専門コラム 第47話 ニュースレターの書き方・始め方⑤
ニュースレターの書き方・始め方について、全部で5つの記事を上げましたが、今回はニュースレターにまつわる有名な法則についてまとめておきます。
その法則とは「ザイアンスの法則(単純接触効果)」と「返報性の法則」です。
ニュースレターについて、最後にもう一本、大まとめの記事を上げる予定ですが、ニュースレターの書き方・始め方については、取り敢えずこれを最後にと考えております。
それでは始めてみましょう。
ニュースレターの書き方・始め方⑤
「ザイアンスの法則(単純接触効果)」とは
「ザイアンスの法則(単純接触効果)」とは、1968年、アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスが広めたといわれる人間心理の一つの法則です。
内容は「人は接触回数が増すほど対象について好感を持つようになる」というもの。
日本では「単純接触効果」とも表現されています。
「ザイアンスの法則」に従うと、営業は訪問接触回数が増すほど顧客は対象(営業マン)について好感を持つようになりますが、ニュースレターも営業マンの訪問と同様の効果を持つことから、そう呼ばれるようになったと言われています。
「ニュースレターも営業マンの訪問と同様の効果を持つ」とは、ニュースレター冒頭の近況報告、巻末に設定されたプロフィール写真などが代替わりになって、同様の効果があるとされています。
このことから、営業を使って訪問活動をさせている会社は、支店(会社)単位ではなく、個々の営業マンにニュースレターを発行させる方が「ザイアンスの法則」が生き、ニュースレターがより効果的に作用します。
ところが、一部の工務店が発行するニュースレターには、社長のプロフィール写真が載っていても、営業マン個人のプロフィール写真がないケースがたまに見られます。
これでは社長と顧客との信頼関係は生まれても、営業マンとの信頼関係は生まれません。これではニュースレターの意味を成しませんので注意するべきです。
「返報性の法則」とは
二つあると混乱しそうですが、ニュースレターには「ザイアンスの法則」の他に「返報性の法則」というものもあります。
「返報性の法則」とは、相手から与えてもらった好意に、お礼したいという気持ちが芽生えるという考え方で、社会心理学者ロバート・B・チャルディーニが広く提唱しました(そのため「チャルディーニの法則」とも言われます)。
「返報性の法則」とは、ある意味で相手に小さな「貸し」を作ることになります。
ニュースレターも「返報性の法則」によって、お客様に小さな「貸し」を故意に作ることになります。
これを嫌がって、ニュースレターの送付を断るお客様もいます。
こうした場合、ニュースレターを使う営業マンは、無理にレターを送らないように気をつけましょう。
もちろんニュースレターも内容によっては、こうした法則や原理が全く効かない場合もあります。
そのためニュースレターを使う方は、小さな「貸し」を作るといった考えを捨て、見込み客を喜ばれるニュースレターを発行するよう心がけることが大切です。
「売り込まない」ニュースレターの本文は出来るだけ中立に徹する
最後に法則ではありませんが、一つ注意点として書き漏れたことがありましたので付け加えておきます。
それはニュースレターの教育コンテンツ(商品や会社の選択基準を伝えるコンテンツ)ですが、出来るだけ中立の立場に徹するということです。
例えば住宅の断熱には、充填断熱(RC造は内断熱)と外張り断熱(RC造は外断熱)があります。
この場合、たとえ自社で充填断熱工法を選択していても、外張り断熱のメリットも中立的な立場で記述しておきます。
そうすることで、ニュースレターからセールス臭さが消えます。
また記述している内容に偏りがなくなり、ニュースレターの情報に信頼性が生じます。
その上で「どうして私どもが充填断熱工法を選択するか」を書き加えれば良いのです。
住宅会社は未だ競合の工法を貶す傾向が蔓延していますが、もしその考えが正しいとしたら、施主が実際に住んでから「選択が誤った」ことに気づくはずです。
ニュースレターに記述する情報は、双方のメリット・デメリットを公平に伝え、顧客の志向を故意に誘導してはいけません。
これが顧客から愛されるニュースレターを書く、重要なコツとなります。