専門コラム 第107話 営業マンが顧客から専門家と言われるには
神田昌典著『あなたの会社が90日で儲かる!』(フォレスト出版 1999/12/14)という本を皆さんは知っているでしょうか?
この本はコラムでも度々登場する実践マーケッターの神田昌典さんの、フォレスト出版に残した初期の名著です(現在は新書版が出ているようです)。
この本を読んで、どうしても書いておきたいテーマが一つあります。
それは「営業マンが顧客から専門家と言われるには」です。
これいついては、他のコラムでもかいています。
「営業は専門知識を出来るだけ習得していこう」と謳っている記事たちがそれに当たります。
ですが筆者はこのコラムで、営業マンが専門家やアドバイザーと呼ばれる大事さを、少し別の角度から伝えたいと思います。
*文中の参考ページ数は、初版単行本を参照しています。
営業マンが顧客から専門家と言われるには
顧客との関係性において敵対関係を取らない!
結論を先に言うと「顧客との関係性において、対立関係を取るのではなく、ビジネスの理想とも言える協力者としての協調関係を取ろう。」ということです。
・・・だから営業マンは専門家、またはアドバイザーと言う立場を取ろうと言うわけです。
これで答えの半分以上を、すでに語ったことになります。
では敵対関係とは何か?
これは本書にも書いていますが、営業マンは売り込む立場、そして顧客は売り込まれる立場に立たせられると、両者の関係性は俄然、敵対関係に陥るのですね。
なので、この「営業応援コラム」では、再三にわたり「営業マンは頭から売り込んではいけない」と書いてきました。
このコラムを続けて読んでみると、その意味が分かってくると思います。
“敵対関係であるから、お客は本心をいわない。
買うつもりがあっても、決して買う素振りを見せない。
そして、あなたの見えないところで、ライバル会社に声をかける” (P.162)
展示場で和やかな雰囲気で応対できたとしても、即日訪問を掛けてみたら、お客様が「展示場を見せていただいた」から「わざわざ展示場を見てやった」に豹変することがあります。
なぜそうなったか。これは営業と顧客の関係が敵対関係になったからと考えて良いでしょう。
しかも一度お客様と敵対関係を作ってしまうと、なかなか元には戻りません。
そこで営業マンは売る前に「情報提供」というステップを挟み、あなたを専門家という位置に据え置くことを『あなたの会社が90日で儲かる!』では勧めているのです。
専門家と言っても物知りレベルではダメなわけは?
ただ「あなたを専門家という位置に置きましょうと」言っても、これも普通の物知りレベルではダメと筆者は捉えます。
建築の基礎知識が身につくと、ハウスメーカーの家づくりの多くが「いかに会社本位でつくられたものか」に気づきます。
そして学んだ専門知識を使って他社批判を始めるのです。
ただこれも、気持ちは十分に分かります。
しかし身に付いた知識を他社批判にばかり使ってはいけません。
それでは凡百の営業レベルに陥るだけです。
そうではなく、あなたが身につけた専門知識は、顧客が正しい方向で家づくりができるように活用します。
こうすると顧客とも競合とも、さらに取引先とも争わない(つまり敵対関係を生まない)人間関係が作られます。
このレベルまで達すると、あなたのことを応援したいと思う人が、顧客や取引先の関係者から自然と現れます。
三方良し、最近では五方良しという言葉も使われますが、目指して欲しいのはこのレベルです。
なぜならこのレベルで無ければ、コロナ以降の営業は生き残れません。
この理由はコラムを変えてお伝えしましょう。
これこそが、筆者がコラムを読んでくださっている営業諸氏に伝えたかったことです。
情報提供はガイドブック、無料レポートにまとめなくても可能
このコミュニティでは、実際に効果のある源泉営業のアプローチ方法を会員限定で幾つか紹介しています。
なお『あなたの会社が90日で儲かる!』では、「情報提供」のステップで使うツールにガイドブック、無料レポートを勧めています。
無料レポートとは
- “「〇〇はまだ買うな! 業界〇年のベテラン営業が告白」
- 「間違いだらけの〇〇選び 〜 知らないではすまされない7つのポイント」
- 「〇〇で失敗する人、成功する人 〜 その紙一重の差とは?」”(P.161)
など「興味をそそる」タイトルが望ましいとしています。
・・・さすがにこのタイトル例、2000年代なら通用しそうですが、ここは今風に手を加えるべき所かもしれません。
ただ筆者はガイドブック、無料レポートの代わりに、全てニュースレターの本文を使って、秘匿性の高い情報も提供していました。筆者のニュースレターが多少理屈っぽかったのは、こうしたこと起因しています。
ニュースレターの本文を使ったのは、ガイドブックや小冊子などの製本が面倒だったことが大きな理由です。
もちろんガイドブック、無料レポートを冊子化できる方はそれで結構です。
ただ大事なのは「情報提供」のステップを忘れず盛り込むことです。
皆さんの頑張りと成功をお祈りしています。