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専門コラム 第11話 お引渡し

                                   

お引渡し

一般的に住宅の「完成引き渡し」は監督や支店長が仕切り、営業の役割がほとんどない場合もあります。

ただ大手ハウスメーカーや一部の建築会社では、営業が引き渡しの窓口となるところも少なくないようです。

 

ここでは引き渡し前に行われる「竣工検査」から、引き渡し時に実施される「取扱説明」と「保証についての説明」の進め方について説明します。

 

注文住宅は打ち合わせ期間より着工から完成までの工事期間が長くなることもあり、営業は引き続きお施主様と良好な関係を維持する必要があります。

特に「竣工検査」では、その辺りが理解できるよう解説しています。

    

住宅の「完成引き渡し」で注意すること

引き渡し前の「竣工検査」で注意したいこと

住宅の引渡し前には竣工検査が行われ、これに伴い1週間程度の駄目工事の期間が設定されていることは、営業の皆さんにとって周知のことだと思います。

 

施主立ち合いのもとで行われる竣工検査は、主に仕上げの状態や木工事中の施工傷などをチェックするものです。

そのため基本的には営業活動と関連性はありません。

ただ竣工検査に臨む施主の心理と、監督や営業がお客様と、工事期間中にどれだけ密にコミュニケーションを取ったかは無関係ではありません。

 

両者に良好な関係が維持できていれば、検査後の駄目工事に至る流れもスムーズに進むはずです。

しかし両者の関係に何らかのヒビが入っていれば、最悪引き渡しが伸びる可能性も出てきます。

 

これは竣工検査〜駄目工事が「とてもデリケートな検査や工事」なのではなく、それ以前の工事期間全体を通じて、お客様との関係維持こそデリケートなものなのです。

 

もし関係がギクシャクしているのなら、工事期間を通じてお客様に無神経な態度をとっていなかったかを反省する必要があります。

これは営業も同様です。

 

特に近年は現場監理にIT(携帯電話やPC)を活用する機会が増えたことで、監督が直接現場に出向く機会が減少しています。

またそれによって建売の会社では、監督ひとりに数十もの現場を任せられることも事実です。

 

また営業について言えば、現場が始まると現場を遠退く営業マンも多いようです。

こうしたことから、いつ行っても担当者不在の建築会社の現場が増えました。

 

もちろんこうした効率化の流れは、建築業界に限ったことではりません。

またこれについては、お客様も十分理解できているでしょう。

しかし仕事の効率化と、お客様への定期連絡、現場状況のお知らせすることは無関係です。

 

営業以下、全社員にそのことが徹底されていなければ、最後の最後で現場に味噌が付くことだけは覚えておきましょう。

 

取扱説明は各業者を呼んで実施するのがオススメ

引き渡し時の設備に関する取扱説明は、会社によって進め方違うようです。

 

個人的におすすめしたいのは、引き渡し当日に各業者を呼び、業者から直接お客様に説明をしてもらうことです。

 

できればインターホンからキッチン、トイレ、洗面化粧台、給湯設備(エコキュート)、お風呂、暖房機器、換気システムに至るまで全機種です。

 

説明後は三々五々、自由に解散します。そのため拘束時間も決して長くありません。

 

各業者を呼ぶいちばんの理由は、引き渡し当日、多くの方が参加することで、場が華やぎます。

引き渡しはお祝いの場です。

参加者は多いほど盛り上がります。

特に人員が少ない建築会社の方にはおすすめです。

 

お客様にもこの家を建てるのに、いかに多くの業者が関わっているかが伝わります。

また業者らは説明後、必ず名刺を置いていきますが、お客様はそれに安心できます。

 

もちろん自社製品についての説明ですから、お客様にも正確な情報が伝わります。

 

まだやったことがない会社は、一度やってみると良いでしょう。

 

短期保証と長期保証の違い

最後に保証についての説明についてまとめておきます。

 

保証についての説明は、会社によって現場監督がするころ、営業が担当するところと色々のようです。

ただどちらの場合も注意したいことは、住宅の保証は短期保証と長期保証に分かれることを理解してもらうということです。

 

住宅の引き渡し時は、保証関係書類を会社ごとにファイル化して、鍵とともにお渡しするのが一般的ではないでしょうか。

その際、引き渡し時に駆け付けてくれた各設備業者の殆どの製品が、短期保証となることを説明してあげるといいでしょう。

 

特に品確法が誕生した2000年以降、新築住宅の保証は全て10年間あると、間違って理解しているケースが未だにみられます。

 

しかし正確には、

  • 基本構造部分(柱・梁などの構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分)に発見された瑕疵、またはその瑕疵が原因の不具合については【10年間の長期保証】
  • 設備関係や仕上げの剥離などは【1年~2年程度短期保証】

となります(防蟻処理は5年まで)。

 

よく20年保証、30年保証といったセールストークを謳い文句にしている会社を見掛けます。

これはどんな建築会社でも10年目の定期点検で、屋根や外壁塗装などの有料メンテナンスをした場合に、保証期間がもう10年延長されることを言っているに過ぎません。

 

この点は工事請負契約書の約款にも記載されています。

 

くれぐれも誤解の無いよう、お客様には理解を促しておきましょう。