専門コラム 第213話 営業とは「信頼の獲得」に他ならない
今日のコラムは、営業にとって「信用・信頼」が、どのぐらい大事なものか書いてみます。
もちろん「信用・信頼」は営業活動にとって大事な要素です。ただどういう訳か、これまで単独では取り上げて来なかったテーマです。
話の流れで「信用・信頼」について、これまで言及したことはありました。
それもここ最近の記事でも、このことには触れていたと思います。
そういう意味で言うと、もうそろそろ「単独では取り上げ」るタイミングかと考えました。
それでは少しずつ話を進めていきましょう。
営業とは「信頼の獲得」に他ならない
1 営業の本質は「信頼の獲得」
もし誰かに「営業の本質って何?」と問われたら、筆者は迷わず「信頼を得ること」と答えると思います。
つまり、私たちが日々行なう営業活動をひとことで言い表すと、「信頼の獲得」ということのなろうかと。
また、筆者が信用・信頼という言葉で思い出すのは、山下義弘(通称、ビリーさん)さんが書いた『売り込まなくても「トップ営業」になれる!――紹介・口コミだけで10年連続No.1』(大和出版 2008/9/1)という書籍です。
この本の前半部分で、ビリーさんは上司から「残り 1 か月で結果が出なければ、やむなく退社してもらうことになる」と通達を受けます。
そしてこの苦い通達の後、転職前のビジネスセミナーで一緒だった方が、「仕事終わりに夕食でもどうか」と、ほとんど偶然、電話を掛けてきます。
そしてセミナーで一緒だった方は、出会って早々「いまの君の顔を見ていると、何だか疲れているように見えるけど……」と漏らし、ビリー氏にこのような言葉を投げかけます。
営業マンやセールスマンって、人に商品やモノを売るのが仕事なんだけど、どういうわけか直接売り込みをすると嫌われるし、売れないよね。理想は、向こうから『買います』『売ってください』といってくれたり、お客さんを紹介してくれる人が自分の周りにたくさんいることだと思わない?
『売り込まなくても「トップ営業」になれる!』より抜粋
ビリー氏はその方に「そんなことは理想にすぎない」と嗜めますが、どうやら知人には、ビリーさんに伝えたい考え・理論があったようです。
そして、それは
ひとことでいうと、『知人、知り合い』を君自身が驚くほどたくさんつくること。中途半端な人数ではなく、本当に数多くつくること。これが最大のポイント。
『売り込まなくても「トップ営業」になれる!』より抜粋
また次のようにアドバイスをくれます。
————そこから始まるんだよ、今後の関係は。君の知人や知り合いの数が多ければ多いほど、君のことが(保険の営業をしていることなども)知られる。そのなかに君のことを信用・信頼していたり、君のことが好きな人がいれば『どうせお客さんを紹介するなら山下君に紹介しよう!』となるんだよ。
『売り込まなくても「トップ営業」になれる!』より抜粋
だって自分に置き換えて考えてごらん。どうせ何かを買うなら、イヤなヤツや嫌いな人から買わないでしょう? 信用・信頼できる人から買いたいと誰もが考えていると思わない? これって1つの法則(ライクの法則)なんだよ。————
『売り込まなくても「トップ営業」になれる!』より抜粋
ライクの法則とは「人は自分と似た人を好きになる」ということ。
たとえば会社の研修で出会った方が、出身校が偶然同じだったことから話が盛り上がり、配属先が離れていたけれど、見込み客を紹介し合うようになったとか……ありますよね。それと同じです。
「自分と似た人」とは、出身校のほかにも、部活が一緒とか、音楽の好みが似ているとか、好きな作家が同じなどもこれに該当します。
2 営業の本質を実感として理解するには?
そしてこの話こそ、営業を進める上で、とても大事なことを伝えています。
つまりこの知人はビリーさんに向けて「営業の本質ってこういう事だよ」と、噛み砕いて説明しているのです。
筆者はこのレストランでの会話だけで、この本の半分以上のことを語っている気がしています。
その部分、つまり本質を要約してみると
1)知人、知り合いを多くつくる。そして、この知り合いのなかに、
2)あなたのことを信用・信頼してくれる人、あなたのことが好きな人を多く持つ
3)すると、たったこれだけで、他の営業が羨むようなトップ営業になれる。
ようは「知人、知り合いを多くつくり、あなたのことを信用・信頼してくれる人を多く持てば良い」と言っているのです。
そして知人から教わったメソッドをベースに、ビリーさんの快進撃はこの翌日から始まります。
(なお「知人、知り合いを多くつくる」とは「集客」のことを言っています。もちろん「集客」も営業の本質のひとつとして見ていいということです。
これについては、別の記事で書こうと考えていますので少しお待ちください)
もちろんこのメソッドですが、うそやデタラメではありません。
この本をお持ちの方は分かるでしょうが、本書にはこの本に書かれたことを実践し、数多くの方(営業担当や経営者)が成功しています。つまり誰にでも再現性があるメソッドなのですね。
そして多くの営業は、すでに「信用・信頼」が営業の本質ということを実感しています。
では「信用・信頼」が営業の本質ということを実感するには、全ての営業はビリー氏が考案した営業メソッドを実践しなければならないのでしょうか?
それもいい方法なのですが、これが営業の本質ということを、もっと簡単に気付く方法があります。次項ではそれを説明しましょう。
3 ニュースレターを使うとクロージングが不要となる?
「信用・信頼」が営業の本質ということを、実感するのに必要なこと。
それは前もって、顧客の信頼を得ておくことです。
これをすることで、営業はその後の展開がウソのようにラクになります。
「前もって、顧客の信頼を得ておく」とは、クロージングを先に済ませておくと言い換えても良いでしょう。ないしはクロージングが不要な営業をすることです。
こうすることで信用・信頼が営業の本質ということが実感できるでしょう。
『売り込まなくても「トップ営業」になれる!』でも、山下ビリー氏が紹介客のもとに訪れると、印鑑とペンを用意してビリーさんが来るのを待っている例が紹介されています。そしてビリーさんは「これでよろしいでしょうか」という一言で、クロージングが完了します。
実は他にも方法があります。
カンタンです。ニュースレターを使うのです。
つい先日も「上手くいっている営業ほど、クロージングという技術を使っていない」という記事(2022.8.2投稿「物を売ろうと思ったら“売りたいと考えるのを止める」)を、このコラムに上げています。
まあ注文住宅の場合、プラン等の打ち合わせがありますから、保険のようにはいきません。
しかしニュースレターを使うとほとんどケースでは、特命であなた、もしくはあなたの住宅会社に決める腹づもりでお客さまは待っています。
何故そんなことが可能なのでしょうか?
それはニュースレターを使うと、あなた、またあなたの会社を、お客さまが信頼するように変わるからです。
ニュースレターが正しく機能すると、このようなことが真面目に起きます。 次回はこの続きと、営業の本質について、もっと掘り下げて観ていきましょう。
記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇
弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。
営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。
また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。