専門コラム 第7話 OB客訪問
OB客訪問
現在折衝中のお客様をOB客の御自宅に案内した経験は、みなさんおありでしょうか。
会社によって呼び方が異なりますが、これをOB客訪問やオーナー宅訪問、あるいは完成現場訪問などと呼び、言い方は様々です(ちなみに建築オーナー様のことを“OB客”とよぶのは、建築業界独自のものみたいです)。
OB客訪問は良いタイミングで実施すれば、その後のプラン打合せをより有利に展開させてくれます。
ここではOB客訪問がもたらすメリットを解説します。
プラン折衝に疲れたらぜひ実施!「OB客訪問」のメリット
プラン打ち合わせに疲れた時こそ、OB客訪問を実施するベストタイング
OB客訪問はなぜ実施するのか。
それは多くの場合、自宅に取り入れてみたい設計上のアイデアを、実際に建てた現場(OB客のご自宅)で確認することにあります。
そのためOB客訪問は、実際にプランの打ち合わせが始まってからの方がより効果的です。
またプラン打ち合わせが楽しいのは最初の2回目ぐらいで、それ以降はお客様も次第に疲れてきます。
まして競合他社の打ち合わせも重なれば尚更です。
そこでタイミング良くOB客のお宅に連れ出すことは、折衝中のお客様にとってもちょっとしたインターミッションタイムとなるでしょう。
うまくすればOB客訪問が、自分たちの将来的な姿を、イメージしてもらえることにもなるかもしれません。
このためOB客訪問を実施するのは、プラン打ち合わせが2回から3回ほど経過した辺りがベストタイミングなのです。
OB客は第二の営業マンに早変わり?
これは不思議と共通していることですが、折衝中のお客様を受け入れてくれるOB様は、自宅の説明がとても上手です。
そのため営業がたとえ全くの新人でも、一向に問題はありません。
まさにOB客は第二の営業マンなのです。
またOBを選択する場合、自分が営業担当した方にこだわる必要はありません。
特に駆け出しの営業マン、転職したばかりの営業マンは、残念ですがまだ案内できる現場もほとんどありません。
その場合は先輩や営業リーダーに頼んで、同行をお願いしましょう。
そのとき先輩やリーダーが当日同行出来なくても良いように「この日、何時にお客様をお連れしますが、当日はよろしくお願いします」と、担当者が前もってOB宅に挨拶しておくのもいいでしょう。
先程も書きましたが、家のことはオーナーご本人が自分の思いを語ってくれます。
担当者は約束時間に折衝客を連れ出すだけで良いのです。
なお案内当日は、OB様の時間を少なからず拘束することになります。
そのため訪問する際は、時間厳守を徹底してください。
また訪問後は電話・メール等で、必ず当日中にお礼を伝えるようにしてください。
そうすれば、また次も訪問を了承してくれます。
OB客訪問は「経営レベル」で考えるべき重要なテーマ
冒頭でも触れた通り、OB客訪問を受け入れる家のほとんどは、何かしらの設計ネタ(アイデア)が上手く使われている家です。
そしてOB客訪問のメリットは、
- ネタを実現化できることを現物でお見せできること
- OB客が満足している様子に悪い印象を持つ方は少ないこと
です。
なおネタの一例には、
- エントランスクローク/シューズクローク
- スキップフロア
- オープンLDK
- 回遊性プラン
- 勾配天井
- パントリースペース
- 室内物干しスペース
- ワークスペース
などがあります。
上記のような設計ネタが効果的に取り入れられている家が、OB客訪問でも喜ばれます。
OB客が自分の住宅について熱く語ってくれるのは、自分が会社のファン客のひとりということを自認しているからであり、自邸が好みの設計ネタを取り入れ、念入りに設計をして建てられているからです。
こうしたファン客をどう育て、“第二の営業マン”となってもらうか、会社レベルで検討するべき重要なテーマだと言えます。