専門コラム 第106話 「弱者の戦い方」としてニュースレター戦略
一般的に考えて、ニュースレター戦略とは「弱者の戦い方」です。
なぜなら大手、それもランチェスター理論で指摘する「特定の市場で26%ものシェアを有する」いわゆる「勝ち組」であっても、営業社員がニュースレターを書く習慣が基本的にないからです。
それより営業には自社商品を販売し、販売先から集金して来るという大事な仕事があります。
仮に大手の営業マンがニュースレターに興味を持っても、周りがニュースレターの存在を否定して来るかも知れません。
また否定はしなくても、同僚や先輩から「そんなことやって意味があるの?」「真面目に仕事したら?」と茶々を入れられる。おそらくそれが関の山です。
大手で集客は、大抵は販促やマーケティング関連の部門が担当し、外部の広告代理店と共同で、折り込みチラシやマスメディアに向けた広告を作ります。
ですからニュースレターなど、一見面倒かつ小賢しいものを作ることは、彼等にしたら恥ずべきことなのかも知れません。
しかし大手や「勝ち組」の方には恐縮ですが、ニュースレター戦略は、コロナ禍にあっても俄然効果を発揮しています。
いま筆者がお伝えできるものと言えば、不動産業界の成功例に限られますが、「弱者の戦い方」としてのニュースレター戦略について、皆さんとシェアできればと思います。
「弱者の戦い方」としてニュースレター戦略
ニュースレター戦略は、少なくともまだしばらくは使える
筆者の昔の同僚に工務店を経営している方がいます。
その方はもちろんのこと、自分なり経営理論を持っています。
そして、決して自分の理論に雁字搦めにならない所も彼の良い所です。
ちょうど 1 年ほど前、久々に彼と連絡を取り合い、近況を懐かしく語り合ったのですが、どうもいつものような元気さがありません。
というのも、独立して15年余りを過ぎようとする今、彼なりに集客について悩みを抱えているようなのです。
筆者は「君ならきっと大丈夫」と発破を掛けましたが、同時に「ニュースレターを何故やらないのだろう?」と、ふと思いました。
ただ彼ならきっとそうした難局を、これまでのようにユニークな発想で乗り越えられると信じていましたから、ニュースレターについては特に触れませんでした。
しかしその後、このようなコラムを書くようになり、住宅業界の現状を改めてより知るようになると、逆に今もニュースレターが「十分にパワフルな集客ツール」であると分かります。
仮に昨年の連絡がいまだったら、筆者は迷わず「ニュースレターをやってみたら? 僕らの世代はニュースレターを過去のものと考えがち。
けれどもそんなことはない。今も十分効果を発揮するよ!」と彼に伝えるでしょう。
筆者が購読する某メルマガについて
前にもコラムに書きましたが、筆者はある不動産業者のメルマガを、無料会員として購読しています。
無料・有料との違いは、有料会員になると源泉営業に特化した営業技術を所得するコミュニティに入れるのです。
コミュニティに入れる特権は簡単に言うと、メルマガの主宰者(ご本人もスーパー営業マンです)から、仕事の進め方や実際の営業現場にも立ち会ってくれるなどの、懇切丁寧な指導が受けられます。
さらに筆者が注目したのは、このコミュニティではニュースレターについてもアドバイスが受けられます。
実はこの源泉営業のコミュニティでは、参加者全員に自分のニュースレターの発信を強く勧めています。
筆者がこのメルマガの無料会員になったのは、「このコミュニティなら、優良で現在進行形の情報を学べる」と考えたからです。
ただ筆者は現役の営業マンではないので、無料会員として主にコンテンツを楽しんでいますが、無料会員にも時々セミナーの一部を公開しています。
そしてその中で好評なのが、会員が実際に体験したニュースレターの効果なのです。
ニュースレターで経営を立て直すきっかけを掴んだ!
このコミュニティでは、実際に効果のある源泉営業のアプローチ方法を会員限定で幾つか紹介しています。
またこれを会員の方に実践してもらい、その効果や注意点について共有するのです。
ただ主宰者には申し訳ないのですが、有料会員の心にヒットしているのは、様々でユニークなアプローチ方法というより、おそらくニュースレターの効果の方です。
先日のセミナーでも「〇〇機関に〇〇を配布することで紹介が生まれる」というアプローチについて、成功例を参加者で共有していました。
ところが参加者の顔つきを見ていると、主宰者が伝授したアプローチ方法云々というより、コミュニティの基本となるニュースレターの効果の方が、遥かに絶大のようなのです。
その気持ちはよく分かります。
筆者も 20 年弱も前に、注文住宅の業界でニュースレターのパワフルな効果を体感しているからです。
ある参加者のエピソードですが、僅か数週間前にニュースレターを渡した資産家の方から「〇〇さん、ちょっとドライブに行きましょう」と誘われます。
そしてその方が所有する不動産の紹介を受けたようですが、その際に「物件の最終的な処分を、全て君にお任せする」と告げられたそうです。
資産家にこれを言わせたのは、もちろん最初の電話営業の成果です。
ただ、顧客との関係性を短期間のうちにここまで高めたのは、紛れもなく参加者に勧めているニュースレターがあってのことです。
この参加者の方が経営する不動産会社は経営に苦しんでいたようですが、偶然このメルマガの存在を知り、そしてニュースレターに初挑戦しました。その結果がこれです。
もちろんまだ結果は出ていません。
それでも経営を立て直すきっかけを、彼は掴んだはずです。
ニュースレターはこの方のように、ある程度キャリアがある方に向くのかというと、そんなことはありません。
不動産のことをよく知らない新人営業マンが書くレターでも、自己開示をきちんとすれば、顧客との関係が劇的に変わります。
営業にとって顧客と心で握手できれば、テクニックは二の次という面があります。
もしあなたが弱者の側にいて、ニュースレターをまだ始めてないなら、まず試してみてはいかがでしょうか。