専門コラム 第316話 営業は自分に合った「やり方」を追求するのが一番
以前のコラムで営業は売るのではなくて、実は「教育」しているのだと言いました。
ただ話の腰を折るようですが、これに賛同できない方がいることを自身も気づいています。なぜなら営業方法は個々に違って当然だからです。ですから、この営業の「やり方」を強制するつもりは毛頭ありません。
そして筆者の「やり方」が、営業の全てではありません——これだけは誤解の無いようにしてください——。
他のコラムでも書いていることですが、営業で上達する秘訣は「自分でこれだと思った【やり方】を見つける」以外に道はありません。また「これだけやっていれば」、数字や成績が好転するわけではありません。オートクラインでも触れましたが、人は説得されることを嫌います。営業も同じで、自分で納得できた方法しか、受け入れられないようにできています。
ただ最低限、今後接するお客様に対して、相手が望まないことはしてはいけないと思います。しかしこれにしても、裁量は個々の営業によって任されています。
言い換えるのなら、皆さんが選べる営業方法は、筆者の方法と違って当然なのです。
営業は自分に合った「やり方」を追求するのが一番
時代背景の違いが営業に与える影響
まずひとつ言えることして、皆さんと筆者では、営業についての時代背景がかなり違います。
筆者が営業を始めた時代の主流の営業理論は、「営業は断られたところから始まる」というものでした。
まだBtoBもBtoCも大体が、飛び込み(アポなし訪問)が多かったのです。
そんな時代ですから「営業は断られたところから始まる」というのが、どの営業研修に行っても異口同音に語られていた。そんな記憶しかありません。
当時の住宅営業は、20 時30分まで訪問活動し、疲労困憊して事務所に戻ると、今度は深夜まで上司にフィードバックされることが多々ありました(営業の世界では「詰められる」とも言います)。
また、翌朝の営業会議で活動報告をすると、また上司からのフィードバックが始まりました。 飛び込み主体の会社で夜 20 時といえば、営業車でコンビニのおにぎりを頬張り、次の飛び込み先を住宅地図で探している頃。つまり次の本番の序章といった時間帯です。「住宅会社って、本当にこんなのでいいの?」と、正直思いました。
飛び込みで培った根性だけでは全く歯が立たない!
ただそのうち根性や粘りだけでは、全く歯が立たないことに気づきます。つまり、幾ら飛び込み訪問を遅くまでやったところで、営業としてお客様に信頼していただけないことには、住宅営業としては全然役に立ちません。
そのことに気づいてから、根本から住宅について勉強を開始し、特に現場にも積極的に出向くようにしました。そして職人さんの動きを見て、家がどうやって作られるかをイチから覚えていきました。この経験は、過去のコラムにも書いています。
そして次に覚えたことは、お客様の心理やマーケティングの知識です。
幸い筆者は、住宅営業における手紙の重要性に気づいていましたから、レターライティングについてはかなりやっていました。
そしてやっと行き着いたのが、ニュースレターによる見込み客の「教育(または共感)」です。
筆者が行き着いた見込み客の「教育」には、経験した時代背景はもちろんのこと、飛び込み会社での辛い営業経験も反映されています。そのため皆さんとは、理解し合えない面があっても仕方ないことです。
逆にこの「やり方」を参考にしていただくことは大いに結構です。
ただ、自分に合った「やり方」を見つける以外、営業でうまく行く方法がないことは保証します。
在籍している会社によっても選べる営業方法は微妙に異なる
また、皆さんが在籍している会社によっても、選べる営業方法は違うでしょう。
たとえば会社の形態という面で言うと、住宅会社には全国に支店展開しているハウスメーカーと、地域商圏お客様とする地場工務店があります。二つとも、やれることはかなり違うはずです。
また同じハウスメーカーでも、大手メーカーと中堅規模とで、取れる営業方法は違ってきます。また同じ工務店でも、ハウスメーカーの支店と変わらない規模の工務店もあれば、仕事の半分以上が役所の土木工事を受注しているような工務店もあります。またその工務店のなかには、設計部門を外注するところもあります。
筆者は全従業員数50~100人クラスの地場工務店で営業として在籍していました。ただし、その工務店で「営業とは教育だ」なんて偉そうに大手を奮って営業していたら、こっぴどく叱られたかもしれません。
いまどきニュースレターまで否定する会社は、さすがにないと思います。ただ口先だけの営業は、いつの時代も、どんなお客様でも嫌うはずです。
そして何らかの考えを主張する場合は、まず営業に求められることは、必要最低限の実績を上げることです。地場工務店だったら、会社でトップクラスの売上実績がなければ、主張はおそらく聞いてもらえないと思います。
皆さんの健闘を心から祈っています。
ぜひ頑張ってください。
記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇
弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。
営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。
また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。