専門コラム 第40話 営業色を強く打ち出してはいけない!①
営業なのに、なぜ営業色を強く打ち出してはいけないか。
これは本コラムを読んだ際に、しばしばぶつかる疑問かもしれません。
そして先回の記事でも「なぜセールスレターでは、営業色を強く打ち出してはいけないか」という言葉がでてきたところです。
ただよく読むと、この答えは本コラムの所々に鏤めています。
ここでは改めて、営業なのに「営業色を強く打ち出してはいけないのか」を解説してみます。
営業なのに、なぜ営業色を強く打ち出してはいけないの?
多くの場合「営業」という認識自体が誤っている!
じつは「営業とは一種のビジネス」なんだと、少し前の記事で書きました。
ビジネスとは、売る側も買う側も同等の立場というのが変わらない前提です。
たとえば売る側が変に遜ってしまうと、まともなビジネスは成立しません。
もっと踏み込んでいうと、お互いに大きな損失を残すことにもなり得ます。
このことは以前、新築から僅か数年で、二世帯住宅を建て直したエピソードをお伝えしました。
このようにビジネスする相手を見誤ると、両者にとって希望しないことが起きてしまいます。
営業は「このお客様が自社の商品に合ったお客様かどうか」を、しっかり見極める必要があると言われるのはそのためです。
しかし日本では「営業とは一種のビジネス」という認識が、どういうわけか足りません。
それより「売り込むことが営業」という間違った認識が、いまだ通念としてまかり通っています。
また困ったことに「売り込むことが営業の仕事」と無意識に考えている方は、どんなに時代が変わろうとも、一定の割合で日本には根付いています。
そのため再度強調しておくと、営業とは「売る側」「買う側」が対等な立場で行われる交渉であり折衝です。
間違っても「どうか買って下さい!」「私どもに決めて下さい!」などと、必死に言い寄れば(売り込めば)片付く仕事ではありません。
このことは、特に住宅のような高額商品では尚更です。
日本社の生保業界と外資系生保との違い
また、生保業界は未だに「売り込むことが営業の仕事」と考えている方が多く存在します。
これは、直近ではゆうちょ生命の不祥事を見れば分かります。
一般に(すべてとは言い切れませんが)生保業界は、生命保険という難しい商品を、非常に短い期間でまず身内や親友を中心とした「自分の市場」に販売することを、トップから半ば強引に推奨してきます。
これ自体は一概に悪いこととは言い切れない面もあります。
ただ「売り込むことが営業の仕事」という通念がある場合、人によってはかなり無理のある営業スタイルとなるでしょう。
そして夢半ばで、多くの方が退社していきます。
その一方で、同じ生保業界でもプルデンシャルやソニー生命と言ったいわゆる外資系生保(元日本社会の外資系は除きます)は、同じような営業のプレッシャー下にあり、且つ難しい仕事ながら、生保業界特有の不祥事とは(私たちが知る限りは)無縁ですし、顧客から感謝される頻度も高いと言えます。
これらのことから、「営業」という認識の違い、また売るべき市場を限定される窮屈さにおいて、日本の生保業界が他業界に比べ大きく出遅れていることは、皆さんもすでにお気づきでしょう。
少なくともゆうちょ生命については、これまでの営業(これまでの保険募集)という認識を変えない限り、根本的な解決には行き着きません。
優秀な営業は営業を掛けるタイミングを外さない
しかし営業にも、アプローチすべきタイミングということはあります。
それはどのタイミングかと言うと、顧客が商品やサービスを本気で検討し始めた時です。
特に優秀な営業ほど、営業を掛けるタイミングを外しません。
またアプローチすべきタイミングは一般的に、顧客に数度接触すれば分かります。
ニュースレターなどでフォローを続けており、上手く人間関係が築けていれば、顧客側からあなたに手を上げてくれることもあるでしょう。
営業を掛けても、タイミングを外さなければ、顧客から嫌われることはありません。
なせなら顧客も、商品やサービスについて「ホットな状態」だからです。
営業はアプローチするタイミングで、お客様から「煙たがられる」か「歓迎される」かが決まります。
ですから営業マンは、アプローチするタイミングに十分注意するべきです。
それでも営業が「売り込んではいけない」と言う見方は、色々賛否を呼ぶかもしれません。
ただ優秀な営業ほど「営業を掛けるタイミングを外さない」ことだけは、間違いのない事実です。
皆さんには正しい方法を選択してほしいものです。