専門コラム 第290話 商品のストーリーを語れる営業を目指せ
今回は先週お約束したとおり、セールスとストーリーの関係をワンコラムに拡大して解説してみます。
実は営業におけるストーリーの重要性は、過去にも何度か取り上げてきています。
たとえば『セールスライティングにおける「ストーリー」とは?(専門コラム 第228話 セールスライティングにおける「ストーリー」とは? 2022.11.13投稿)』などもその一つです。
よかったら本稿と併せて、読み比べてみてはと思います。
それでは始めていきます。
商品のストーリーを語れる営業を目指せ
1 トップセールスは商品の機能や特性より、商品が生まれたストーリーに着目する!
トップセールスとは自社が扱う商品やサービスが持つストーリーに、異常なぐらい関心があります。言い換えると、その商品が生まれた背景や歴史を詳しく知りたいと思っています。
それは先般のコラムでも書きましたが、皆さんの周りのトップセールスは、漏れなく世の役に立ちたいと本気で考えている人だからです。
そしてそれを掴むと、今度は商品の機能、特性といった目に見えるものではなく、商品の持つ背景や歴史といったものを売ろうとします。トップセールスとはそういう人種だからです。
こちら[1]をご覧ください。
これは「寅さんから学ぶ物語を売る営業」という副題を持つ動画です。
この動画を見れば分かりますが、セールスの根本は、この国に香具師(やし)やてき屋が全盛の頃から本質的には変わりません。それは商品ではなく、商品のストーリーを売るということです。
これができるのが本当のトップセールスです。
なお、伊庭さんはリクルート出身の営業マンということで、今は懐かしいアルバイト求人情報誌「FromA(フロム・エー)」が生まれた背景、ストーリーに着目し、それを伝えることで、多くの取引先から共感をもらったと語っています。
また我々のような住宅会社なら、会社の創業期の精神や社長のキャラクターになどに、ストーリーが隠れている場合があります。それらを先輩社員から教えてもらうということも、やってみるといいかも知れません。 筆者はハウスメーカー時代、創業社長が大変ユニークな存在だったことから、「自分を売れ」の他に「社長を売れ」といった言葉も実際にありました。参考までに付け足しておきます。
[1] [#寅さん鉛筆を売る](https://www.youtube.com/watch?v=oLhrog9c768&t=18s)
2 人間は根本的に物語のあるコンテンツが好き!
そしてこれは動画では触れていないことですが、人間は本質的にストーリー(物語)のあるコンテンツが好きだということです。
マーケティングの世界では、ストーリー性あるコンテンツや、「ストーリーテリング(Story Telling)」というテクニックも実際に使われています。
その点でいうと、あらためて「情熱大陸」やNHKの長寿番組(現在は特番化して放映されている)「プロフェッショナル 仕事の流儀」といったドキュメンタリー番組に、いまも根強い人気があります。
ただ気をつけたいことは、幾らストーリー性あるコンテンツがお客さまから好まれるからと言って、こういったことは突然訪問した玄関先で話すものではありません。なぜならお客として聞く側にも、それなりの準備が必要だからです。
ではどういう場面で語ったら良いでしょうか。
筆者が真っ先にすすめたいのは、メルマガやニュースレターといった手紙コンテンツです。
ここなら、お客さまも落ち着いた状況でストーリーを楽しめるでしょう。
そうです。一般にストーリーは文書コンテンツ(書かれた言葉)と、とても好相性なのです。 それ以外では展示場でのトークです。
一般に展示場では、営業側に話しの主導権があります。もちろん、あまり長くなってはいけませんが、展示場もストーリーや込み入った話を語るのに適したシチュエーションです。
3 何でも売りこなしてしまうパワーが「ストーリー」には備わっている
ストーリーはとにかく強力です。
実は映画『てんびんの詩』で大作の初めてのお客になった女性も、大作が語る自分のストーリーに絆(ほだ)されて、彼から鍋蓋を買ってあげる決断をします。
この事から分かることは、通常なら売れないモノも、容易に売りこなしてしまうチカラがストーリーには備わっているということ。
そういう意味で言うと、ストーリーと相性の良いニュースレターも、なかなか強力なコンテンツと言えます。
どちらも正しく使えば、お客さまから「信頼」の二文字を余裕で獲得できます。
そしてこの「信頼」こそ、ビジネスでもっとも手中に収めることが難しいものとされています。
だから、ストーリーと正しいニュースレターが作れるようになると、営業でほぼ悩むことはなくなります。この二つを手に出来ると「信頼」を余裕で獲得でき、あなたの商売は永続的に繁盛するからです。 これでストーリーというテーマを、あえて別のコラムにまとめた理由が分かっていただけたでしょうか?
記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇
弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。
営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。
また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。