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専門コラム 第237話 営業の天才と顧客知識の関係について

    

前々回の記事[1]で、「営業の天才とはどんな人」というチャプター(「営業の天才と天才肌ではない努力家の違い」)を示しました。

この記事は、日頃愛読しているメルマガが、自身の動画でニュースレターの解説をしており、それを皆さんと共有したものです。

そして記事の最後で出てくるウルトラ営業、トップ営業と言われる人たちが、「天才肌で感覚的にこれ(ニュースレター営業)をやっている」と書きました。

もちろんこれは、メルマガの主が語ったものですが、あれから暫く経つと、「ウルトラ営業、トップ営業と言われる人たちって、ほかにもこんな面もある」と、感じるところが出てきました。

果たして「超優秀な営業マンの仕事って、一体どんなもの」なのか。

プラスアルファのようなコラムですが、2 編にまとめましたので少しお付き合い下さい。


[1] 『プライベートな話題が書けるとレターの技術は飛躍的に向上する!』

  

営業の天才と顧客知識の関係について

1 営業の天才とは顧客知識にとにかく敏感

 

結論から言います。営業の天才とは顧客知識に異常なほどセンシティブな方たちです。

言い換え流なら、天才と凡才との差は、顧客知識に対する鋭敏さの度合いにあるんだと思います。

なぜ顧客知識という言葉が急に降ってきたのか。
それは『売れる人の2つの共通点/小川忠洋』という、元々ウェブ・マーケティング系の動画が、ひとつのきっかけです。

動画をご覧いただくと分かりますが、このトピックを作ったダイレクト出版の小川代表は、「2 つの共通点」に顧客知識、これと専門知識(商品知識)をあげています。

専門知識の重要性は、このコラムで口が酸っぱくなるほど、煩く書いたテーマですし、最近では「ワンテーマ型ニュースレター」の解説で触れています。

専門知識・商品知識は、僕らの仕事で言えば、業界の書籍や同僚の先輩営業から、あるいは現場の職人さんなどから教えを乞うことが可能です。つまりこれらは、その気になれば、能力や成績に関係なく公平に入手できます。

ただ顧客知識だけは違います。その人の能力によって差が出ます。

「あれっ。そうだっけ?」と感じられた方は、顧客知識とはどういうものか、ご自分でネット検索してください。

そして小川代表の動画を見て思いました。
顧客知識に対する敏感さこそ、トップ営業と言われる人たちに共通する天賦だということ。これは自身の周りを振り返って、思い当たるところです。 なお動画では直接使っていない言葉ですが、顧客知識を得る作業を、ウェブ・マーケティングの世界では「リサーチ」と言います。そして小川代表曰く、ウェブの世界で、この「リサーチ」と同じことを、ちゃんとやっているウェブサイトはほとんどないと言っています。

   

2 「顧客のニーズ」をはじめから自覚している方は少ない

 

少し分かりづらくなりましたので補足しましょう。
深く顧客知識を得ようとすると、顧客の真の悩みや課題にいち早く到達できるのです。
そして売れる人ほど、そのスピードが速くなる。
顧客知識の仕入れだけは、能力によって差が出るとした理由はそこにあります。

そもそも顧客知識とは、営業マンによって正解がバラバラです。普通の営業は、表面的なことしか見抜けません。ところが天才営業は、顧客以上に顧客のことを知っています。

両者の違いは、天才的な営業は並みの営業より、集中して顧客に接し、そして問題点を的確な質問で引き出します。つまりファーストアプローチに絶大な強さを発揮するのが、彼らが天才たる所以です。それでいて、見込み客に妙なプレッシャーを与えません。

また営業の現場で、よく「顧客のニーズ」という言葉が出てきます。
しかし「顧客のニーズ」を最初から自覚している顧客のほうが、実は少数派です。

そうではなく、潜在的に隠れているニーズこそ「顧客にも分からないもの」と考えたほうがいいでしょう。そして超優秀な営業は、そのことを初めから気づいており、真のニーズがどこに隠れているかを探し当てるのがとても上手です。

そのため天才的な営業は、早くに顧客から信頼されます。

プラン打合せがスムーズに進むのも、営業の初期段階で顧客知識を正しく掴んでいるからです。 このことは言葉を換えると、「インサイトに長けた営業ほど、顧客知識を深く理解できる」と言えます。なお当コラムでも、インサイトについて解説したコラムがあるので、よければ参照されると良いでしょう。

   

3 顧客知識はセールス・マーケティングのあらゆる場面で生きてくる

 

顧客知識をより深く理解できること。それができる営業の証です。
またこの能力は、セールス・マーケティングのあらゆる場面で生きます。

そもそもこの小川氏の動画は、「売れる広告が書ける人の共通点」という切り口で作られています。そして小川氏も言うとおり、このことはセールスレターやダイレクトメール、またニューズレターにも使える重要な才能になります。

どうして顧客知識を得ることが、こんなにも大事なのか?

それは相手が誰だか分からず、人を動かすこと、また何かを買っていただくためのメッセージを作ることなど、本来荒唐無稽な話だからです。しかしインターネット上で仕事を進める方は、パソコンの画面に向かっていることが仕事のような状況があるため、ともすればこの荒唐無稽なことをやってしまいます。そして、そうやっているうちは、幾ら広告を試そうとも大してヒットしません。

先ほど「リサーチ」について少し触れました。
おそらくネット界隈でこの「リサーチ」に日本で最初に触れたのは、ダイレクト・マーケティングでも著名な木坂健宣氏です。

ちなみに木坂氏が化粧品の「リサーチ」をする際、自ら百貨店の売り場に出向き、女性客に混じりながら(つまり、彼女たちが使う「語彙」にも耳をそば立てて)、何時間も販売員と会話をするそうです。逆にそうしなければ、売れる言葉が何かも掴めないからと言います(彼はグーグルのキーワードツールなどの類を一切使わないそうです)。

稀代のマーケッターの彼ですら、相当地味な努力をしていることが分かります。本来「リサーチ」とは、このようにしなければ得られないものなのですね。

幸いにして、私たちは最前線で仕事をしています。
ネットの方とは違い、顧客知識は比較的得やすい環境にあります。
それでもここでの顧客知識とは、どちらかと言うとその一歩先にあるものです。 何かの参考となれば幸いです。

 

 

  

  

 

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。