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専門コラム 第82話 「売れる人の営業パターン」の変化から見える住宅受注のカギとは?

 

新型コロナウィルスの第一波が落ち着いた 6 月半ばから約 一ヵ月が経過しました。

本コラムでは、その間、新人営業の方に必要と思われる記事でつないできました。

もちろん、全てが新人営業の方に向けた記事ではありませんでしたが、それでも約半数は新人向けと言って間違いないと思います。

内容をざっと振り返ると、「知識の習得の重要性」、「顧客にノーと言える勇気を持つこと」、「営業のアポを取る習慣について」、「アポを確実にする初期折衝用のニュースレター」、そして先週は「ハザードマップと立地適正化計画(コンパクトシティ)」について書いています。

我ながら全く散漫な筆運びと、反省する事然りです。

ただ、しばらくこのペースで続けてみようと思っています。

新人営業の方はご自分で「参考になる」と思われたところだけを吸収していただければ幸いです。

今週はニつの記事をアップする予定でいますが、どちらも住宅を受注する上で重要なことをまとめています。

皆さんの参考になれば筆者も嬉しく思います。

 

 

 

売れる人の営業パターン」の変化から見える住宅受注のカギとは?

先輩トップセールスマンの営業スタイルから学んだこと

 

住宅を受注する上で重要なことの一つに「売れる人の営業パターン」がありますが、これは、「新人の方にとって最も知りたい事」の一つでもあると思います。

 

筆者の体験をお話しすると、過去のコラムでも登場しますが、私をコンスタントに売れるように育ててくださった先輩の営業マンがいます。

この先輩は会社の表彰式にもよくノミネートされた、いわゆるトップセールスマンの一人。

支店長が不在の際は、この方が代行を任されていたくらいのヒトです。

 

この方のセールス手法ですが、さすが住宅営業でトップに登り詰めただけあって、接客方法やセールストークはひたすら柔和に攻めるタイプ。

それでいて現場や住宅そのものにも非常に詳しく、客前でプランもすぐ書けてしまいます。

堂々とした折衝風景は、特に奥様から絶大な信頼を得ていました。

 

彼から学べることは、知識や技術の蓄積は顧客からの信頼を得るということに尽きます。

 

客前プランは会社の方針で必ずしも必要でないこともあるでしょう。

ただし商談に必要な知識は、プロから説明されているという、圧倒的な深みを会話に添えるものです。

過去の記事にもありますが、新人の方は一にも二にも知識量を増やすことです。

 

また先輩の場合は対面するお客様への洞察も素晴らしく、よく商談帰りの車中で「次はこう攻めよう」などと、その日の反省点や次の面談に向けてアドバイスをしてくれました。

 

ただ唯一の欠点は悪筆であったことです。

そのためか、先輩は営業活動における手紙の力を信じてはいましたが、サンキューレター等はあまり書かなかったと記憶しています。

 

しかし、当時はまだお客様に手紙など書かなくても受注できた時代です。

減少の兆しは確かにありましたが、住宅展示場や見学会の集客数は現在ほど落ち込んではいませんでした。

大雑把に言って、柔和であれ、ざっくばらんであれ、お客様の懐に飛び込むような性分こそ「売れる営業の姿」だったのです。

 

また過去に売れた経験を持つ営業ほど、手紙やコピーライティングそしてマーケティングといった言葉にどちらかと言えば否定的です。

なぜならトップセールスマンたちは、結局アポを取って面談にさえ持ち込めば、大抵の問題は解決するからです。

 

当時の売れる営業は、話を聞いてくれる場面に持ち込めたら「あとはどうにでもなる」と信じ切っているところがあります。

乱暴な言い方かも知れませんが、住む家の具体的な打ち合わせが決まったお客様に、手紙やマーケティングの技術は必要ありません。

 

 

「売れる人の営業パターン」が変わる瞬間

 

また「アポを取って面談する」で思い出しましたが、この先輩が同行に付いてくれるのは、アポを取ったお客様に限られたことです。

そのため展示場でアポが取れなかったお客様については、あらためて打ち合わせの場に浮上させる必要がありました。

「〇〇くん、あのお客さんはものになるから、アポが取れたら教えてくれる?」

大体いつもこのように伝えられていました。

 

しかし自分一人で受注が取れるようになると、分かったことがあります。

それはすでにアポを取ったお客様とプランの打ち合わせをするより、見込み客を打ち合わせの場に浮上させる方が、知恵と労力を倍近く消費するということです。

 

そして、いつまでも来場者に頼った営業スタイルが、うまく行くはずはありません。

筆者の師匠も朝の営業の打ち合わせで、来場者数や展示場のアポ率の低下を口にするようになりました。

また、「売れる人の営業パターン」も、相手の懐に飛び込む風情から一転し、見込み候補に対して丁寧な「関係性」を築ける営業へ変わっていきました。

かつてトップセールスマンと言われた営業マンの中には、昔のように成績を上げられない人も増えてきました。

 

なぜこのような変化が生じたのでしょう。

何よりその原因は、圧倒的な見込み客の減少があります。

特に日本では、人口減少に輪を掛け、今回の新型コロナの影響で、今後顧客の数は確実に減っていくことが明白です。

そのため、すでに建てる気持ちになっているお客様をいかに捕まえるかではなく、まだ気持ちが固まってないお客様をいかに受注できる見込み客に育てていくか。

まさにこのことが、いま問われています。

 

営業もこれまで放置するだけだった、名簿リストの掘り起こしの必要に迫られています。

 

「過去に売れた経験を持つ営業」vs「新しい時代の営業」

 

ここであらためて、営業マンを二パターンに分けてみます。

 

<Aパターン:過去に売れた経験を持つ営業>

 • 相手の懐に飛び込む性分

 • 知識や技術力が豊富

 • 会って面談すれば必ず落とせる

 • 重要見込み客は展示場でアポを取得できたお客様

 • 手紙やマーケティング、コピーライティングといった文言が苦手(嫌い)

 • 何より受注商談を得意とする

 

<Bパターン:新しい時代の営業>

 • 見込み候補に対して名簿リストを手掛かりに「関係性」を構築できる

 • 見込み客は展示場由来のリストの他にも過去の名簿リストからもマメに発掘している

 • 手紙やマーケティング、コピーライティングに興味がある

 • 独自のニュースレターを定期的に発行している

 • 受注商談も得意だが、一度離脱したリストを打ち合わせの場に呼び戻すこともできる

 

皆さんは営業と聞くとAパターンをイメージして、この業界に飛び込んだかもしれません。

また上司が古いタイプの方でしたら、Aパターンしか知らない人もいるでしょう。

 

しかし今の環境下でAパターンだけをイメージしていたら、単に時代遅れの営業マンとなってしまうかもしれません。

仮にAパターンの営業を目指していたとしても、Bパターンの最初のキーワード「名簿リストを手掛かりに関係性を構築できる」は、最低でもおさえておきましょう。

 

なお「関係性」とは、顧客の記憶に残ること。

そしてこれを可能にするのがニュースレターです。

幾分乱暴な区分けとなったかも知れません。ただ新人営業の皆様においては、一度自分の立つ位置を見直してみると良いでしょう。