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専門コラム 第269話 あらためて問いたい!「知識の営業」を目指す大切さ

    

唐突ですが、あなたは KD 材という言葉を知っているでしょうか? 

似たようなもので、ほかにも AD 材、グリーン材などがあります。この三つの違いを説明できますか? 

住宅営業であれば、含水率という言葉はご存知でしょう。
ただ一般にどのぐらいの含水率の木材が、住宅の構造材として適切か。またそのことを、空で言えますか? 

なぜこのような問い掛けをしたかと言うと、住宅営業が基本として押さえておきたい商品知識を確かめたかったからです。

今どき KD 材なんて言葉は使わないかもしれません。含水率も同様の扱いになっているかもしれません。
ただこれらは、一般の方に木材の強度を伝えるための重要なワードであることには現在も変わらないと思います。

そして最も重要なことは、こうした基本を覚えておくことで、お客さまを執拗に煽らなくても済むということです。 今日は、以前にも書いた「商品知識の大切さ」をもう一度伝えるためペンを取りました。

  

あらためて問いたい!「知識の営業」を目指す大切さ

1 知識がない営業は技能不足な美容師と同じ!

 

「〇〇工務店(××ホーム)の家を、どうか好きになってください!」

これは今を時めく某メーカーの営業が、当時使っていたクロージング・ワード(殺し文句、煽り文句)の一つです。
筆者は現役の頃、こことよくぶつかっていました。そんなこんなで、お客さまからの情報が、ほぼ筒抜けになっていました。

「こんなことを言われても、あの会社“〇〇ルール”というものがあって、希望する間取りが一向に出来てこない……」
いまはどうか知りません。
ただ当時はよくこんなことを言われ、うちに決めてもらったことを覚えています。

ただ筆者はこうも思いました。
「この会社の営業、ハウスメーカーの割に、住宅のことを知らなすぎ!」と――

何しろ「〇〇工務店(××ホーム)の家を、どうか好きになって!」なんて、どの顔ぶら下げて、そんなお願いごとが言えるのでしょう? これは幾ら何でも、お客さまに甘ったれすぎです。

注文住宅の営業マンなら、希望が特におかしくなければ、お客さまの意向に沿うような住まいを提案しなければいけません。先の例がまかり通るなら、技術が足らない美容師に偶然当たって、「これがうちのルールなので――」とばかりに、とんちんかんなスタイリングを強要されているのと変わりません。

少なくとも注文住宅って、そうではないはずです。

そのような場合、営業がしなければいけないのは、お客さまが納得のいく説明をし、且つ同意を得ることではないでしょうか? だからこのコラムでは、何より商品知識を付けること、その重要性を言っています。

度合いでいうとしたら、商品知識はニュースレターやコピーライティングより重要です。なぜなら、正しい知識は全てを可能にするからです。

はっきり言いましょう。営業力とは知識の集積です。
そう、知識を身につける。 これが営業力を付けるための最高の手段であり、僕たちが最初に取り組むことなのです。

   

2 オラクルリーディングを見て感じたプロとアマの差

 

営業における商品知識の大事さについて、最近では『知識があればセールスマンは自然と煽らなくなる(R5.2.6投稿済)』というコラムを上げています。
こちらもぜひ併せて読んでいただきたいのですが、両者を比較すると、今回のほうが、皆さんに早く伝えたいと思ったのです。

実は昨日、YouTubeのオラクルリーディング(カード占いの一つ)を見ていた時、プロとアマの差を歴然と感じたのです。

アマチュアカードリーダーは説明からして、お友達と楽しんでやっているレベルに留まっているのに対し、いっぽうのプロの方は、カードごとの解釈の仕方もしっかりしていて、見ていて安心できる。

さらにプロの方はリーディングが深い。
この差はどこから生まれるかと考えると、オラクルリーディングをしっかり学んだ経験と、やはりカードリーディングに対しての知識の差なのではと思いました。

ちなみにプロの方は、臨床心理士としても活躍され、企業からの研修プログラムの依頼もあって、占い歴も20年を越す正真正銘のプロ。何より、話がとても聞きやすい。 皆さんも、プロ営業として恥ずかしくないよう、しっかりとした知識を身につけるべし。
これがタロット・オラクルリーディングを見て、筆者がまず考えたことです。

   

3 お客様に伝える知識は総体の 2 割にも満たない!

 

筆者はとあるハウスメーカーで住宅営業のキャリアをスタートさせました。ラッキーだったことは、この時の上司が「知識の営業」、「技術の営業」を目指せという信念で指導してくれたことです。

そのハウスメーカーにはいろんな営業マンがおり、一部から批判を受けていたことも知っています。ただこの上司のチームにいたとき、確かに勉強熱心ですし、レベルの高さを競い合う風土が根付いていました。

それだけに始めは大変でした。
どの先輩も知識・技術の面で、数段も上だったからです。

先輩方は私の営業に同行をしてくれましたが、「そんなんじゃ、客前に出せないぞ!」とかなり発破をかけられました。だから最初の 1、2 年はとにかく闇雲になって、住宅について知識を増やすことに走りました。

これは想像に過ぎませんが、皆さんのような工務店では、営業について特に研修等は設けていないのではないでしょうか? そして商品知識については、社員間でかなり開きがあるのかもしれません。もしそうだとしたら、ハウスメーカーの社員とは、随分差がついてしまうでしょう。

でもそれを、環境のせいにしたところで、自分をこれ以上成長させることはできません。

ならば自分で我武者羅になって、知識を増やすだけです。

筆者が薦めるのは、エスクナレッジ社の『建築知識』です。
『建築知識』は会社で定期購読しているところもあると思います。これを毎号とは言いませんが、気になる号は買って読み込んでみましょう。ネットもありますし、この雑誌が買えない地域はおそらくないと思います。

筆者は『建築知識』のほかに、『室内』という雑誌もとっていました――『室内』は、十数年前に休刊となってしまいましたが、とても読み応えのある建築・インテリア雑誌でした。

しかし専門誌を読み込んで知識がつき出すと、それをアウトプットしたくなります。そしてこの自然な相乗効果が、やがて一人前の営業を作ります。この過程は、ハウスメーカーも地場の工務店もそんなに違いはありません。

知識の量、深さというのは、およそ 2 割弱がお客さまに話していること。
そして残りの 8 割がお客さまにも伝えていないこと。これが知識の総体です。
つまりプロの営業が、どれだけ勉強しているか察せられるでしょうか?

もちろん営業に必要なのは建築知識だけではありません。住宅営業はファイナンスの知識、不動産全般の知識も必要です。

知識の良いところは、売り込まなくても良いところです。営業が売り込みに走るのは、明らかに知識不足です。だから勉強熱心な営業ほど、ムダな営業をしなくなります。

この感じを、営業の皆さんなら分かるはずです。

皆さんも売り込まなくても売れる、本当のプロを目指してください!
ゴールが遠く感じても、あなたなら出来ます。

  

  

   

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。