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専門コラム 第266話 「新しい時代」の営業に必要なこと

    

さて先回から続き、「新しい時代」になり、営業がどう変わるのかを説明すると言いました。
今回はもったいを付けず、初めから結論を言いましょう。

僕等はやはり「書いて売っていく」ことが、この先も変わることなく重要です。
そして、あまりこの言葉を、最近では好きではなくなりましたが、やはり大切になるのは「コピーライティング」です。

このことは本コラムの読者の方なら、たぶん分かっているのではと思います。
その方は、これまでと同じ気持ちで、「広い意味でのライティング」を、変わらず続けて下さい。 逆にそうでない方には、「なぜそうなのか?」、「どうして書くことが大切なのか?」 
そのことをこのコラムでで説明していきます。

  

「新しい時代」の営業に必要なこと

1 新しい時代に古典が大事な理由

 

説明の前に二、三確認させてください。

本コラムは大前提として、多くのコンテンツをダイレクト・マーケティング――このことを「ダイレクト・レスポンス・マーケティング」、あるいは頭文字を使い“DRM”と略して使う場合もあります――の考え方をベースに編まれています。
その関係で、営業の皆さんには「ニュースレター(またはニューズレター)」というツールを推奨しています。

「ニュースレターの発行」は、神田昌典の提唱するダイレクト・マーケティングの大きな特徴であり、最大の武器ともいえる。

(神田昌典. 禁断のセールスコピーライティング (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1185-1186). Kindle 版. )

これは神田昌典氏が過去の実践会レターをまとめた『禁断のセールスコピーライティング』という本の中で、ニュースレターについて書かれた章の最初に登場する文章です。
ここからもニュースレターの重要性が察せられますし、自身は現役の営業マンとして、ニュースレターの恩恵を多く預かってきました――そのときの体験を、過去記事の随所で語っています。

確認というのは、このコラムがダイレクト・マーケティングの考えを踏襲し、
且つ皆さんには、ニュースレターの発行を推奨しているということです(もちろん強制ではありません。念のため――)。

それではなぜ「DRM」の力を信じ、営業におけるニュースレターの威力を皆さんに伝えるかというと、この「DRM」自体が、人間心理に基づいた、いわば古典的メソッドで、その流れを汲むニュースレターそのものが、集客、教育、営業に最適化された販売ツールだからです。

そして「新しい時代」にこそ大事なのは、この古典といわれるものです。

文学作品で言うなら、たとえばジェーン・オースティンの『Pride and Prejudice(自負と偏見)』辺りが[1]、英文学のクラシックです。
 

それは、どんな時代になろうと、一定の価値を持ちます。
古典というものが、多く批評にさらされながら、それらをモノともせず、結局多くの方から愛され、そして残ってきたからです。

 

『自負と偏見』はイギリスの片田舎を舞台に繰り広げられる、たわいもない恋愛小説です。しかし類稀なるストーリーテラーとして知られるサマセット・モーム[2]をして「読者がどんな気分の時でも、巧みな筋立てに必ず魅了される」と、『世界の十大小説』で下した評価はあまりに有名です。

 

同じようにダイレクト・マーケティングは、人間本来の心理や脳の特性に依拠し、100年以上の歴史の中で静かに発展を遂げています。そんな訳で、最近巷を賑わすSNS、YouTubeといった「××マーケティング」とは一線を画します。

その意味でどんなに時代が変わろうと、ダイレクト・マーケティンが使えなくなるということはありません。
またその効果についても、変わらず不動といえます。

 


 

[1] 海外文学の古典というと、トルストイ、ドストエフスキーといったロシア文学を挙げる方が多い。しかしここ数年は、再びオースティンの『Pride and Prejudice』などが、静かな人気を博している。

[2] ウィリアム・サマセット・モーム(William Somerset Maugham、1874年1月25日 - 1965年12月16日)。イギリスの小説家、劇作家。
代表作は『月と6ペンス』、『お菓子とビール』、『人間の絆』などの長編小説。そして文学作品にまつわるエッセイとして、文中の『世界の十大小説』が有名。

   

2 書くことに疑問を持つなど「自分の怠惰の証明」でしかない

 

