専門コラム 第99話 受注を生む「プラットフォーム」を持っていますか?
「訪問しない営業」というと、元トヨタホームの営業マンで、現在は営業関連の執筆や講演等で活躍する菊原智明氏の、『訪問しないで「売れる営業」に変わる本―4年連続No.1が明かす』(大和出版 2006/10/1)を、筆者は思い出します。
菊原智明氏も営業マン時代にニュースレター(氏は「営業レター」に言葉を変えているようですが)に出会い、訪問せずともトップ営業になれる体験をこのデビュー作で明かしています。
筆者はこの当時すでにニュースレターを使っていましたが、実際ニュースレターを上手く使えば、営業が訪問しないでも「買う気満々の客を営業マンの前に連れてくる」ことができます。
あなたはそんな受注を生むプラットフォームを持っているでしょうか?
受注を生む「プラットフォーム」を持っていますか?
「訪問しない営業」が本当に可能か「ミニテスト」を実施
筆者は現役の頃、ミニテストを 2 回ほど実施しています。
それはニュースレターを使うと本当に「訪問しない営業」が可能かと言うものです。
当時よりニュースレターの手応えは、すでに感じていました。
手応えというのは、展示場に来展されてもアポが成立せず、なかば「捨て客」となったリストでも、ニュースレターを送るだけで、次回のイベント(大体は完成見学会)に再度来場してもらえるかということです。
当時筆者が在籍していたのは地元の工務店でしたから、訪問していないことが、下手すると社内にバレる可能性がありました。
しかもテストは、ニュースレターを送って再来場してもらうだけではダメで、最低でも受注に向けた打ち合わせを「お客様の方から」お願いされるレベルを、合格ラインに求めていました。
今から考えると、ずいぶん大層な考えでミニテストをやったものです。
ただ予想に反してこのテストは、そこそこの結果をもたらしました。
つまり「訪問しない営業」というものが、実際に可能だということです。
ニュースレターを使えば営業活動がとてもシンプルになる
このときデータも取っていたのですが、あくまで個人が計測した少ない数の集計です。
たとえデータが残っていても、もちろん使いものにはならないでしょう。
さて、テストの結果ですが、地方の工務店が行う完成現場見学会でも、最低1件から2件の受注を前提とした見込み客が現れました。
もちろんミニテストで試したとおり、リストにはまったく訪問を掛けていません。
それでもこの間、すでに何度か面談したかのように「中川さんにお聞きしたいことがあって…」と、筆者を指名で来場してくれます。
このとき思ったことは、ニュースレターを使えば営業活動がとてもシンプルになるということ。
今流の言葉を使えば、しっかりしたプラットフォームさえあれば、住宅の受注活動は驚くほどシンプルになります。
訪問しなくても受注できることが分かると、もう打ち合わせ以前の無駄な訪問は一切やらなくなりました。
そのかわり、新たなリストを開拓するための飛び込み訪問の回数が、かえって増えたぐらいです。
その他はおもに成約予定のお客様の打ち合わせ準備(プラン作成や修正作業)や、工事中の現場確認などに時間を使ったことが思い出されます。
住宅ビジネスのプラットフォームにはニュースレターが合っている
あらためてプラットフォームという言葉。
いつから使われるようになったか記憶はありませんが、受注や売上を作り出す土台となる環境を指します。
ここではニュースレターがビジネスを動かすプラットフォームとして機能していますが、無料レポートや何らかのオファーがプラットフォームとなることもあります。
別の言い方をすると、プラットフォームとは受注や売上が読める仕組みです。
まさに冒頭にも書きましたが「買う気満々の客を営業マンの前に連れてくる」仕組み(この言葉は神田氏の言葉ですが)がプラットフォームです。
プラットフォームがしっかりしているビジネスは、より安定したビジネスだと言えます。
もちろん筆者はニュースレターをビジネスの主軸にしていましたから、浮き沈みがある受注営業の割に、比較的ビジネスは安定していました。
またプラットフォームを意識していれば、数字が多少ぐらついても、大抵は手の打ちようが分かります。
個人の営業マンも、どういった営業ツールをここに据えるかを意識しておくことはとても重要です。
なぜ筆者が「訪問しない営業」のため、わざわざ 2 回もミニテストをしたのか。その訳がここにあります。
筆者はニュースレターを自分のプラットフォームとして意識してきました。
多分住宅ビジネスには、ニュースレターが合っていると思います。