専門コラム 第125話 「最強のコピーライティングバイブル」から読み取るセールスライティングの魅力とは?
コロナ過での営業を振り返ることで、あらためてセールスライティングの重要性が理解できたのではないでしょうか。
次はいよいよセールスライティングの魅力に迫ってみたいと思います。
参考にさせてもらったのは、神田昌典;監修・解説、横田伊佐男;著『最強のコピーライティングバイブル』(ダイヤモンド社 2016/4/14)で、比較的新しい本ですが、ビジネス書では発売当初から話題となった名著といっていいでしょう。
またこの本は海外のコピーライティングの古典 3 分作をひとつに凝縮し、しかも国内成功例を豊富に付けているということで、多くの読者から注目されました。
海外のコピーライティングの古典 3 分作とは
- 『ザ・コピーライティング』
- 『伝説のコピーライティング実践バイブル』
- 『ザ・マーケティング【基本篇】』、『ザ・マーケティング【実践篇】』
のこと。つまり作品数は計 4 作品です。
今回取り上げるのは「すぐ行動させる《超訳》『伝説のコピーライティング実践バイブル』」という第 3 チャプターです。[1]
[1] [Amazon 伝説のコピーライティング実践バイブル]
(伝説のコピーライティング実践バイブル―史上最も売れる言葉を生み出した男の成功事例269 | ロバート・コリアー, 神田 昌典, 齋藤 慎子 |本 | 通販 | Amazon )
本書は営業のみならず、セールスの世界や広告業に従事する全ての人におすすめできる書籍ですが、特に第 3 チャプターは営業の立場でコピーライティングの技術を、手短に学ぶのに適しています。
またこの手の本としては、価格も手頃なので入手しやすいでしょう。
——原本のコピーライティング 3 分作はいずれも高価で、もちろん読む分量も相当多くなります。——
簡単な話、本書を読んでしまうのが手っ取り早い方法です。しかしセールスレターの面白さ、魅力を皆さんにいち早く気付いていただきたく、本書に範を求めさせてもらいました。
「最強のコピーライティングバイブル」から読み取るセールスライティングの魅力とは?
セールスレターとは究極的に顧客のベネフィットを考え書かれたもの
この書籍の第3チャプターは、セールスレターの中身を素早く顧客に伝達するため、いわゆる「6 フレーム」というテクニックを紹介しています。
事例に上げられているのは、
- かの有名な「オールウェザーコート」(『伝説のコピーライティング実践バイブル』の著者、ロバート・コリアーの実際に書いた)ズバリのセールスレター
- 神田昌典氏のご実家の学生服店を題材に、氏の「実践会ニュースレター」で取り上げたセールスレター(このほかにももう一例!)
- 海外輸入車ディーラー(アウディ世田谷)に勤務するエース営業マンのセールスレター(著者の横田氏により、実際の体験から語られたもの)[2]
というラインナップ。
[2] [アウディを年間4億円売るエース営業マンの手紙]
(https://diamond.jp/articles/-/93512)
もちろん、それぞれのセールスレターに「6 フレーム」のテクニックが使われています。
ただ「6 フレーム」は大事な技術なのですが、3 章には各々のセールスレターが、顧客のメリットを最大限重視して書かれています。
当たり前のことですが、実はそのことこそ重要なのです。
特にアウディ・ブランドのクルマを販売するエース営業マンは、他の 2 人とは違い、セールスはプロでもコピーライティングについては全くの素人です。
事実彼がこうしたレターを仕上げられるようになったのは、ひたすら「お客様のベネフィットを想い続け、手紙を書いていると、成績が上がり、自然と手紙の技術が身についた」と言います。
要はセールスレターとはテクニックももちろん大事。
しかし、お客様への深い思いがあれば、そのことで自動的にカタチを成し、お客様の心に伝わる文章が書けるということです。
そしてそれは全天候型レインコートでも、海外の高級車でも、そう変わりはありません。
セールスレターとはコンパクト且つパワフルなセールス・ツール
同じことを、自身のコピーライティング教材(『ネットビジネス大百科』の中にある)の中で木坂健宣氏が言っています。
「ある程度のことを学ぶと、セールスライティングの中でテクニックはそれほど意識しなくなります。
逆にテクニックから離れてこそ、より伝わるセールスレターが書ける——」というようなことを、自身の音声教材の中で語っていました。
(筆者はこの音声ファイルが好きで、営業マン時代、車中で繰り返しリピートして聞いていました)
しかも『最強のコピーライティングバイブル』の著者である横田氏は、この営業マンから 5 年間で数台のクルマを購入したということ。
そして結局この営業マンとは、5 年で 3 回しか会っていないと言います。ムダな労力を使わない実に“省エネ”セールスです。
つまり横田氏とこの営業を結ぶ接点は「顧客を想う一枚のセールスレター」だけと言ってもいいわけです。
この事実を聞いて震えない(またはテンションが上がらない)営業がいたら、筆者の説明が拙かったことを真剣に考え直すしかありません。
言い換えればセールスレターとは、一枚の便箋にもまとまるほどコンパクトな世界観を持ちながら、使い方によっては「どのような難しい商談もまとめてしまう」ほどのパワフルなツールなのです。
コピーライティングの名手、ゲイリー・ハルバートが残した言葉に「コピーで解決できないビジネス上の問題はない」という名言があります
——この言葉を世に広めたのも、前述の木坂氏の教材だと思います——
そしてこれこそ、このコラムで伝えたかった「セールスレターの魅力」なのです。
レターは「控え目に書き出す」、そして「強気に踏み込む」のが鉄則!
引き続き技術的な部分について、今後のコラムを通してお伝えする予定ですが、この記事でもテクニック的なことを少し言及しておきます。
それは限られたセールスレターの中身で、視点が「読み手の土俵」から「書き手の土俵」へと移行していることです。
つまりレターの書き手は、はじめは控え目にスタートしているけれど、後半に向かうにつれて徐々に熱を帯びてきているということ。
本書の表現を抜粋すると
書き出しは、読み手に気を遣い、控え目に書き出す。
だが、次第に読み手の警戒心がほぐれるにつれて、書き手のペースでグイグイと踏み込んでいるのだ
またこうも言っています。
なのに、多くの人は書き手のペース全開でやってしまう。
それでは、説得力を持って購買させるセールスレターにならない
これについて皆さんは参照記事(「アウディを年間4億円売るエース営業マンの手紙」)をググって、手紙本文と「控え目に書き出す」「強気に踏み込む」変化を、体感してみるといいでしょう。
筆者も変わらず、皆さんの健闘を熱く祈願しております。