専門コラム 第291話 営業は自分のやり方を早く見つけた者が勝つ
今月の最初の頃、研修トレーナーとして活躍する伊庭政康さんのYouTubeチャンネルを、楽しみに視聴させてもらっています。
そんな伊庭さんの YouTube に「営業ツールは自前で作ったものを、必ず用意しておくべき」と語った動画[1]があります。
内容は後半、大体70% 辺りを過ぎたところ。テロップに「どのような営業ツールが喜ばれるのか。それを考えるのが営業の仕事です」と表示される箇所です。
この言葉から、筆者は高校時代から付き合いがある、自称「営業の天才」と豪語する友人が「営業は自分のやり方を早く見つけた者が勝つ」と言ったことを思い出します。
1)「営業ツールは自前で作ったものを、必ず用意しておくべき」
2)「営業は自分のやり方を早く見つけた者が勝つ」
この二つは、営業にとって押さえておくべき基本が隠れています。
今回はそのことを皆さんと共有できたらと思います。
[1] [【新規営業 やり方】飛び込み営業のコツ!新規営業のやり方はこれ!(元リクルート 全国営業成績一位、リピート9割超の研修講師)]
営業は自分のやり方を早く見つけた者が勝つ
1 自分を「営業の天才」と自負する友人について
話に入る前に、「営業の天才」と自負する友人について簡単に紹介しておきます。
彼は恐らく自分でも言っているとおり、まさしく「営業の天才」です。
そして彼がその道でやって行けたら、その人生で間違いなく大成功を収めたことでしょう。
でも彼はその生き方を選びませんでした。
第一に、彼と筆者と出会ったのは高校時代でしたが、彼はすでに子ども時分(おそらく小学生の頃)からトランペットを習い、音大受験を希望していました。何にも起こらなければ、彼の師匠と同じく、将来はプロの演奏家兼音楽制作者の道を選んでいたと思います。
ところが、その後、彼の人生に様々なことが起き(細かな部分は端折ります)、夢を諦めなければならなくなります。そして夢を諦めるのと引き換えに、もともと彼の中で眠っていた営業の才能が開花し始めます。
当時の彼は、離婚後引き取った我が子の養育に時間を割くため、比較的時間の融通が利く不動産会社の営業マンとなります。そして、新人営業としては破格の報酬と待遇を手にします。彼の営業の才覚が綻び始めた瞬間です。
そして次のステージでは、東京のコンサル会社で、社長に次ぐナンバー・ツーの座を獲得します。
まわりは殆どが、有名大学を卒業した超エリートばかり。
そんな中、彼には平凡な都立高校を卒業した経歴のほか、紙に書けるスキルは何もありません。唯一誇れるモノ。それは類い稀なる勇気と非凡とも言える営業スキルです。
当時の社長はそんな彼の才能を見抜き、即刻、社長の右腕に据えました。 そんな彼が、筆者に溢した言葉が「営業っていう仕事は、自分のやり方を早く見つけた者が勝つんだ」というものでした。
もちろん、この言葉は、筆者が住宅営業時代に、幾度か思い出し、そして「自分のやり方って一体何だろう?」と自分に問い続けていました。
2 やり方に正解がないのが営業の仕事
もうお分かりの方が多いと思いますが、筆者にとって「自分のやり方」とはニュースレターです。
この「自分のやり方」を見つけたことで、営業という仕事に確かな自信のようなものが生まれたことは、このコラムでも度々説明しています。
また伊庭氏が使った言葉、「営業ツールは自前で作ったものを、必ず用意しておくべき」に出てくる営業ツールも、ニュースレターです。そして伊庭氏が動画の中で強調していたのは「自前で作ったもの」であり「それを考えるのが営業の仕事」という点です。
これは、ニュースレターなど、お客さんとの関係性で「信頼」を獲得できるようにするツールこそ、自分で作るべきであり、用意するべきということです。そして、伊庭さんもこのことを強く仰っていました。
なぜこういうことが、営業では基本なのでしょう。
それは営業のやり方や方法は、幾つかのタイプには分類できるものの、細かくはその人によってそれこそ無数に存在するからです。
別の言い方を用いると、究極的には、やり方に正解がないのが営業の仕事です。
また同じツールを使っても、同じ結果が出ないのが営業の仕事の難しさです。 伊庭さんも筆者の友人も、そのことを知り抜いている。だから同じような言葉が両者から出てくるのです。
3 どんな営業ツールも目的は「信頼」を得ること
筆者がこんな言葉を用いることは、あまりないことだと思います。ただ、営業の殺し文句、キラーコンテンツというのは、やはりその営業マン自身が、その人にあったトークなり、タイミングを見つけることであって、他人から教わるものではありません。少なくともかつての営業はそうでした。
だから、他人の言葉やコンテンツを参考にしても良いけれど、それは再現性を保証するものではないと考えておくことです。
特に営業の場合、同じ相手に同じ言葉を伝えても、発信者(営業マン)が異なれば、伝わる内容に違いが生じる可能性は十分考えられます。
例えばカラオケで、どんなに歌が上手くても聞いている人の心に染みないようなものです。
ただ営業の殺し文句、キラーコンテンツが果たす役割が、信頼、親しみ、熱心さを伝えることに違いはありません。特に営業にとって、顧客から信頼を獲得することが、どれだけ難しいことかは、あらためて心に留めておくと良いでしょう。
そして、確かにニュースレターは、それがハマれば、貢献度の大きい営業ツールとなります。しかし同じニュースレターでも、目的や内容も変わってきます。そして伊庭さんが言うように、それを選択することこそ営業の仕事です。
最も避けたいこと。それはノウハウコレクターです。
もし自分が、他人が生み出したツールを「使えないツール」と揶揄するようなことがあれば、それは正すべきことだと筆者は考えます。
皆さんにとって、少しでも参考になることがあれば、嬉しく思います。
読みにくい文面に、最後までおつきあいくださって、誠にありがとうございます。
記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇
弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。
営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。
また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。