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専門コラム 第200話 ニュースレターとは究極的に自分自身を売るレターのこと

    

前回に記事で、筆者が在籍した工務店のニュースレターがあまり振るわなかった理由を解説しました。

そして、ニュースレターを発行する会社が陥りやすい 2 つの理由を挙げさせていただきました。

それは

                   • 日常を切り取ること

                   • 売りの匂いを消すこと

という 2 つです。

今日はさらに深掘りして、これらがどうしてニュースレターに必要なのかを探ってみましょう。

はじめは、ニュースレターで大事な自己開示からです。

  

ニュースレターとは究極的に自分自身を売るレターのこと

1 あなたは「ザイアンス効果」を誤って解釈していないか?

 

最近のウェブでは、ニュースレターには 2 つの特性があると伝えられています。

ひとつは「返報性の原理」。
もうひとつが「ザイアンス効果(または法則)」です。

この営業マン応援コラムでも 2 つの特性について、簡単に過去記事[1]で紹介しています。

ただ、ここで問題なのは「ザイアンス効果」です。

最近では、こちらの記事[2]でも「ザイアンス効果」について触れています。

「ザイアンスの法則」とは、日本語では「単純接触効果」とも言い、人間の特性を

  • 人は知らない人に攻撃的かつ冷淡(そのくせ)
  • 人は会えば会うほど親密かつ好意を抱くようになる(そして)
  • 人は相手の人間的側面(素顔)に触れたとき、より強く相手に好意を寄せるようになる。

としています。

しかし一般に「ザイアンスの法則」とは、
先の例では「人は知らない人に攻撃的かつ冷淡」、そして「人は会えば会うほど親密かつ好意を抱くようになる」までの理解でとどまり、
三つ目の「人は相手の人間的側面(素顔)に触れたとき、より強く相手に好意を寄せるようになる」ことは見落としがちです。

しかも「ザイアンスの法則」を検索すると、「接触回数が増えることが好意を抱くことに繋がる」と言いたげな情報が、気のせいか目立つようにも感じます。

それはそれとして、考えてみてください。
人は単に接触回数が増えただけでは、相手を無条件で好意を抱くことはありません。

特に営業マンがアポなしで訪問した際、
最低でも身だしなみに好感が持てたり、失礼な態度で接したりする人ではないと判断できなければ、人は心の扉を開こうとはしません。
まして親近感を持つとは、到底考えられません。

実は「ザイアンスの法則」では、三つ目の「人は相手の人間的側面(素顔)に触れ」ることが最も大切なことです。

ただそれに気づいている人は、それほど多くありません。

 


 

[1] 専門コラム 第47話 『ニュースレターの書き方・始め方⑤』(2020/5/31投稿)

[2] 専門コラム 第195話「ニュースレター 成功事例」から見えるもの(2022/5/12投稿)

   

2 「人間的側面」を表現するのに参考にした本やメルマガ

  

しかし「ザイアンスの法則」の正しい意味を知らなくても大丈夫です。

少なくとも、筆者がニュースレターを書き出した頃、
「ザイアンス効果」、「ザイアンスの法則(単純接触効果)」は、ウェブを検索しても、まだニュースレターと関連付けて出ていなかったと思います。

では筆者がニュースレターを出すのに、何を参考にしたか?

まず思い当たるのは、次の 2 冊の書籍です。

  • 高橋 浩子 (著)『行列のできるメルマガ作成入門』(翔泳社 2004/5/15)
  • 岩元 貴久 (著)『情報商人のすゝめ』(総合法令出版 2004/4/2)

両方とも、当時、業界を席巻していたメルマガ配信スタンド「まぐまぐ」での、
メルマガの正い書き方について書かれた本です。

メルマガとは、欧米の「ニューズレター」とほぼ同じもの。
そしてこれに代わるビジネス本は、その当時見つかりませんでした。

また本以外では、当時出ていたメルマガやニュースレターの情報です。

先日も紹介したこちらのページ[3]は、神田昌典氏が当時会員向けに出していた顧客獲得実践会のニュースレターからのもの。
そしてこの中盤のくだりは、明らかに「ザイアンスの法則」について言及しています。

あなたは「俺の生活を知りたいと思うお客がいるのか」と疑問を持つと思う。確かにあなたのことを知りたいと積極的に思っているお客はいない。しかし、「ふ〜ん。この人子供が生まれたんだ」「この人、私と同じ失敗をしているじゃない」となったとき、お客はあなたに親近感を感じてくれる。その結果、価格ではないところで購買決定がなされるようになり、お客の流出も止まるようになる。ライバル会社の、のっぺらぼうの営業マンと比べれば、あなたの方が格段に有利になる。何よりも、初めて会ったときの印象度が違うからである。

また神田氏の実践会ニュースレターを再編集して発刊した『禁断のセールスコピーライティング』(フォレスト出版 2014/5/24)では、ニュースレターの「人のことをよく知っているという疑似体験」性について、

そんなんで、いいんですよ。ある社長はラーメンが好き。そこでニュースレターに、ラーメン食べ歩きというコラムを書いているけど、お客さんからはこれが一番人気なんだよね。

『禁断のセールスコピーライティング』から抜粋

と、神田氏がコメントしています。

つまり、これらをミックスしてニュースレターらしきものができたのです——真剣に情報を求める人に、正しい情報は自然と集まってきます。

筆者は、これをそのまま実践しました。
またそうすることで、ニュースレターの反応も驚くほど良くなりました。

その辺りの体験は、専門コラム 第97話 『ニュースレターに書くネタや題材はどうするのが正解?【後編】』にも書いています。

 


 

[3] [私の元に集まった「クライアントの声」](http://www.drtool-1.com/koe.html)

   

3 ニュースレターとは自分自身を売るためのレター

 

究極的な見方をすると、ニュースレターとは商品やサービスではなく「自分自身を売るためのレター」というのが、筆者が導いた結論です。

そのため、
自分がどういった考え方をする人間か、
約束は守れるのか、
顧客から愛される営業か、
家を売ったら「はい、それまで」という人間なのかどうか、

どんな幼少期を過ごしたか、
両親との関わりは、
そしてこの仕事を続けている理由など、上げるとキリがありませんが、
そんなことを延々と自己開示する手紙がニュースレターです。

なぜこんなことが必要なのか?

それは見込み客に、あなたが信頼でき、住宅の計画を任しても大丈夫な人という情報が伝わっていません。
そして、その判断基準となるストーリーや情報を、毎月伝える。
これが本来ニュースレターの役割です。

そうすると、またそれに応えるように、
お客さまがあなたに(時には驚くような)好意や理解を示してくれます。現役の頃、筆者がやったことは、

  1. 本文で住宅に関する様々な情報を伝えること(これによって、筆者が並みの住宅営業ではないことを知ってもらえる)
  2. 冒頭のあいさつ文に A4 1 ページを割いて、仕事上のこと、時にはプライベートなエピソードを、なるべく包み隠さず伝えました。

特にこのあいさつ文は、読者の方から評判も良かったと記憶しています。

以上の2つだけです。

皆さまの参考になれば幸いです。

 

 

  

  

 

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。