また皆さんの中には、「営業なのにどうして書くことにこだわるのか」が分からない方もいるようです。

しかし、書くことを重要と捉えない営業がいるほうが、かえって不思議です。

もちろんイヤなものを、無理に書くことはありません。

ただ正直に言うと、書くことを重要と思わない営業が増えれば、そのぶんライバルは減ります。これほどラクなことはありません。

でも考えてみてください。

完全なアドリブトークと思われていたお笑いのネタが、緻密な台本をもとに仕込まれていることは、もはや誰もが知る事実です。奇跡と思えるジャズの即興演奏も、単純なビバップイディオムを繰り返し練習した結果です。

確かにハウスメーカーは、営業マンの坩堝(るつぼ)です。
しかし彼らは、飛び込みや展示場案内に使うスクリプトを、新人の間は必ず暗記させられます。そしてこの台本をもとに先輩とロープレを何度も行います。
つまり実際に飛び込みや展示場案内の現場に立つのは、訓練を積んだ後ということ。

こうした教育を受けてきた営業から、「営業なのにどうして書くことにこだわるのか」と言う愚痴を私は滅多に聞きません。それは彼らがスクリプト、または台本の大切さを身に染みて知っているからです。
逆にこれら文章の暗記やロープレの経験がない営業に限って、先のような不満をよく漏らさないでしょうか? 

同じことが、ニュースやスピーチの原稿にも言えます。
どんなアナウンサーも、書く下準備を重要じゃないと言う方はまずいません。喋ることが仕事のアナウンサーも、裏では死ぬ程、文章を書いています。
また地方局のアナウンサーは、ニュース原稿を書くのも、重要な自分たちの仕事と言います――

有名な政治家には必ずお抱えのスピーチライターがいます。
どうしてスピーチライターが必要なのか? それは決められた時間で、重要なことを漏れなく、そして適切な言葉で伝えるためです。

人間は言葉に反応する生き物です。 仮に手紙やニュースレターをいっさい書かなくても、書く・書かないに疑問を持つなど、(厳しいようですが)結局のところ、自分の怠惰を証明しているに過ぎません。

   

3 売れる下地を先に築くという話

 

最後に、以前ある動画[1]で聞いた話を紹介します。誰の動画かと言うと、敬愛するマーケッターの木坂健宣氏です。

めずらしくビジネス仲間の和佐さんと、彼の新しい商材のキャンペーン動画で対談をしていたのですが、木坂氏がこんなことを喋っていました。

僕はずっと前から言っていることだけど、
「ペラいち(つまり「ランディングページ」のワンページ)」で何かを売るってことは、ちょーむずいってこと。
むしろ僕としては、それをお薦めはしません。だって、広告費もそれなりに掛けるわけでしょ。それでペイするなら良いけれど、よほど文章に自信がない限り、絶対安易にやっちゃいけないことだと思う――。

そして「ペラいち」だけで売れるのは、いわゆる「ハーティングな商品(緊急性が強い商品のこと。医療関係、雨漏り、水道工事など)」

だけと、木坂氏は言います。

 

彼が何を言いたいのか?
それはきっと「先に売れる下地を築きなさい」ということです。

そして、彼がたとえ話として語っていたのは、
僕はカメラなどの機材関係に特に興味はない。
でもAさんがこれほど熱く語るカメラというものにはどうしても魅かれると。
そして「Aさんが熱く語るカメラだから」という理由で、人は購買に動くのだと。

「僕の扱っているビジネスは、テーマ自体が市場からさほど求められていない。だから売れにくい」って言う人がよくいる。でもこれってちがうのね。
商品が求められないのではなくて、求められていないのはあなたのほうなの。
これからは商品ではなく、売る人間がどういう人なのかがますます重要になる。

そして「売る人間がどういう人なのか」を示す道具が、たとえばこのコラムですすめているニュースレターです。

まあ、このエピソードをコラムの最後に持ってきたのは全く予期せぬことでした。
しかし「新しい時代」の営業に絶対に必要なことだと思うので、今回紹介しました。

この話が、皆さんの仕事のプラスになれば幸いです!

 


 

[1] この動画は、和佐大輔さんがリリースする新しい商材のキャンペーンで作られたもので、動画は現在アーカイブされていません。

  

  

   

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。