事なのです。

murakamimunetsugu. isshundehitonokokoroayatsurureruserusuraiteingu (Japanese Edition) (pp.18-19). Kindle 版.

 

これは、村上むねつぐ氏の『一瞬で人の心を操る「売れる」セールスライティング』というKindle本に出てくる一節です。

村上氏のいうとおり「ビジネスで最も難しく、そして最も大切な事」。
それは他人から「信頼してもらう事」です。
そしてそれを可能にしてしまうのが、いま話題にしているニュースレターです。

だから先程の「価値のない商品をこの方法で売ったら、あなたは犯罪者になります」という文面は、あながち嘘だとは言えません。

じゃあ、どうしたらいいでしょう。

まず営業がしなければいけないことは、あなたが所属する住宅会社が、あなたを信頼してお客さまが建てて下さった御宅を、末長く見届けてくれる会社か、しっかり見極めることです。

もちろん、現在は少ないとは思いますが、もしその点で不安がある(保証制度未加入など)住宅会社なら、わざわざニュースレターを使ってまで営業することはありません。
筆者なら、もっときちんとした住宅会社に転職します。 皆さんにも、そのぐらいの気持ちで、住宅会社を選んでほしいと思います。

   

3 成功はシンプルな仕組みの中にある

 

3 つ目は、赤い太字で書かれた「私は、ライバルが居眠りしている間に、すべてのお客を奪い去った!」という見出しに続く、

 
私が結果を出してきた方法は、バカみたいに簡単なやり方ばかりです。

「難しいことをやっても結果は出ない。成功はシンプルな仕組みの中にある」

これが私の持論です。

・お客に対して、反復作業のように定期的に情報紙を送る。
・つながりを利用して、信頼関係を構築するための内容を伝えていく。
・商品に関する正しい情報を伝えていく。

たったこれだけのことで、今よりも楽に売れるようになる。
なぜなら、何度も申し上げたとおり、信頼関係が出来ていて、お客がこちらのことを憶えていてくれれば、高い確率で売れてしまうからです。

「ニュースレター 成功事例」より抜粋

 

この部分は、もう何度と無く読み込んだトドメとと言える文章。ニュースレターの魅力を端的に表現した文章です。

そして、今回もこの部分は何度も読み返しました。

特に「信頼関係が出来ていて、お客がこちらのことを憶えていてくれれば、高い確率で売れてしまうから」の部分は、ニュースレターというきわめてシンプルな仕組みを表現した言葉です。

もし「ニュースレターって、どうしてあんなに売れるのだろう」と感じるところがあれば、この言葉を思い出すといいでしょう。

ニュースレターを使えば「ビジネスで最も難しく、そして最も大切な事」と言われる「信頼関係」が構築され、お客さまの記憶に残り続けることが出来る。
高い確率で売れていくのは当たり前です。

そしてそれには、自分の日常を臆せず語ること、そして商品の正ししい選択基準を啓蒙(教育)することです。

皆さんがこの点にもっと心を砕き、レターを書き進めていかれることを願っております。 長くなりましたが、お付き合いくださりありがとうございます。

  

  

  

   

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。