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専門コラム 第261話 「手紙で売る」ことになぜ執拗こだわるのか?

    

前回のコラムで久々にニュースレターのことを書く機会があり、考えたことがあります。
それは「ニュースレターのことになると、なぜこんなに熱くなれるのか」ということです。

まあ、しばらく考えていたのですが、ある言葉を思い出しました。
それは「広告で集めて手紙で売る」という言葉が、自分を根底から変えたことです。

「広告で集めて手紙で売る」

この言葉を最初に聞いたのは、マーケッターの木坂健宣氏さんが何かの音声マニュアルで使ったのではないか? またブリッジワークの高橋さんも、この言葉を時折り使います。

だから「多分著名なマーケッターか誰かが、この言葉を使ったのではないか?」
そう思って Google 検索をかけてみましたが、それらしき人は表れませんでした。

ただ誰が言い始めたかはわかりませんが、筆者はこの「広告で集めて手紙で売る」という言葉が無性に好きです。
いかにもダイレクト・マーケティングらしい言葉だし、僕らがやる仕事を、この上なくシンプルに言い表しています。 今日のコラムは、この言葉にまつわることを書いてみようと思います。

  

「手紙で売る」ことになぜ執拗こだわるのか?

1 なぜ僕たちは連絡先を獲得しなければならない?

 

ブリッジワークの高橋さんが動画[1]で語っていたのですが、それは大手と僕らのようなスモールビジネスでは、同じ集客という概念でも捉え方が全く違ってくると。

たとえば、通常集客とは、商品が並ぶ店舗またはWebサイトに、一定のお客さまを集めることです。ただ僕たちスモールビジネスは、単にお客さまを集めるだけではダメで、同時にお客さまの連絡先を聞き出すことが必要だと高橋さんは言います。

なぜなら「ここでお客さまの連絡先を獲得しておかないと、お客さまとの関係性は常に不特定多数になる」からです。
そして「不特定多数のお客様にリーチするには、広告を使わなければいけません」。これをやっているのが「いわゆる大手」です。

但し僕らスモールビジネスは大手のように、潤沢に使える広告予算がありません。そこで考えられることは、お客さまとの関係性を不特定多数としないために、常にお客さまの連絡先を獲得しなければいけない。

まさに言い得て妙です。

幸い僕らの業界では、大手であっても展示場の来場者には必ず住所、お名前を聞き出します。ここで来場者の住所・お名前を聞き出せないと、その後は二度と教えてくれる機会は巡って来ません。 むかし車のナンバーを控えておけば、後で陸運局に出向き、住所を調べることはできました。しかし手数料と時間をムダにしたところで、そういうお客さまが折衝客に進展することは多分ないでしょう。


[1] [小さなビジネスの集客方法を考える Part3](https://www.youtube.com/watch?v=ATelfARTDDw)

   

2 人は自分の個人情報を他人に容易には教えないもの

 

話は変わりますが、私が営業マン時代、展示場で名簿を獲得する際に意を決して試したことがあります。
それは「絶対にこちら(お客さまが書かれた住所)には訪問しません」と前置きし、それに続けて
「ただ当方、今回ご来場いただいた方に、将来のご計画に参考にしていただける自作の情報紙(ニュースレター)を郵送しております。つきましては、お客さまの連絡先だけでもご記入いただけないでしょうか。」と申し出たことです。

結果どうだったかと言うと、そう告げてから、お客さまから連絡先の記入を拒否されたことはただの一度もありませんでした。みなことごとく、住所、お名前を記入してくれます。

これには少し驚きました。

また筆者もこれ以降、訪問しないと伝えたお客様に限っては、その誓いを一度も破ったことはありません。
(なお本コラムでは「訪問しない営業」を、みなさんにお薦めはしません。ニュースレターは郵送だけではなく、手渡しで訪問理由にも使えます。ぜひこのような約束を、お客さまと交わさぬよう注意してください。)

全く訪問せずに、営業が成立するかということですが、ニュースレターに反応するお客さまは一定のペースで現れます。
更にニュースレターに反応し折衝客となった方は、必要があればお宅に訪問をしますし、お客さまご自身もコンタクトをとってくれます。
つまり住宅の打ち合わせに進展すれば、否が応なく、連絡を取り合うようになります。ですから営業が成立しないことで、困ったことはありません。

ただ、ここで考えなければいけないことは――自分が逆の立場なら、容易に想像できると思いますが――お客さまというのは、自分の連絡先を、何の理由もなく他者に教えることはないということです。
展示場も現場見学会も、他人の家を公開する代わりに、住所の聞き出しをお願いできているようなもの。そう考えたら、住所・お名前を書かないで帰るお客さまを、無下に非難する理由はありません。 しかしこのときばかりは、筆者も一種の賭けに出ました。
それは自分のニュースレターがどれだけ機能するか。また生意気ですが「手紙で売る」ことが本当に可能か、自分で試したかったのです。

   

3 作り手が真剣に考え抜くから伝わるレターが書ける!

 

理由はいくつかあります。

新築の住宅営業に転職したばかりの私には、自分が頼れるものはニュースレターしかありませんでした。

「手紙で売る」という言葉に惹かれ、そのチカラを信じ切きろうとしたワケが何となく伝わったでしょうか?

その代わり、書く側も必死です。
ニュースレターの手応えが今ひとつだった場合は、仕事を辞する覚悟です。
大袈裟かもしれませんが、営業が訪問を捨てるのですから、本人はそんなつもりでいました。

また皆さんはニュースレターと、会社が出す住まいの定期点検のハガキを混同していませんか。ニュースレターは会社の通知ハガキとは違います。それをどのように描けば機能するか、自分の脳ミソで考えるしかありません。

ちなみに、コラムで提案するワンテーマ型ニュースレターが他社のレターより一手間多いのは、住関連の情報も届けているからです。またそのようなレターは、住関連の情報に乏しい方には残念ながら書けません。

もちろん、見込み客が楽しみに読むレターなら、A4 用紙 1 枚のものでも事足ります。
しかし、将来の計画の参考に読むレターとなればそうはいきません。少なくとも教育コンテンツも組み込んだレターが必要です。当コラムが推奨するワンテーマ型ニュースレターは、そのような思いから出来ています。

ただどちらの場合でも、作り手が真剣に考え抜いてレターを作成することは変わりません。
またそれが、このコラムから皆さんに伝えたいことです。 みなさんなら出来ます!
陰ながら、応援しています。

  

  

   

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。