専門コラム 第184話 営業は人柄とコンテンツ発信力がものをいう
営業は最終的に「人柄」を顧客から判断されます。
なぜなら多くの顧客は、商品の良し悪しを正確に判断できないからです。
特に住宅、それも完成品を見て判断できない注文住宅では、いっそうその傾向が強まるでしょう。
次に決め手となるもの。
それは営業マンの「コンテンツ発信力」だと考えています。
ただこの記事で扱う「コンテンツ発信力」とは、「手紙力」という意味合いのほうが適切なのかもしれません。
とういう訳で、今日は「人柄」と「コンテンツ発信力」というテーマで、コラムを進めてみます。
営業は人柄とコンテンツ発信力がものをいう
1 「人柄」。それは大部分が第一印象
では「人柄」とは、具体的に何を指しているのしょう?
まずその問いに答える前に質問です。
あなたのお客さまがどういう経緯で、このハウスメーカー、ないしは工務店を選んだのか。
その答えをご存じでしょうか?
実はこのはなし、住宅業界では常識として共有されていることかもしれません。
そう!
答えは「担当してくれた営業マンの方が、信頼できたから」。
これは実際に、住宅メーカーへリサーチを続けている広告会社の調査でも分かっている事実。
そして広告会社曰く、この答えが「ここ十数年もの間、不動の一位」だそうです。
そして営業には酷なようですが、お客さまが「信頼できたから」というのは、そのほとんどが、展示場などで出会った第一印象で決まるようです。
つまり「人柄」の大部分が、第一印象ということ。
以前、このコラムでも営業の第一印象の大事さを伝えたと思います。
まさにこのことです。
だから僕たちは何を差し置いても、まず営業として第一印象を整えることに留意すべきです。
このことで、いちばん身近で手本になるのが、大手ハウスメーカーの身だしなみです。
なお余談のようですが、服装や髪型については、多少なりともこだわりを持ちましょう。
というのも、ファッションやヘアスタイルが決まると、単純に心地よいからです。
そしてここが心地よいと、顔つきも変わります。
決して収入以上のこだわりを持つ必要はありません。
ただできる範囲で、自分の目指す方向性を求めましょう。
すると、ウソのようですが、営業成績も変わってきます。
そしてそのことを体験で分かると、 ファッションやヘアスタイルを軽視してはいけない意味にも気づきます。
2 「不在時レター」とは?
では次に、営業のコンテンツ発信力についてみていきましょう。
普段からこのコラムをお読みの方は、営業のコンテンツ発信力、または「手紙力」と聞いて、十中八九、ニュースレターのことを思い浮かべたのではと思います。
たしかにニュースレターは、営業にとって重要なコンテンツであることに違いありません。
しかし残念なことに、ニュースレターを使う営業マンは、現在も非常に限られています。
ただ自分のことを振り返ると、ニュースレターに出会う以前は、社箋を活用してのレター戦略に営業としての大部分の力を注いでいました。
そして当時よく使った戦略に、「不在時レター」があったことを思い出しました。
「不在時レター」の方法は簡単です。
平日の日中、お客さまが不在時を狙って訪問し、手紙をポストに投函します。
そして手紙の概略ですが、
拝啓
お客さまの住宅計画に非常に興味があり、
本日訪問しました。
しかし誰も戻られていないご様子でしたので、書簡を書きました。
突然の置き手紙にて失礼いたします。
……、より詳しいお話ができれば、
敷地も外部から拝見しましたが、幅を持たせたプラン等、ご提案できると考えております。
つきましては、
二日後の○曜日、夜 7 時半に電話を差し上げます。
ご都合が詰まっているようなら、無理にとは申しません。
ただ、弊社にも検討の余地が残っていましたら、
打ち合わせの機会をいただけないものでしょうか?
なお、今後の打ち合わせ場所として、
展示場はいかがかと考えております。
一方的なお願いとなりますが、
休日のお買い物がてら、弊社展示場までご足労いただけると幸いです。
それでは、何分とも宜しくお願いします。
敬具
などと、大体このようにしたためます。
そしてあとは、約束の時間ぴったりに、アポ取りの電話を入れます。
もちろん「すでに他社で検討しています」と、断られることもたくさんありました。
しかしアポが成立すると、後々比較的高い確率で設計依頼、契約もいただけました。
ここで大事なことは、こうしたお客さまの特徴は、資金計画に問題がない方。
そして価格も大事なのですが、その前に品質を最優先に検討される方が多かったことです。
ニュースレターに出会うまでは、こうした「手紙力」を駆使しながら、一流メーカーとやり合ってきました。
3 営業のコンテンツ発信力は優秀なパサーと似ている
コンテンツとは何か。
それはニュースレターにしても、封書や葉書といった手紙にしても、面談のように時間に縛られず、好きな時を選んで検討できること。
またそれがいちばんの、コンテンツマーケティングの利点でしょう。
そして発信力とは、ニュースレターや手紙を、タイムリーかつ自在に届けるチカラと言えば良いでしょうか。
こうしてみると、営業のコンテンツ発信力とは、サッカーでいう、味方のフォワードに的確なパスを送ることと似ています。
セルティック時代の中村俊輔選手のように——彼は同時に、ストライカーとしても素晴らしい選手ですが——優秀なパサーが、絶妙なタイミングでボールを出すから、フォワードはノンストレスでシュートを打てるのです。
そして優秀なパサーは、シュートを打つお客さまのクセやタイミングを予測して、正確なパスを出すことに全神経を傾けます。
言葉を換えると、僕たち営業は、決してストライカーではありません。
お客さまがノンストレスで家づくりに臨めるよう、手助けをしているのです。
皆さんのお仕事の、何かの参考になれば幸いです。
記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇
弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。
営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。
また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。