専門コラム 第115話 「営業なし」でもお客が途切れない事業を実現。こだわりのある住宅事業を展開しよう!
いろんなところで語られていることですが、住宅産業の社会的意義、責任とは。。。
それは、詰まるところ「健康」に資することが、重要なテーマの一つになると思います。
なぜなら家庭や人の幸せの基礎は、そこに住まう方の健康にあるからです。
どんなに見栄えの良い調度やインテリアに囲まれようと、肝心の住宅そのものが寒すぎたり暑過ぎたりでは何の意味も持ちません。
ただ、こちら動画[1]にもある通り(動画前半に出てくる「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令」のくだり)、日本の住宅にも大規模建築物のように、快適な生活温度基準というものがあれば良いのです。
しかし世界の先進国には普通にあるとされる室温基準が我が国にはありません。
そう言う「お国柄」が我が国の営業活動をいびつなものにしていたら、それはよく考える必要がありそうです。
筆者は住宅産業こそ「真面目に家をつくっていたら、気が付くと数年待ちのお客様が現れる——」といった環境をつくるべきと考えています。
もちろん「営業をしなくても」です。
ただし工務店もいろいろありますから、全てではありません。
でもやがては「営業なし」で、自然とお客が並ぶ店をつくって欲しいというのが皆さんに目指して欲しい姿です。
今日はこのことについて考えてみましょう。
[1] こちらの動画は2部構成となっています。併せてご覧になることをお勧めします。
[健康は失って初めてその価値の大きさに気が付くもの! 住宅と健康の関係(1/2)](https://www.youtube.com/watch?v=WHlgBaVSxfQ&t=978s)
[健康は失って初めてその価値の大きさに気が付くもの! 住宅と健康の関係(2/2)](https://www.youtube.com/watch?v=5iuCNhkivHs)
「営業なし」でもお客が途切れない事業を実現。こだわりのある住宅事業を展開しよう!
工務店営業のあるべき本当の姿とは
営業応援のコラムを書いているのに、なぜ「営業しなくても良い環境を築くべきだ」などと書くのは、それが工務店営業のあるべき本当の姿と思うからです。
工務店といえば、アフターがあれば、すぐ駆け付けられるフットワークの軽さが求められます。
その一方で近所には常に工事現場があることで、それが顧客の安心と信頼につながっています。
極端に言えば、工務店は良い現場があれば、お客様との関係性の構築はできてしまうもの。
ニュースレターなんて、本来は書く必要ありません。
しかしハウスメーカーの存在や彼らの影響によって、業界は少しずつ変わってしまいました。
またフランチャイズの動きや、最近では不動産業にもミニビルダーが現れるなど、工務店経営が苦戦を強いられる場面も少なくありません。
そこでやり手の営業マンを雇いますが、その多くが自分の力を発揮できずに潰れていくと聞きます。
ただこんな時だから工務店営業は、あるべき本当の姿をイメージして欲しいと思います。
冒頭にも書きましたが「真面目に家をつくっていたら、気が付くと数年待ちのお客様が現れる——」とは、先日紹介したラクジュのYouTubeチャンネルで、青森県むつ市の菊池組のインタビュー[1]から、菊池氏の言葉をお借りしたものです。
理想論にも聞こえそうですが、これが工務店本来のあるべき姿ではと考えます。
もちろん皆さんにも、究極このレベルを目指して欲しいのです。
[1] [【よい地域工務店】厳しい環境でも快適な暮らしを実現!菊池組!青森県スタイリッシュなパッシブデザインの高性能な家づくり!!]
(https://www.youtube.com/watch?v=-_N66LPewr0)
菊池組では、なんと設計が始まるのは今から 3 年後といいます! インタビューの発言は動画後半の座談の席で聞けます。
「こだわりポイント」が明確な家ほど、特定のファンがつきやすい
では工務店本来のあるべき姿とは、一体どういう状態を指すのでしょう。
これについて先月『お洒落な家、コンセプトが明確な家ほど「集客」がしやすいのはなぜ?』という記事を上げています。
何が書かれた記事か分かりやすくいうと、「こだわりポイント」が明確な家ほど、特定のファンがつきやすいということです。
逆も然りで「こだわりポイント」がはっきりしていない、明確にされていない家ほど、売ることが難しくなります。
つまり営業が必要な業態なのです。
おそらくこの仮説は、家以外のあらゆる商品・サービスにも共通するはずです。
そして「こだわりポイント」が明確な家は決してマスを形成しません。
いわゆる少数派です。
ただしスモールビジネスの経営規模であれば十分食べていくことができます。
その意味で、最初のコンセプト設定を甘くみないで欲しいのです。
そうすればある程度の時間は掛かりますが、工務店経営の理想的状態に到達できます。
それまでの間はどうするか?
例えばこのコラムで繰り返し言っている、オリジナルな情報誌(ニュースレター)を使って顧客との関係性を維持します。
本当にファンが付くと、情報誌の定期発行もおぼつかなくなるでしょう。
その時は工務店本来の家づくりに専念すれば良いのです。
お勧めの「こだわりポイント」は高性能な家づくり
ただ言葉でいうほど道のりは決して平たんではありません。
まずどうしてもやっていただきたい事は、アフター工事を疎かにしないことです。
もし残工事があるなら早く取り掛かることです。
ここが遅々として進まない工務店は、令和の時代に生き残れないと思います。
何故ならアフター工事を天から授かった勉強、また自店の技術の至らない部分と捉え、熱心に取り組もうとする工務店は他にもあるからです。
またこれも基本的なことですが、現場をきれいにすること、安全管理も忘れてはいけません。
これらは必ず守るようにしてください。
そして重要なコンセプト設定ですが、皆さんにお勧めするのは、冒頭でも触れた高性能な家づくりです。
高性能な家づくりは、以前はZEHという言葉を使い、国を上げて押し進めていたものです。
しかしどうもこの国には、カタチが見えない「高気密・高断熱」という概念が、作る側もお客様にもなかなか根付きません。
それでも国が掲げた目標が中断される前は、どの工務店も強制的にでも取り組んでいたこと。
しかも現在は“ZEH縛り”なくなったことで、無理にスマートハウス化しなくても、高性能な家は成立します。
また高性能住宅は一定数のファンを囲い込みやすい傾向があります。
これはこのコラムで紹介した、おすすめの建築系 YouTuber が実証しています。
彼らの多くは特別な営業をせずとも、新築やリフォーム工事をガンガン獲得しています。
もちろん「こだわりポイント」は他のものでも結構です。
皆さんの成功を祈っています。