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専門コラム 第347話 ビジネスオーナーに対するアプローチの手法とは?

 

先日「機会があれば、ビジネスオーナーに対するアプローチの手法についても触れてみますね」と、記事[1]の解説のなかで申しました。

本日のコラムはそれに応えるカタチで、ビジネスオーナーに対するアプローチを上げてみます。

ポイントは大まかに 3 つです。

  1. ビジネスオーナーに対するアプローチは基本的に飛び込みである
  2. アプローチする業者は、地域特性を考慮し、ある程度特定する
  3. ビジネスオーナーに対するアプローチはあくまでサブ。メインの集客を疎かにしない!

本文ではこの3点に絞って、コラムで推奨するアプローチ方法を解説してみます。


[1] 違いを伝える重要性とレターを使ったリストの増やし方のアイデア(2025.2.12投稿済)

  

ビジネスオーナーに対するアプローチの手法とは?

ビジネスオーナーに対する「売らない飛び込み訪問」の方法

ビジネスオーナーに対するアプローチについて、このコラムでお勧めしたいのは、やはり飛び込みです。

理由は多くの営業マンが新人時代に経験しており、勝手よく知るアプローチの手法だからです。

しかもこの場合の飛び込みは、BtoC ではなく BtoB です。

「to Consumer」ではありませんから、ターゲットに出会う確率も高くなります。

なお記事の解説で触れた『ハイパワー・マーケティング』の例は、

地元にある、大手小売チェーン店のオーナーすべてをターゲットにするように

と、ジェイがクライアントに指示を出していました。

しかしここでは、主に地元資本のビジネスオーナーをターゲットとしています。

ただ飛び込みといっても、昨今インターネットを使えば、アプローチリストを簡単に入手出来るようです。

そして入手したリストに電話やメール営業を仕掛けるというのが、今風のすっきりとした飛び込みのスタイルなのでしょう。

しかし今回の相手はビジネスオーナーであり、直接会って挨拶は交わしておきたいもの。

と言うのも、一度でも挨拶を交わしておけば、相手がどういう人間か、おおよそ察せるからです。

依って、電話やメール営業といった方法よりスタンダードな飛び込みのほうが、こちらとしても好都合なのです。

また同じことを言うようですが、一般の個人であろうとビジネスオーナーであろうと、飛び込み先で売ってはいけません。

ではこの飛び込みの目的は何か?

それは正式に挨拶を交わし、ニュースレターを手渡すことです。

だから初回だけでも、スタンダードな飛び込み面談を終えて欲しいのです。

具体的には、自分はこの近くで、住宅や店舗の設計建築を請け負う業者であり、何か御用命があれば、たとえ土工事からでも見積もりに伺う等々、手短に話します。

そしてその際に、名刺と一緒にニュースレターを渡します。

面談できた場合は、いつものようにサンキューレターで、突然の訪問にもかかわらずお目にかかれたお礼の言葉をしたため、このハガキを即日ポストに投函します。これは出会った時の印象を、オーナー自身の記憶に留めてもらうためです。

その後も頃合いをみながら、ニュースレターを届けにあがります。

ただ先方から質問がなければ、住宅の話は一切口にはしません。

その代わり相手の業界の近況について関心を示し、こちらも同業他社を歩いて感じたこと、仕入れた情報などを、それとなく伝えます。

つまり以前にも触れたように[1]、対面は過敏を取り除くこおを目的とし、売ることはニュースレターにお任せするということ。 これがこのコラム流の、「売らない飛び込み訪問」です。


[1] 『展示場を中心とした営業の進め方【まとめ編】』を参照(2024.9.17投稿済)

 

金のなる木がどこかを正しく見極める!

ビジネスオーナーにアプローチする際の 2 つ目の注意点は、訪問する業者をある程度特定することです。

その理由は、業者をある程度特定することで、業界にも詳しくなり易いからです。

業界に詳しくなることは、BtoB 営業の基本です。

さらに多忙なオーナーの関心ごとは、常に業界や他社の動きというものにあります。

前項で「こちらも同業他社を歩いて感じたこと、仕入れた情報などを、それとなく伝え」るとしたのは、その為です。

また歩く業界を絞るもうひとつの理由は、できれば景気に左右されず、その地域で「勝ち組」の業界にアプローチしたいからです。

ここで一例を挙げてみましょう。

住宅営業の S さんが赴任当時していたのは、国内でも有数の第一次産業が強い地域。

彼の営業エリアは特に農業が盛んなテリトリーにあります。

そこで彼が訪問先に選んだのは、農家や園芸店に卸売りをしている種苗・園芸卸しの業界です。

産業構造が異なる都市部に方に聞いても、種苗・園芸卸しの業界がどう言うものか、ほとんどの方が分からないと思います。

ただこの業界には、中央にある大手というものがほとんど存在しません。

別の言い方をすると、中央の大手が入って来ないということは、地方ではいわゆるブルーオーシャンを生み易いとも言えます。

しかもこの業界は、ある程度寡占化が進んでいます。

営業マンの S さんは、種苗・園芸卸しの業界から 2 社ほど繋がりを付け、うち 1 社から次期社長になるご子息の注文住宅 1 棟を皮切りに、その後も細かな工事をいくつか受注しています。

ちなみに、ビジネスオーナーに当たる父君の邸宅は目を見張る豪邸です。

S さんはこの会社の事業の成功にも目を付け、一代で築いた成功の理由についてもお聞かせ願ったと言います。

お洒落なショップを回っても、ビジネスオーナーが多い都市部なら、何らかの仕事に繋がるかもしれません。ただそれよりも大事なのは、歩く業界をどこに据え、金のなる木がどこにあるかを、正しく見極めることです。

 

成功のカギは一点集中がもたらす

最後に 3 つ目の「メインの集客を疎かにしない」についてです。

住宅業界でいう「メインの集客」とは、展示場や見学会での集客です。

逆に言えば、ここの集客が安定しているから、サブの集客であるビジネスオーナーに対する飛び込みも、安定した気持ちで臨めるのです。

違う言い方をすれば、メインの集客の成功が、飛び込みの成功を呼んでいます。

私たちの仕事の成功の秘訣は、マルチタスクにあると考えがちです。

しかし多くの成功のカギは、一点集中がもたらしていることを忘れてはいけません。

そのことを明らかにしているのが、米国実業家のゲイリー・ケラーが書いた『The One Thing』(SBクリエイティブ 2014/1/21)です。

興味がありましたら、ぜひ手に取ってみるといいでしょう。

そして成功のカギを更に絞っていくと、最後に残るのは多分ニュースレターです。 つまりニュースレターこそが、大部分の成功のカギを握っています。

 

  

  

   

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。