専門コラム 第155話 ニュースレターと向き合うと出てくる 3 つの疑問
記事は前回に引き続き3つのテーマから、ニュースレターにまつわる疑問について紐解いています。
その意味で今回の記事は、最近のコラム[1]の続編といっても良いでしょう。
また今回の疑問は、ニュースレターの本質に繋がる重要な部分にも触れています。
このコラムが、少しでも皆さんの参考になれば嬉しく思います。
[1] 仮タイトル:『ニュースレターを出す上で引っ掛かりそうな3つのポイントとは?』
ニュースレターと向き合うと出てくる 3 つの疑問
疑問①「こんなことして、本当に売れるだろうか?」
ニュースレターに疑念を抱く営業マンがよく口にする言葉があります。
「こんなことして、本当に売れるだろうか?」
何故このような言葉が発せられるか。
それは手紙を書くと言う行為そのものが、彼の知る「営業らしい言動」にフィットしていないからです。
そしてこれがブロックとなり、ニュースレターを出すことを止めてしまう。
こんな営業マンが実に多いことを残念に思います。
しかし営業の神様として知られるジョー・ジラード氏[1]は、一通の手書きのカードを彼の見込み客リストに毎月送っていました。
時代からも、相当やり手だったことを匂わせるジラード氏ですが、意外にも繊細な一面も併せ持つセールスマンということが分かります。
また彼は、人と接する仕事、サービス業に従事する人は、顧客や見込み客との連絡を絶やさない手段を持つことが重要であるとも言っています。
これはまさに、日頃コラムで伝えているニュースレターの基本戦略と同じ考え方であり、ジラード氏が、顧客の記憶に残り続けることの重要性に気づいていたことを示唆します。
言い方を換えると、営業のレター戦略は、決して邪道などではありません。
一部天才的なセンスを持つ者以外、営業マンにとってレター戦略は、王道の戦略なのです。
「こんなことして、本当に売れるだろうか?」という感情は、一種の心理的なブロックに過ぎません。
営業レターこそ、営業の王道に繋がる近道です。
[1] [ジョー・ジラード:JOE GIRARD](https://www.joegirard.com)
彼はさまざまな職を転々とした後、1963年(このとき彼は 35 歳であった)からシボレー社でカー・ディーラーとなり、わずか 3 年で自動車販売台数米国トップにのぼりつめます。以降、引退までの 12 年間「世界 No.1 のセールスマン」としてギネスブックに認定。現在もその記録は破られていません。
ニュースレターでよく聞く「自己開示」って何?
ニュースレターについて詳しく書いたウェブページには、「自己開示」とよく書いてあることを見かけます——もちろんこのコラムでも「自己開示」という言葉を使っています——。
「それって、営業マンにも必要なことなの……」
このような疑問を持たれる方も多いでしょう。
自己開示というのは普段の自分、素の自分というものを覗かせることです。
お客様との会話の流れで、この人には「少し自分の隙を見せても良いか」と思える瞬間があります。
そしてこちらが心を割って話すとき、お互いの距離がさっきより近くなります。
また相手もこれに応えようと、本音を交てする場面があります。
営業で言う自己開示とはまさにこのことで、お互いの距離をもっと詰める際に使います。
従って自己開示は、素の自分を覗かせること以外に、自ら心を割って話すことも含まれます。
それでは文章や手紙での自己開示は、どういう行為を指すのでしょう。
文章や手紙での自己開示は、仕事のほんの一コマやプライベートでの一面をほんのりと伝えます。
ニュースレターではこの役割を、冒頭の「近況報告」や最後の「編集後記」で、あくまでさりげない調子で表現します。
実際に書いてみると分かりますが、読者からは「近況報告」から読み取れる不要な心配や、エピソードにまつわる感想まで伝えてくれる方がいます。
これによりニュースレターでは「近況報告」などが、読者のと距離感を詰めてくれることが分かります。
そればかりかレターの良し悪しは、本文のメインコンテンツより、レターの冒頭で見せる自己開示に掛かるといっても過言ではありません——これは経験から得たニュースレターの特性です——。
ただし自己開示が、あまりわざとらしくなってはいけません。
何事も度が過ぎてしまっては、相手を白けさせてしまいます。
またニュースレターでもこのことは、十分気をつけましょう。
一度読者を白けさせてしまうと、レターの信用度は二度と上がって来ない場合があります。
手紙はウケを狙い過ぎず、あくまで淡々とした調子を守りたいものです。
ニュースレターを書くと営業マンは信頼される?
ニュースレターでもブログでも定期発信するメディアを持つ営業は、一般的に信頼される傾向にあると考えて間違いありません。
しかし全てではありません。
やはりそこには、営業マンとしての見識の深さ、そして人間性を見られているということを覚えておきましょう。
やはり賢い読者ほど、無意識のうちにそれらを読み取ります。
例外もありますが、これから家という高額な買い物をする方のことを、あまり甘く見てはいけません。
しかしお客様の幸せを真剣に考え、仕事の質の向上を目指す方に、波動が低レベルな営業などいるはずもありません。
それが分かれば、あなたはあなたが書ける文章を書けば良いのです。
そうすれば、知識レベルでは勝てない新人でも、キャリアの長いベテラン以上に、人を動かせる文章が書けます。
いちばんやってはいけないことは、自分が忙しいからという理由で人に代筆させる。
また、いかにも素人が書くようなネタで、ニュースレターを手早くまとめてしまうことです。
手紙が書きたくなければ、書かないことを堂々と選びましょう。
営業は手紙を書くより、社外にいてくれたほうが安心という会社がまだ沢山あります。
ただ特に新人営業の方は、文章は自分の言葉で書く訓練をしておくことです。
今後のコミュニケーションは、会話も文章力も、ともに重要性を増すからです。
記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇
弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。
営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。
また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。