専門コラム 第128話 セールスレターの前に送付する「戦略的なレター」とは?
前2回のコラムでは、「6 フレーム」に則ったセールスレターについて解説しました。
しかしこの本ちゃんのセールスレターを送る前に、「戦略的なレター(あるいは小冊子等)」を手配するとよいでしょう。
これが大手ハウスメーカーなら、既成のパンフレットなどがあって、これを見込み客に届ければ事足りるかもしれません。
しかしそういった用意がなければ、ハンドメイドの資料やレターを作成しなければなりません。
これが「戦略的なレター」です。
住宅営業ではすぐさまセールスレターで結論を急がず、個人の購入でもっとも難しいとされる土地・建物の購入について、言うなれば「教育」を施すことが大切です。
筆者があえて「戦略的」という言葉を使うのは、レターを通じて「教育」を行うからです。
ここで言う「戦略的なレター」には次のものがあります。
- 資金計画についての戦略的なレター
- 自社のUSP(Unique Selling Proposition)についての戦略的なレター
- 一通目の自分情報誌(ニュースレター)の発送です。
そこで今回は、最初の出会いから数日前後で送付することになる「戦略的なレター」についてまとめてみます。
セールスレターの前に送付する「戦略的なレター」とは?
資金計画についての戦略的なレター
家づくりをしようと思った人が最初に勉強することが「家づくりの資金計画」です。
まず戦略的なレターに掲げるトピックを、アトランダムにあげておきます。
1. 家づくりにはどんなお金がかかるのか
• 別途工事費って、諸費用とは?
• 住宅ローンってどのぐらい借りられるの
• 広告に書かれている坪単価って一体何?
2. 予算内で家を建てるために必要なこと
• 予算がかかる家、かからない家の違い
• 材料や設備をどう選べば予算内で家が建つ?
3. 諸費用ってどんなお金
• 土地を買うときの諸費用
• ローンを組む際の諸費用
• 家を建築する際にかかる諸費用
4. 住宅ローンの基礎知識
• 住宅ローンはどこに相談したらいいか
• 借り入れ先はどんなところがあるか
• フラット 35 とは
• 財形住宅融資とは
• 提携ローンとは
• 銀行から借りられる金額の目安
• 固定金利、変動金利の違いって
• 元利均等返済、元金金等返済とは?
5. 家は建てた後もお金がかかる
• 戸建住宅の修繕費用
• 戸建住宅のランニングコストって
6. 家の税金って何
• 住宅ローン減税とは
• 不動産取得税、固定資産税とは
• 相続時精算課税制度とは
全て網羅すると、簡単な本が一冊書けてしまう分量です。
言うまでもありませんが、資金計画の戦略的なレターを書くのに、これら全てのトピックを選ぶ必要はありません。
多くてもはじめの 3 つ程度、少なければ最初に上げたトピックだけ使って、戦略的なレターを作っていけばいいでしょう。
そして資金計画の戦略的なレターで伝えることは、
住宅は難しい買い物。
多くの場合、やり直しが効きません。
心して慎重に計画しましょう!
と言うことです。
内容のほうは計画者の年代にもよります。
ただ、特に返済期間が長くなる 20 代、30 代の比較的若いお客様には、無理なく返済計画が立てられるよう、住宅営業のプロとして恥ずかしくないガイダンスを心がけましょう。
なお住宅の資金計画は、いろんな折衝場面を使い、できれば複数回にわたってアドバイスして差し上げます。
逆に繰り返し言わなければ、こちらの意図はなかなか伝わりません。
また特に自己資金が少なく、親の援助も見込めない方には、無理な返済計画に陥らないよう、身の丈に合った予算を提案してください。
自社のUSP(Unique Selling Proposition)についての戦略的なレター
USP(Unique Selling Proposition)とは、商品やサービスが持っている独自の強み、強くこだわっていることです。
簡単に言えば「自社コンセプトとは何ぞや」と言うことになります。
昨年末にかけて「尖った工務店」、また「こだわりポイント」がはっきりした工務店の記事を何本か投稿しました。
USPとはまさにこのことです。したがって自社のUSPについて書きたい工務店は、「こだわりポイント」がはっきりした工務店です。
そして忙しい工務店ほど、自社のUSPを明確に打ち出しています。
成功している工務店は、いかにすればお客が寄ってくるかが分かっています。
つまり「こだわりポイント」がはっきりしていることと、集客が上手なことは、まるでコインの表裏のような関係です。
これとは反対に総花的な工務店ほど、意外と集客に苦戦しています。
競合環境で経営が苦戦している場合は、自社のUSPの設定に修正すべき点がないか、一度点検してみることをお勧めします。
USPについても、考えられるトピックをあげておきます。
(自由にアレンジして使ってください。)
1. 構造上の特徴
• 木造軸組工法
• ツーバイフォー
• RC造(鉄筋コンクリート造)
• S造(鉄骨造)
• プレハブ工法(型式認定を適用した構造)
2. 設計や間取りの特徴
• 完全な自由設計か
• コストパフォーマンス重視の規格型プランか
• 庭や外構の設計・工事も請け負うか?
