専門コラム 第286話 営業にとって最良の住宅会社とは?
今日はズバリ、筆者の転職経験を踏まえながら、営業にとって最良の住宅会社とはという観点で、ごく主観的な意見を語ってみたいと思います。
もちろんですが、具体的な社名等を示せません。
ただ皆さんの中で転職を考えていらっしゃる方に、何らかの参考になることがあればと考えました。
今回の話で少しでも役立つことがあれば、筆者も嬉しく思います。
営業にとって最良の住宅会社とは?
1 あなたの「売り」は何? 営業の転職はそれを掴んでからスタートする
のっけから厳しいことを言うようですが、あなたがもし他の会社に転職を考えているのなら、あなたのセールスポイントを作ってからにしてください。
営業経験者の中途採用というと、よっぽどのことがなければ、ウリの無い営業を雇うことはありません。これが現実です。
なければ仕方ありません。それを今居るところで作ることです。
ちなみに、このコラムを読んでいる方は、ニュースレター営業のことはおそらくご存知の方も多いと思います。たとえばそれをマスターし、面接官の前で話できれば、あなたを使える営業か否か、すぐ分かるでしょう。
自身のセリングポイントをマスターすること。これは転職者の必須条件だと思います。
そして自分の「売り」にニュースレター営業を挙げたとすると、重点見込みが出現する時期や大まかな頻度も分かっているでしょう。マスターとはそういうことです。
またそれによって、年間何棟受注できるかも察しがつくでしょう。
面接官にもそのぐらい具体的に「御社の貢献できそうな数字」を伝えられたら、あなたのことを、ほぼ間違いなく採用してくれると思います。
幸いにしてニュースレターは、どのような住宅会社でも結果が出ます。
できれば、このぐらい結果を確実なものにしてから転職を進めましょう。行き当たりばったりの転職はケガの元です。
そして志望先から「いつから来れますか?」、あるいは「〇〇日から出社して欲しいのですが」といわれてから、現在勤務しているところに「退職願」を出します。
もちろんこの場合のセールスポイントは、ニュースレターにこだわらなくても結構です。
また大手に勤めていたという職歴が買われ、転職がスムーズに進む場合もあります。
ただそいうものがなくても、ニュースレターや営業レターは、面接の際に現物として提示でき、転職資料としても十分存在価値を発揮します。
仮に「こんなことをやって住宅が売れるの?」と面接で問われたら、その面接は時間の無駄でしかありません。すぐその場を片付けてお暇する体勢を作ってください。今どきニュースレターも分からないようでは、先が思いやられます。 ということもありますから、現在勤務しているところに「退職願」を出すのは、先方から「いつからウチに来れますか」と聞かれた後にします。
2 狙い目はあえて募集を掛けていないところ!
営業が転職先として検討する際は、出来ることなら大手が良いと思います。
理由は労務管理や給与体系がしっかりしているからです。
労務管理とは、簡単に言ってしまうと「労働時間」「労働の対価」「業務内容」「評価と処遇」に関する契約内容のこと。地場の工務店で、この辺ことがしっかり考えられている会社があることのほうが、めずらしいでしょう。
筆者も最初に検討したのは大手メーカーです。
なぜそうしたか。それは給与体系がしっかりしていたからです。もっと具体的に言えば、給与が高かったからです。
これが地場の工務店となると、そうはいきません。
しかも筆者の場合、初めての業界ですから右も左も分からない状態です。この状態で、初めから地場の工務店を選んだ場合は、今ごろこんなコラムを書いていることなど、想像もしなかったでしょう。
特に筆者の場合、いろんな面で教育やサポートを受けていました(この辺のことはコラムにも書いています)。当時の上司や同僚がいなければ、仕事の難しさや言葉のわからなさに、すぐ挫けてしまったかもしれません。
では転職先として、一見するとハードルが高そうな大手、準大手メーカーです。しかしときと場合によっては、そうでもありません。じゃあ何をするかと言うと、募集の有無に関わらず、応募してみるということです。
もちろん、いつまでもこの方法が有効なわけではなく、年齢的に限界もやってきます。
ただ皆さんがまだ 20 代、30 代の若手と言われる年代なら、転職できる可能性はまだあります。諦めずにアタックしてください。
そしてあなたが営業なら、最初のアプローチの仕方はあなたのやり方にお任せします。
飛び込みの要領で、応募資料を送ってもいいし、電話で人事に問い合わせしても良いでしょう。そして運良く「資料を送って欲しい」と言われたら、ダメもとで送ってみるのです。 転職サイトを見ると、定番的に顔を出しているしか思えない会社もあります。そういうことろは、大手・中小問わず、営業を使い捨てと考えているとしか思えません。それなら募集を掛けていないところでも、しっかり企業研究をして応募した方が、かえって良い転職ができます。なぜならほとんどの会社は、良い人材を常に求めているからです。
3 中小の工務店にも労務管理や会計のプロが居て良いはず
では中小の工務店はどうでしょう。
筆者は自分の営業経験によって、転職先の区分けを考えています。
つまり営業経験が少ない、また営業経験者でも住宅営業が初めての方ほど、大手・準大手メーカーに照準を合わせて転職を考える。
逆に営業経験が豊富な方は、大手では実現できない中小のプロ工務店に転職するのだと。
まあこれが理想論と言われれば仕方ありません。ただ、できればそのように転職するのが、営業にとって最良の住宅会社という観点でも合うのだと思います。
その意味では、皆さんの多くが所属する中小の工務店は、プロの集合体とも言えます。
ただこれも理想と言われれば、そうかもしれないのですが、地場の工務店でも、労務管理や会計のプロがいるのが本来の姿ではないかと思います。
ぜひ皆さんも転職の際に、労務管理や会計、あるいは人事の部署があるか尋ねて欲しいと思います。
長くなりますから、詳しくはまた別の機会に譲りますが、
あるときハウスメーカーを飛び出し、地方のユニークな(設計事務所のような)工務店に転職した筆者でしたが、労務管理やお金に関することを一任された部署がありました。
その部署は家や建築のことはさっぱり分かりませんでしたが、筆者はハウスメーカー時代と(つまりは前職と)同レベルの給与を得ることができました。
転職というのはつまるところ、労使間の雇用契約です。
それなのに中小の会社ではこのような部署、労務管理が軽視されている。その現実を、営業としては、常々危惧するところです。 転職希望者が少しても良い条件で、市場を渡っていけることを祈っております。
記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇
弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。
営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。
また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。