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専門コラム 第360話 ストック型ビジネスへの移行とニュースレター

 

先回に続き、フローとストック、そして特に今回はストック型ビジネスへの移行について、見ていきましょう。

たしか先回は、ワクワク系の代名詞とも言えるニュースレター。

しかし、この「ニュースレターだけが、顧客との関係性を作るアイテムではない」と言ったところで話を終えていました。

これについては小坂氏の YouTube チャンネルに、『「ニューズレターは出さなくていい?!」 目的と手段を見極めよう!』という動画がありますから、一度確認してみると良いと思います。 しかしワクワク系ならともかく、住宅やリフォームのような商品単価も高く、いろいろ語ることも多い稼業こそ、絆作りにピッタリハマるのがニュースレターではないでしょうか。

  

ストック型ビジネスへの移行とニュースレター

ニュースレターこそ「自己開示」が許されるメディア

どうして本コラムが、これほどニュースレターにこだわるのでしょう。

それは絶大な効果と同時に、ニュースレターが自由に文章が書ける、楽しいツールだからです。

そして小坂氏の言葉にもありますが、絆作りのポイントの一つに「自己開示」があります。

この「自己開示」を自在に表現できるのも、ニュースレターの長所と言えます。

かつてブログも「自己開示」を楽しめるメディアとして、出始めの頃はプログラマー同士が交わす、個人的日記として広まりました。

そして、新しいモノ好きなネットユーザーが、そんな自由で気ままなメディアの登場に魅力を感じ、こぞってブログメディアに集まりました。

しかし現在のブログは、プライベートな日記や雑記帳として使う人はほとんどいません。

少なくとも私たちの目に届くのは、○○生でも読めるといった、○○生からしたら大変失礼な文章の質に対し細かな指定をしたかと思いきや、次は視聴率(ネットではSEO)を狙ったテレビの情報番組みたいな記事の山です。

それに比べてニュースレターは、自分の得意なこと、専門知識や考えを自由に書くことができます。

特に私たちが書くハードコピーの(紙の)レターは、その傾向がいっそう強まります。

ニュースレターは仮に書くネタに困っても、漫画や映画といった、好きなテーマについて思いっきり語っても大丈夫です。もちろん、そんなことで文句や苦情が出たなんて話は一切聞きません。

逆にそんな書き手の素直な語り口に、いっそう惹かれるファンも表れます。

今どき、こんなに文章を楽しんで書けるメディアは中々ありません。

しかもニュースレターの発行は、月にたったの一回です。

たとえばいま現在、自社ブログを続けている方は、どのぐらいいらっしゃるでしょう?

自社ブログって更新が大変ですよね。

仮に続けているという方でも、中途半端なブログなら書かない方がいい。

数ヶ月も更新していなければ、思い切ってやめた方が無難です。

なぜならブログは毎日とは言わないまでも、定期的に更新していなければ、自社サイトの評価が下がります。

逆にその分の労力を、今度はニュースレターに向けてみましょう。

ニュースレターの効果を知ったら、普通やめられなくなるのは確実です。

 

あらためてニュースレターの底力を!

ニュースレターは非常にパワフルなツールとか、効果が表れやすいツールだとか言われます。

これはウソではありません。

たしかにニュースレターほど、顧客との関係性を深めるツールを、これまで見たことがありません。

実際にニュースレターを運用するようになると、まず驚かされるのが、お客さまの反応が明らかに変わること。

これも過去の記事で良く出てくるおなじみのシーン。

特に、見学会の動員数や反応に、顕著に表れます。

見学会というと、設計やプランニングによほど定評のある工務店でない限り、客数もそんなに集まりません。

しかし営業がニュースレターを使った見学会は、平凡な建物でも、案内に困るほどの動員が出る場合があります。

そして見学会に訪れた人の数名から、プランオーダーが出ます。

たとえば一度の見学会で、約半年分の手堅いオーダーが出ることもめずらしくありません。

多分、営業それぞれが自分のニュースレターを出したら、会社の体制、見学会に取り組む意識がきっと変わるでしょう。

よくニュースレターの発送を面倒がる方がいるようです。

冒頭で紹介した動画でも多くの方が、発送が面倒でやめてしまっているようです。

しかしやめた方の多くは、実際にニュースレターの効果をまだ体験されていない方ではないでしょうか?

ニュースレターの効果を実体験した人は、発送が面倒だとか、書くネタに困るだとかは、とても口にはできません。 そのぐらいニューズレターはパワフルなのです。

 

ニュースレターの運用の注意点は?

ただそんなパワフルなツールだからこそ、運用には注意して欲しいことがあります。

それは、あなたがニュースレターに見合った専門知識の習得を心がけること。

これは心ある営業なら、何を言われなくても分かるはず。

またニュースレターは、どうしても個人差が出ます。

このとき、出すリストに注意するだけで、個人間の差は少しでも縮まります。

ポイントは、可能な限り新鮮なリストに向け、ニューズレターを出すこと。

それだけです。

具体的には、サンキューレターなど、何らかフォローツールを送ったリスト。

期間的に半年や長くても 1 年程度の比較的新しいリストです。

逆に古いリストやフォローも何もしていないリストに送っても、かえって無駄になる場合があることをお忘れなく。

次に会社側にも、しっかりしたバックアップ体制をとっていただくことが大切です。

たとえば、営業はともかく、

• 現場監督をする人員

• 設計監理をする人員

を、外注ではなく、社員として雇うこと。

それと、会社独自のアフターの体制をしっかり作って欲しいということ。

以前に、営業に相当数の“死にリスト”を引き継がせた専務がいる工務店の話をしたと思います[1]

この工務店で営業がどんなに心に届くレターを書いても、それはそのまま、お客さまを騙すことになります。

だいいちアフターがいい加減な会社では、受注後に続けてニュースレターを出したくても、それすらままなりません。

今どきそんな時代錯誤な工務店は存在しないと思いたいのですが、果たして分からないのがこの世の中。

ただコロナ以前であれば、これだけのことをするだけでも、何とか繁盛したものです。

しかし、お客さまにハガキ 1 枚も出し惜しむ住宅営業。

目先の儲けばかりに熱心な工務店。

令和時代が進むにつれ、果たして彼らが、現在より厳しい環境を自分の手で抑え込めるでしょうか?

次回タイミングが合えば、この「VUCA(ブーカ)」の時代[2]に、その疑問について考えていければと思います。


[1] 『手付かずの顧客リストが私たちに教えること(2025年3月21日投稿済)』

[2] VUCA(ブーカ)・・・「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態」を言います。

 

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

弊社では現在、新築住宅を手掛ける工務店・建設会社様を対象に、「売るためのロジックの再構築」に集中して取り組んでおります。

令和7年1月度以降、日本国内の主要都市で『営業力アップ』をテーマとするセミナーを順次開催し、営業の工程順に売るアイディアを提案しております。