専門コラム 第12話 アフターフォロー
アフターフォロー
注文住宅でのアフターフォローとは、アフターの専任スタッフが定期点検を実施し、住宅オーナーがお引き渡し後も安心して生活を楽しめるよう、サポート・サービスを提供することです。
またアフターフォローは紹介活動に繋がる意味でも、住宅業界では重要な業務でもあります。
しかしながらアフターフォローは、専任スタッフだけに担当させるものではありません。
特に国内は人口減少の一途を辿り、新築部門は年々売上のパイ自体が減少していきます。
当然ながら5年前、10年前に比べ、より少ない人員でアフター業務を担っています。
そしてそういう環境下で期待が寄せられるのが、比較的自由に動ける営業の存在です。
会社によって対応は異なりますが、ここでは住宅営業がアフター・フォローに果たす役割についてみていきましょう。
アフターフォローで営業が果たす役割とは
営業がアフターフォロー業務に関わる必要性
少ない人員で会社のアフターフォロー業務を効率よく回す方法は、会社の方針やお客様にもよりますが、営業が可能な範囲でアフター業務を手伝ってあげることです。
ただ、これ自体は新しい方法ではなく、すでに多くの会社で取り組まれているでしょう。
なおアフターフォロー業務のことを「定期点検」などとも呼びます。
点検業務は、3ヶ月・半年・1年・2年・5年・10年といった会社で定めた年月ごとに、無料点検を実施するもの。
以前はなかなか徹底されなかった定期点検ですが、最近では大手メーカーを中心に、紹介活動の一環として徹底されているようです。
アフターフォローに営業が付き添うケースでは、営業が筆記役をかってでれば、アフターの専任担当者はお客様とのやり取りに集中でき、結果として効率的にアフター業務を終えられます。
特にファン客に育てたいお客様がいる場合は、営業もアフターフォロー業務に付き添ってみると良いでしょう。
ただし営業が気をつけたいのは、ただしつこいだけのお客様やクレーマー予備軍とも言えるお客様です。
こういうお客様に捕まると、営業は本来の業務に悪い影響を及ぼしかねません。
また結果的に、いつまでも現場に引っ張られてしまいます。
良くも悪くも、営業は愚痴っぽいお客様と距離を置くよう十分注意してください。
初期のアフターフォローでよく指摘される「クロスの補修」とは
住宅の補修箇所で比較的多いものにはどんなものがあるでしょう。
初期のアフターフォローで多いのは、やはりダントツでクロスの補修が挙げられます。
大体は引き渡し初年度(ないしは翌年度)、クロスの補修は室内の過乾燥(主に冬場の暖房)により発生します。
現象としては主に壁クロスのジョイント箇所等が、剥がれとなってあらわれてきます。
そのため、暖房器具の設定温度が緩まり始める春先から5月ごろにかけて、お客様から点検依頼が集中し始めます。
クロスの補修は新築住宅で避けられない現象ですが、一度補修すると状態は落ち着きます。
そのため引き渡しの際に「クロスの補修は初年度の冬を越すとどうしても出てくるものです」と、お客様にあらかじめ断っておくと良いでしょう。
またクロスの剥離で軽微なものは、営業でも十分補修できる場合があります。
展示場などで空き時間にアフターの腕を磨いておくのもひとつです。
慣れている営業は、営業車に白いタオルとコークボンドを忍ばせています。
もちろん黙って補修してあげれば、お客様からも喜ばれます。
もちろん酷い場合は自力では直さず、必ず業者を手配しましょう。
なお余談ですが、クロスは薄手の素材を選ぶと見た目は良いのですが、壁によって下地のパテが目立つ場合があります。
場合によっては全面的に厚みのあるクロスに交換しなければなりませんので、クロスを選ぶ際に注意してください。
結露問題と換気システムの稼働について
もうひとつ、初期のアフターフォローでよく指摘されるのが結露(またはカビの)発生です。
結露の原因はクロスの剥離とは違って、原因は簡単に特定できません。
ただし通常、室内で発生した水蒸気がうまく戸外に排出できないから、結露が発生したと考えられます。
そこで取り敢えず
- 換気システムがちゃんと常時稼働しているか
- 多量の水蒸気を発生していないか(洗濯物や反射式灯油ストーブなどの使用)
などを、まず疑ってみるのが順当です。
換気システムの常時稼働や、水蒸気の発生箇所がある・なしなら、営業レベルでもすぐ調べがつきます。
そして調べた内容や気になる点は、アフターフォローの担当者に必ず報告しましょう。
なお常識的なことですが、24時間換気システムは、季節を問わず常時稼働が基本です。
また自分が在籍する住宅会社が、ここ2、3年の中で(またはZEH以降)高性能住宅(=高気密・高断熱住宅)に舵を切った場合は、換気システムの正しい使い方が徹底されているか、既存客調査をしてみると良いでしょう。
そして住宅の温熱環境について、自分の知識が間違っていないか、改めて自らを点検することも大事です。