専門コラム 第311話 あなたの耳にも懐かしいポップスが届いているか
今日は自分の文章について、雑感めいたものを書いてみようと思います。
一応断っておくと、筆者は文章というものを、とてもうまく書きたいと願っていますが、文章家を気取るつもりもなければ、自分の文章を「結構うまく書けている」などと思ったことは、正直一度もありません。
まして筆者は読書家でもありません。
思いっきり断捨離をしたせいと、言えなくもありません。しかし現実に持っている本の数を見れば、それは一目瞭然です。
あくまで文章についての雑感です。
「雑感ならいい」という方は、このコラムは飛ばしてください。
反対に筆者と同じように、他に表現方法を持たず、
それでも文章を少しでもモノにしたいと思う方(とくにニュースレター、メルマガを書いている方)には、何かの足しにしていただけるかもしれません。 そのようなつもりで書いてみます。
あなたの耳にも懐かしいポップスが届いているか
文章がうまくなる秘訣
文章がうまくなるのに必要なこと。
これは、たくさん本を読むことです。
このコラムは、小説家志望の方が読むコラムではありませんから、参考になるかどうかは分かりませんが、作家の村上春樹さんも
小説家になろうという人にとって重要なのは、とりあえず本をたくさん読むことでしょう。
『さて、何を書けばいいのか?』|MONKEY[1]|vol.4|FALL / WINTER 2014 - 2015
と書いています。そして本をたくさん読むことが
小説を書くための何より大事な、欠かせない訓練になると思います。
『さて、何を書けばいいのか?』|MONKEY[1]|vol.4|FALL / WINTER 2014 - 2015
これは楽器の上達にも共通しています。
楽器の上達に欠かせないことは練習(稽古、practice)ですが、それプラス、CD、アナログレコード、そして出来れば生前奏(ライブコンサート)など、様々な音源にも多く触れておくこと。これが(特に将来プロを目指そうという方には)必要不可欠です。
そして同じように、こうも言っています。
とくに年若い時期には、一冊でも多くの本を手に取る必要があります。優れた小説も、それほど優れていない小説も、あるいはろくでもない小説だって(ぜんぜん)かまいません。とにかくどしどし片端から読んでいくこと。少しても多くの物語に身体を通過させていくこと。たくさんの優れた文章に出会うこと。時には優れていない文章に出会うこと。それがいちばん大事な作業になります。小説家にとっての、なくてはならない基礎体力になります。
『さて、何を書けばいいのか?』|MONKEY|vol.4|FALL / WINTER 2014 - 2015
ここでいう“年若い時期”とは、小学生、あるいはそれ未満の時期を含むと思います。
ただどうでしょう。家庭環境は人それぞれで、すべての人がそれを享受できるわけではありません。
村上春樹氏を喩えにするようで申し訳ないですが、氏のご実家は両親とも(たしか)学校の教師をしており、しかも村上氏は一人っ子です。
これは村上氏の言うとおりで、仕事(ジャス喫茶)を始めるまでの彼は、阪神間の静かな郊外で育ち、あまり勉強をしなくても成績もまずまずという、あきらかに恵まれた環境の子どもです。
また彼は「中学・高校を通じて、ぼくより大量の本を読む人は誰もいなかった」と言っています。
村上氏のファンなら知っていることですが、当時からいろんなジャンルの音楽(クラシック、ジャズはもちろん、全米トップ40などポピュラーミュージックに至るまで)を幅広く聴いており、彼曰く「まさに浴びるように」しかも満遍なく、それらを吸収していました。
それがほとんど際限なくできたのも、彼は一人っ子で、基本的に親から大事にされて育ったことによることは間違いありません。
早い話、救いがたいまでに世間知らずであったわけです。
『小説家になった頃』|MONKEY|vol.5|SPRIN 2015
[1] 「いい文学とは何か、人の心に残る言葉とは何か」
MONKEYは小説を通して、今私たちが住む世界の魅力を伝えるための文芸誌としてスイッチ・パブリッシングから創刊。責任編集長として翻訳家・エッセイストの柴田元幸氏が担当している。
「たくさん本を読むこと」に代わるものとは
たくさん本を読むこと。
これは特に村上氏のような息の長い作家にとって、どうしても必要なことです。
息の長い作家とは、長く職業作家として君臨し、読者に愛され親しまれるということです。
そうすると彼のような息の長い作家は、日本でも僅かしかいないことが分かります。
だから何も作家になることに慌てることはありません。
慌てることがないとは、決して10代、20代でデビューすることが、作家の道ではないということです。
更にいえば、人から愛される本を書くには、ある程度の社会経験も必要です。
村上氏の場合、それはジャズ喫茶の経営でした。
そういう意味で、村上氏の作家デビューは決して遅きに失したものではなく、必要な時期に必要なタイミングで天(宇宙)から授かった職業でしょう。だからこそ村上氏の小説は、決して苦しんでうんだ作品という感じがしません。
では村上氏のような職業作家ではありませんが、
文章を書くことで生活の糧を得る人にとって、必要なこととは何でしょうか?
文章を書くことを商売とする以上、必要なこととは、やはり、まともな文学作品を読みこなす資質です。この点では職業作家と何ら変わりません。
ただ量という意味では、職業作家を目指す方より、圧倒的に少なくて構わないと思います。
ただそのぶん、息の長い作家ではなくなってしまうかもしれません。
逆にいうと、そのぐらい「たくさん本を読むこと」は、文章を書く仕事にとって大事なことのように思います。
では広い意味で、文章を書くことで生活する人にとって、それに代わるものとは一体何でしょう? ここからは僕個人の意見です。
それは「たくさん本を読むこと」以外の、何らかのカルチャーとの関わりです。
何らかのカルチャーとは、言葉を換えるとするとサブカルチャー(またはカウンターカルチャー)といってもいい。
私の場合は、ここ最近、やたらと古い日本のポップス(おもに竹内まりあ)を YouTube で聴いてしまいます。
そして皆さんにも、意識している・していないという違いはあっても、それぞれのサブカルチャーがきっとあります。そして、そのサブカルこそが、人生を豊かにし、文章を書く人の広い意味での財産となります。 最後、やや中途半端に終わっていますので、次回に続編としてコラムを延長したいと思います。
それでは、楽しみにしていて下さい。
記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇
弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。
営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。
また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。