専門コラム 第61話 コロナ時代で注目される「訪問しない営業」とは
先般、新型コロナウイルス感染拡大防止と住宅会社の取り組みについて記事を上げたばかりですが、大手やBtoB営業を中心に、都市型の企業では既に対面営業を自粛する動きがほぼ定着しています。
その影響もあり、中小の地域工務店やハウスビルダーの間でも、大きな営業スタイルの変革を今後余儀なくされると考えられます。
本年3月初旬を振り返ってみると、ここまで社会が変わると想像できていなかった方もいるでしょう。
それを考えると、ムダの多い訪問型営業の見切りをつけ、「訪問しない営業」に切り替えた会社は、一歩も二歩も他社に先んじていたと言えます。
ここでは本コラムで再三に亘りお伝えしている「訪問しない営業」の有効性や、会社の協力体制についてお伝えしようと思います。
営業マン以外の方にも、目を通していたけたら幸いです。
「訪問しない営業」 こそ営業の「新しい生活様式」
国内では、5月4日の安倍首相による新型コロナ「緊急事態宣言」延長とともに発表された「新しい生活様式」という文言が、目新しい言葉として注目されています。
「新しい生活様式」とは、いわゆる「3密」を避けることのほか、人との間隔はできるだけ2mあけることに始まり「身体的距離の確保、手洗い、マスクの着用の3つを基本として、具体的には、会話は可能な限り真正面を避ける。
家に帰ったら、まず手や顔を洗い、できるだけすぐ着替え、シャワーを浴びる。買い物については通販も利用、現金ではなく電子決済を利用することなどを求めています※1」
「新しい生活様式」の定義はこの他にも続きますが、今後、営業の会話は可能な限り対面を避けた方が無難だと捉えられます。
これは好むと好まざるとに関わらず、新型コロナとの生活がこの先も続くことをも意味しています。
新型コロナは暮らしの変革や働き方改革の点で、良きことも残しました。
例えば満員電車を避ける時間差通勤や大企業ではリモートワークが一般的になり、かえって良かったと感じている方も多くいらっしゃるようです。
しかし「営業は外でお客を捕まえるのが仕事」と捉えていた上司や同僚は、「訪問しない営業」を、あまり気分の良いものではないと思っているかもしれません。
ただ営業は、必要のない訪問を続けなくても十分受注できます。
筆者は「訪問しない営業」を実践してきた営業マンを何人も知っています。
彼らは、10年以上前から営業現場で「訪問しない営業」が可能だということを証明してくれています。
また「ホワイトカラーの仕事の7割まではリモートで可能」との分析も出ているようです※2。
「訪問しない営業」を可能にするためには、本コラムでも取り上げているニュースレターや、コンテンツマーケティングが効果的です。
そして、「訪問しない営業」こそ、営業の「新しい生活様式」なのです。
どちらも使いこなすには、多少の試行錯誤が必要です。
しかしムダな訪問を続ける努力より、こちらを選択する方が数倍ラクで、かつ建設的な努力となることは間違いありません。
※1 (参考サイト)専門家会議「新しい生活様式」|TBS NEWS](https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3971409.html)
他部門の社員にも「訪問しない営業」の本質を理解してもらおう
ニュースレターについては、過去のコラムを読んでいただくと、始め方や注意点について詳しくまとめています。
またコンテンツマーケティングについては、最近シリーズ構成で本コラムに掲載を始めました。
具体的な内容については、そちらを参照していただければと思います。
ただニュースレターでもコンテンツマーケティングでも共通していることは、どんなに営業マンが頑張ってスタイルや方法を変えてみたところで、会社全体が「訪問しない営業」の本質を理解していなければ、元の木網に終わってしまうという事です。
そして、これだけは絶対避けたいところです。
失礼ながら、営業マンの肩を持つような言い方をしていることは百も承知です。
ただ古い営業スタイルが正しいと信じてきた方がすぐ理解できるほど、「訪問しない営業」は易しいものではありません。
なぜ売り急いではいけないのか、営業の本質は売り込みや説得ではないことなど、他の部門の社員には分からないことが多いはずです。
もし「訪問しない営業」への取り組みを本気で進める場合は、必ず会社全体で営業活動の本質について、理解を深めるようにして欲しいものです。
注目される「インサイドセールス」。今後、住宅営業に適した商品開発はある?
また「訪問しない営業」と似たものに「インサイドセールス」という概念があります。
ちなみに「インサイドセールス」の反対語は「フィールドセールス」と言います。
「インサイドセールス」という考え方はアメリカで生まれました。
その起源は、広い国土を歩かなければならないアメリカならではの環境が出発点です。
考えてみれば、多くのマーケティングの手法が編み出されたのも、アメリカ特有の環境が出発点です。
話しを戻すと「インサイドセールス」とは、従来のテレアポのことではなく、電話やメールはもちろんですが、ウェブチャットツールやIT技術などを駆使し、営業マンが外出せずに全ての営業活動を完結できるシステム全体を、こう呼ぶようです。
そのため「インサイドセールス」はシステムとして商品化もされていて、日本でもBtoB営業を中心に、昨年辺りから広がりを見せているようです。
ただし住宅営業のようなBtoC営業向けのシステム開発は、筆者の知る範囲では具体化されていません。
しかしBtoC営業向けの「インサイドセールス」用のツールは、いつの日か必ず登場するのではないかと思っています。
BtoC営業向けのツールが登場するまでの取り組みとしては、見込み客を育てる段階でニュースレター、またはコンテンツ(オウンドメディア)マーケティングを活用し、折衝客にランクアップした段階から Slackなどのツール活用に移行することが考えられます。
このように新規顧客との打ち合わせを進めていけば、現状では良いのではないでしょうか。