専門コラム 第170話 スモールビジネスが目指す動画チャンネルの活用方法とは?
先回の記事に続いて、私たちのような住宅系スモールビジネスが目指す動画チャンネルに、どのようなものがあるでしょう。
それには同じような規模の工務店で、どんな動画チャンネルがあるか見ていくのが一番です。
今日はスーパー工務店(一つは不動産業ですが)中から三つに絞り、YouTube 動画に取り組んでいるのか見ていきましょう。
スモールビジネスが目指す動画チャンネルの活用方法とは?
1 豊かな間取りでユーザーを魅了する「ベガハウス」の家づくり
「オンライン見学会、随時開催中」と謳っているのは、以前このコラムで紹介したこともある鹿児島県のベガハウス。
ベガハウスは建築系YouTuberではありませんが、バランスよく動画チャンネルを取り入れています。
その一つに挙げられるのが、ベガハウスのオンライン見学会。
業界でオンライン見学会が注目されたのは、昨年より世界規模で蔓延が続く、新型コロナ(流行性肺炎)がきっかけではないでしょうか。
しかしすでに早いところでは、2015 年あたりからオンライン見学会を少しずつ導入しています。
ここに紹介するベガハウスもオンライン見学会を大体同じ時期からスタートしており、今ではウェブサイトの一つの見どころとなっています。
もちろん、このコラムでも昨年から記事の中でオンライン見学会の導入を推奨しています。
まだ実施していない工務店がありましたら、是非とも導入を検討してみましょう。
なおベガハウスの動画の中でオンライン見学会の解説を担当しているのは、プランナーでありディレクターの谷 征紀(たに ゆきのり)さん、長田 友紀(ながた ゆき)さんの男女両名で、二人はベガハウスのほとんどの家をプランニングしているようです。
ちなみにベガハウスでは〈web内覧会_家づくり実例集〉という動画もあり、ベガハウスの「ショーホーム」を動画で解説しています。
「ショーホーム」とは、お引渡し前に一定期間借り受けた実際にお施主さまの「住まい」を指します。
つまり、私たちが見学会でお客さまから借り受けた建物と同じです。
それだけお客さまのニーズは、ハウスメーカーのモデルハウスに代表される豪華なスタイルではなく、等身大のライフスタイルの提案に完全移行しています。
皆さんも見学会という「舞台」をより有効に活用するため、オンライン見学会の導入を進めてもらいたいものです。
2 「語り」そのものが彼のニュースレターとなっている「ふくろう不動産」
千葉を拠点に東京、埼玉といった首都圏エリアで不動産業を営むふくろう不動産は、代表の中川 尚氏が全業務をこなす典型的なスモールビジネスの会社です。
また配信内容についても、一般に不動産業の方が弱いとされる戸建住宅にも幅広い知見を発揮されており、ユーザーから「とても分かりやすい」と評判です。
これは中川氏の前職が、業界の専門誌『建築知識』を擁するエスクナレッジのエディタであったことも関係しているようです。
その意味で、このコラムをお読みの多くの方にも、何かと響くものがあろうかと思いました。
ふくろう不動産について、どういう会社か手短に知りたい方は、こちらの紹介動画を見ていただくといいでしょう。
そんなふくろう不動産の動画歴は、今年で約 6 年目。
決して初期の頃からYouTubeに参入したわけではありません。
ただ 、YouTube とブログの更新に絞って営業展開している点が何とも素晴らしい!
そして中川氏の動画には「セールスしない不動産会社です」というポップアップが、いつの頃からか表示されるようになりました。
つまり中川氏は自ら「売らない営業」[1]を行っていることになります。
その一例として、『住宅ローンの本審査を2つ以上並行して進めるのはマナー違反だという意見について思うことをお話します』という動画を挙げておきます。
動画の端々から、中川氏がどれだけ丁寧な仕事をされているかが伝わってくると同時に、語りそのものが一種のニュースレターとなっていることが分かります。
そんな朴訥とも言える人柄、不動産業でありながらあえて飾らない工務服姿に、密かな信頼を寄せるファンは後を絶ちません。
ふくろう不動産、中川氏の姿勢に、我々も大いに参考にすべきではないでしょうか。
[1] 「売らない営業」については、本コラムの令和3年12月10日の記事(『「売らない営業」とは顧客から「選ばれる営業」のこと』)をご参照ください。
3 正しい情報を得られる場所を作りたい!「クオホーム」が目指す新たなウェブプラットフォーム
兵庫県姫路市に拠点を置くクオホーム。
動画配信を始めたのは 2012 年といいますから、数ある工務店の中で、クオホームは早くから YouTube 動画に参入したことになります。
そんなクオホームも建築系動画のパイオニアとして、業界をリードする工務店といって良いでしょう。
また昨年(2020 年)にはクラウドファンディングで資金を募り、仲間の工務店、設計事務所やユーザーが、自由に意見交換ができるプラットフォームを立ち上げるべく、現在打ち合わせを進めている模様。
その中心的役割を果たしているのが本田 準一氏です。
そして今まで伝えてこなかった、YouTube 動画に参入した際の苦労話などを分かりやすくまとめたものが『注文住宅で後悔しないために!【好きなことで生きていく】』という動画に収まっています。
少し長めの動画ですが、クオホームが現在の配信スタイルに落ち着いた経緯や、YouTube 動画の限界(?)、そしてその先にある「現在、打ち合わせ中のウェブサイト」のことにも詳しく触れています。
建築系 YouTube 動画の未来に関心がある方は、一度見られると良いでしょう。
クオホームといえば、個人的には新住協のこと、高性能住宅についての考えを振り返りたくなった際や、工務店側の総合的な見解を知りたいときなど、何かと参考にせてもらいました。
しかし今回本田氏が計画しているのは、家づくりをする方が皆参考になる、正しい情報が行き届いたサイトだと言います。
「こういうサイトがあれば、家づくりで悩まれる方が今よりもっと減るのでは」と、本田氏は考えているようです。
それにはエンドユーザーが、どれだけ「芯がある」情報を得られるかに掛かっています。
詳しい展望については、動画記事を参考にしてください。
恐らくYouTubeを使うと思いますが、出来栄えが非常に楽しみですよね。
記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇
弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。
営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。
また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。