3. 仕様の特徴
• 内部建材は既製かオリジナルか
• 主に外壁や屋根に使われる仕様は?
• キッチン、洗面化粧台、トイレ、バスの標準仕様について
• よく採用するフローリングの仕様は?
4. 断熱性や気密性
• 断熱材の種類(壁、床、天井、屋根、基礎)
• 外皮平均熱貫流率のレベル(標準的なUA値)は?
• 気密の取り方、相当隙間面積(標準的なC値)は?
• 断熱ドア・サッシの種類は何?
5. 耐震レベル
• 耐震性能の標準レベルは?
• 構造計算書の添付の有無は?
6. 維持管理や建物の更新性
• 主に配管の維持管理性は十分か
• その他の維持管理は?
7. カスタマイゼーションの可能性
• リフォーム ・リノベーションが容易なつくりか?
• 構造上、カスタマイズが不利なシステム(型式認定など)で作られていないか
8. 保証の充実度
• 保証の種類は自社独自の保証か、保証会社による保証か?
• 定期訪問や検査実施度合いは?
• アフターの評判は?
こちらもトピックは多めですが、項目を少し整理すれば、USPは資金計画よりコンパクトにまとまります。
なおこのトピックのうち、いちばん大事な項目は「仕様の特徴」でも「断熱性や気密性」でもありません。
答えは 8 番の「保証の充実度」で、なかでも「定期訪問の頻度や検査実施度合い」です。
どんなに時代が変わろうと、顧客を大事にする工務店には、かならず紹介受注というご褒美が待っています。
そして母体が小さければ、紹介受注とアフターなどで細々とやっていけます。
はじめはとにかくアフターで地域ナンバーワンを目指します。
そしてアフター工事で顧客から信頼を得たら、そこから自社のUSPを定めても決して遅くはありません。
それは何故か?
アフターがしっかりしている、保証がしっかりしている工務店は、顧客から嫌われようがないからです。
このような時代ですから、顧客から嫌われない、敵を作らないことがどれだけ大切か、少し考えてみましょう。
「自分情報誌(ニュースレター)」について
最後に「自分情報誌(ニュースレター)」について触れておきます。
ニュースレターにはいろんな役割がありますが、レターを通じて「教育」を行う力は絶大です。
そのためセールスレターを送る前に「自分情報誌(ニュースレター)」を仕込んでおくと、セールスレターがより効果的に機能してくれます。
まだニュースレターを出していない方は、この機会にぜひ試していただきたいと思います。
ただ昨年から言うように、無理にニュースレターを書くことはありません。
またニュースレター以外にも、顧客との関係性を維持する方法はあります。
例えばアフターに力を入れることも、顧客との関係性を維持するひとつの方法です。自分に合った好きな方法をお選びください。
なおニュースレターについて深く学びたい方は、このコラムの過去の記事でも、ニュースレターについて情報を発信していますので、併せてご利用ください。
以上、戦略的なレターの使い方についてまとめてみました。
それでは、皆さまの健闘を祈っております。
◆住宅営業に役立つ専門コラム◆
.
─────────────────────────────
第128話:セールスレターの前に送付する「戦略的なレター」とは?
─────────────────────────────
.
.
本編はwebサイトでご覧ください。
https://www.kbs-c.jp/category/column/salesman/
経営ビジネス相談センター株式会社さんの投稿 2021年3月14日日曜日