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専門コラム 第361話 サンキューレターで気づく営業レターの効能

 

しばらく続いた小坂裕司氏関連の記事ですが、このまま続けても、かえってこのコラムの主題から、徐々に離れていきそうです。

そこで今回から気分を変えて、本来の主題を元に戻そうと思います。

(もちろん小坂氏関連の記事は、またタイミングが合ったところで、このコラムで触れることもあると思います)

書こうと思ったテーマは、コラムでもよく登場するサンキューレターについてです。

営業が書くレターといえば、本コラムの読者なら、ニュースレターが真っ先に思い浮かぶかもしれません——小坂氏関連の記事でもよく登場しました。

でもニュースレターは、強くお勧めはするものの、本コラムでも「必須レター」とまでは言っていません。

しかしサンキューレターは、営業なら必ず身に付けておきたい、いわば代表的なセールスレターです。

それでもサンキューレターの登場回数がニュースレターに比べて少ないのは、ただ単に書く内容が少ないから、ということもあるでしょう。

また営業マンの中には、ニュースレターを出しても、サンキューレターは出さないという方もいるかもしれません。

このように中途半端な位置にあるのが、サンキューレターという手紙なのかもしれません。

だから、あえてもう一度取り上げておきたかったというのが、正直な気持ちです。

  

サンキューレターで気づく営業レターの効能

サンキューレターとは「来展お礼の葉書」

あらためてサンキューレターとは、どういう手紙なのでしょう。

住宅ビジネスに展示場集客というスタイルが一般的になり、その中に組み込まれたのが「来展お礼の葉書」です。

これが、いわゆる「サンキューレター」の始まりと考えられます——このコラムでも初期の頃、サンキューレターではなく、「来展お礼の葉書」などと書いていたことを思い出します。

では、その役目といえば、

  • 展示場来ていただいたお礼の気持ちを示す
  • 家づくりに関することは「何でも手伝わせてほしい」との、営業の思いを伝える
  • 今後もお客さまに役に立つ情報を知らせる

という、営業マンの決意表明のようなものが、いわゆるサンキューレターです。

もちろん会社によっては「来展お礼の葉書」は不要と指導したところもあります。

そのため出身会社によって、手紙を書くクセを全く持たない——あるいは、習慣付けていない——営業マンも多く存在します。

しかし後で考えると、優秀な成績をおさめた営業マンは、ほぼ全員と言って良いほど、お客さまとの最初の出会いに、必ずサンキューレターを出しています。

しかも他業種でも、そういう傾向です。

このコラムではおなじみの保険営業の山下義弘氏(通称、ビリーさん)も、キーパーソンと出会ったら、サンキューレター——彼の場合は短かな文句で、必ず手製の絵葉書のもの——を即日送っています。

他にも、同じく知人の保険営業の方も——彼は毎年のように、生命保険の全国表彰を受けていました——、非常に達筆な手書きのサンキューレターを送っていました。

またメルマガを通じて知った不動産営業兼コンサルタントの方も、素晴らしいサンキューレターの使い手です。

そうしたことを考えると、自身の活動に手紙というツールを取り入れるクセを身に付けておくことは、自らの将来を考えた場合でも、得ることが大きいように思います。

サンキューレターのいいところは、ニュースレターとは違い、ハガキ 1 枚で事足りること。そして書く文章も難しく考える必要はなく、あくまで平易な文章を心掛けれれば、それで十分です。 まだサンキューレターを出していない方は、書く習慣を身につけておくことをお勧めします。

 

サンキューレターの出すタイミングは?

サンキューレターの出すタイミングについてもお話ししておきましょう。

サンキューレターとは先ほども説明したとおり、当初は住宅業界の「来展お礼の葉書」と、大体同じ意味を持ちます。

そのため、展示場や現場見学会など、社内イベントでお会いした、あるいは担当したスタッフから引き継いだら即日、遅くとも翌日中にハガキを投函しましょう。

なぜ早く書くのか?

それは、お客さまは気づかないうちに、あたなのことを忘れてしまうからです。

またハガキはすぐ出せるよう、レターの文面などはあらかじめパソコンやスマホなどに、数パターンほど控えておくといいでしょう。

実はこれ以外にも、住宅営業がサンキューレターの出すタイミングがあります。

このコラムで度々登場している書籍に、三島俊介氏が書いた『セールスレターで「住宅」が売れる本〜誠意がこもった一通の手紙が顧客のこころに響く』(産能大学出版部 1999/03/30)という本があります。

これを見れば、土地の決済日、設計依頼や仮契約の取得時、地鎮祭や棟上げ日の後。

また無事、金融機関と金消契約が成立した後。

そして晴れてお引き渡しを済ませた後など、お手紙を出すタイミングが幾つもあることが分かります。

しかしはじめのうちは、お客さまと出会ったタイミングで、サンキューレターを出すだけで十分です。

ただしここで注意したいことは、サンキューレターに書いた「お役立ち」の気持ちが、「自分の売り込み」とならないこと。言い換えれば、「お役立ち」の表明が、誘導の気持ちへとすり替わらないことです。微妙な違いですが、人はその「下心」に気づくと、一気に冷めてしまうもの。

それを避けるため、営業はいつでもギバーの心を忘れずいてほしいと思います。

そして感謝というのはお客さまだけではなく、自分という存在にもかけてあげます。 自然な感謝の思いを綴れるようになったところで、サンキューレターを出すタイミングを、少しずつ増やしていけばいいでしょう——もちろん、出会ったタイミングだけでも結構です。

 

サンキューレターが教えてくれる営業レターの効能

実はこのサンキューレター、ハウスメーカー出身の営業なら、大抵の人が書いているものだと信じていました。

ただ大部分の方が書いていないことを知り、少なからず驚いたことを今も覚えています。

サンキューレターの効能は、何といっても、初回面談時のお客さまとの「壁とり」をスムーズにしてくれます。また営業によっては、見込み客宅を再訪問する際の「やり易すさ」を痛感する方もいるでしょう。

営業をやり易くするという点では、サンキューレターこそ、立派なマーケティングツールです。

またサンキューレター以外にも、折衝の初期段階で、様々なレターを書いている営業もいます。そういうセールスマンは、営業レターの効能を、知らぬうちに経験しています。

サンキューレターをはじめとする手紙の効能は、営業の「やり易すさ」のほかに、日中ほとんどの御宅が不在という事実によくマッチします。

つまり手紙の持つ適切で簡潔な表現は、共稼ぎの御宅のお客さまにこそ、大いに喜んでいただけるのです。

 

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

弊社では現在、新築住宅を手掛ける工務店・建設会社様を対象に、「売るためのロジックの再構築」に集中して取り組んでおります。

令和7年1月度以降、日本国内の主要都市で『営業力アップ』をテーマとするセミナーを順次開催し、営業の工程順に売るアイディアを提案しております。