専門コラム 第279話 【後編】「無言の営業マン」として受注を確実なものとするニュースレターのチカラとは?
「無言の営業マン」としてのニュースレターについて、このコラムでは久々にニュースレターを中心に語ってきました。いかがでしたでしょう。
それではこのシリーズの最終回ということで、ニュースレターに関する注意点を、3つに集約してみます。
なおニュースレターに関しては、3 部でまとめるのはとても無理で、正直まだ書き足らない部分もあります。それについては、また折を見ながら、別のコラムで書き足していくつもりです。 それでは、取りあえず始めていきます。
【後編】「無言の営業マン」として受注を確実なものとするニュースレターのチカラとは?
1 鉄は熱いうちに打て!
ニュースレターに取り組む場合、古いリストにも万遍なく、レターを配布することと思います。もちろんそのことは間違いではありません。というより、そうすべきです。
ただ早く効果を実感したいのであれば、古いリストではなく、新規に取得したお客さまにニュースレターを送ってください。なぜならば、お持ちのリストがあっても、しっかりフォローしていなければ、すぐにそれは「死にリスト」になってしまうからです。
どういうことかと言うと、大抵のリストは、あなたの会社で建てなければ、別の会社で建ててしまうということ。
また、結構真剣に見極めたつもりが、実は短期決戦客だったということも多いのです。
ならば出来る限り新鮮で意気のいいリスト、それも受注が見込めそうなリストに向けて、ニュースレターは送るべきです。
中長期客や休眠客に送るのは、その後でも構いません。
レターを送るタイミングですが、まず来展御礼の手紙(サンキューレターのこと。ハガキでも良い)を、お客さまに会った当日、または翌日中に送ります。
そして 3 日ほど開けてから、既存リストに最近の送ったニュースレターのサンプルを送りましょう。
その際、別の手紙を以下のようにまとめ、サンプルレターと一緒に同封すると良いでしょう。
“こちらは先日展示場でご案内した 3 月号のサンプルレターです。
当方ではこのようなニュースレターを大体マンスリーで送っており、〇〇さまの住宅計画の一助となればと考えております。
またレターをお送りしているお得意さま限定で、現場見学会など各種イベントも、随時ご案内しております(下の写真は、先月実施した見学会でのオフショットです)。
なお次月発行する最新のニュースレターは、4 月〇日ごろの発送予定です。
どうぞ楽しみに!”
実は皆さん、これを見落としているようですが、ニュースレターは新規リストにも絶大な効果を発揮します。
もちろん新規用に内容を変える必要はありません。 「鉄は熱いうちに打て」は、受注営業にも当てはまります。
2 ニュースレターに欠かせない「教育」という概念
ニュースレターの知識がついてくると、ザイオンス(ザイアンス)効果を覚えるとことと思います。
小野氏のレポートにもザイオンス効果が登場します(ただ彼は「ザイオンス効果」という言葉は使っていません)。
レポートを読み進めると「お客が必ず買う状況を作り出す!」という、赤い太字書いた文字が出てきます。
さらにその下に進むと、次のような記述が見つかります。
→ お客が私のことをどんな人間かを、理解している。
→ お客が私のことを燃料に関するプロとして、信頼している。
→ お客が私のことをいつも、記憶している。
あとは、他社と同等の商品さえあれば売れる。
「ニュースレター 成功事例」より抜粋
簡単に言うと、これがザイオンス効果です(時間のある方はググってみましょう)。
小野氏はこれを、自身の営業体験を通して掴みます——このウェブページが出た頃、ザイオンス効果という言葉は、まだいまほどメジャーなキーワードとは言えなかった。日本でザイオンス効果とニュースレターの関係を最初に取り扱ったのは、マーケッターの神田昌典氏ではないでしょうか。
でも、「理解、信頼、記憶」という3つの要因を満たすために本気で活動している会社、営業マンがいたとしても、それだけではニュースレターは本来持つパワーを存分に発揮するとは言えません。
何が必要か?
そうです。
教育です。
このレポートでも最後のほうに、次のように登場します。
商品を買ってもらうために必要な要素というのは、いつの時代も同じである。
・自分という人間を理解してもらう。
・自分をプロとして信頼してもらう。
・自分を憶えていてもらう。
・そして、商品について語る。
必要なのは、お客との定期的なつながり、信頼関係、最後に商品。
この順番を間違えると、売れない。
「ニュースレター 成功事例」より抜粋
だから直近のコラムでは「知識の営業」について、しつこく説いていますし、曲がりなりにも本コラムでは「ワンテーマ型ニュースレター」を推奨しているのです。 「知識の営業」をテーマに営業活動を進めている方は、ニュースレターのネタに困らないでしょう。なぜなら学ぶテーマ、お客さまに伝えたい知識は、それこそ無数にあるからです。
3 できれば迷いながらも、ニュースレターを続けて欲しい
最後に注意点というより、皆さんにお願いのようなものをしておきます。
それは、できれば迷いながらも、ニュースレターを続けて欲しいということです。
先日、たまたま業界最大手の○○ハウス工業から電話がありました。
電話を取ったのは筆者ではなく、妻のほうです。
どういう内容かというと、駅前に計画しているマンションの売出しについての電話営業です。
これまで○○ハウスから電話をもらったこともありません。
ただハウスメーカーに勤務していた時に、一度だけ○○ハウスに偵察訪問を掛けたことがあります。そのときに残した名簿まだ存在していたのでしょう。
やれやれと言いたいところですが、どこの大手もこのような名簿管理しかしていません。
ただ一度取得した名簿はそう簡単に捨てないところが、いかにも住宅業界らしいというか、不動産部門がやりそうなことです。
でも考えてください。あなただって、何もフォローをしていないたくさんの名簿が溜まっているのではありませんか?
冒頭にも言いましたが、名簿、顧客リストというのは、実はほとんどが「死にリスト」なのです。だから営業は、結局新規ばかり追うのです。
これが毎月、毎月とは言わなくても 3 ヶ月に一度、あわよくば半年に一度でも、ニュースレターや、グリーティングカードが届いていたら、それは手を掛けた「生きリスト」としてしっかり残ります(全部ではないにしても)。
たとえニュースレターが爆発しなくても、送り続けていれば必ず資産となって返ってきます。
それだけでも、ニュースレターは続ける価値が十分あるんです。
だからこそ、迷いながらもニュースレターを続けて欲しい。
最近では「書くことに興味がなければ意識しなくても良い」と「弱気」な発言がこのコラムでも目立ちますが、実のところはそう考えていたりします。
皆様のご健闘を祈っております。
記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇
弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。
営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。
また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。