専門コラム第264話「創造の達人」は良いことばかりをを引き寄せない

2023.03.10 コラム > 住宅営業

知り合いに、小学校の教師をしている20代の女性――以前、コラムでも紹介した事があります――がいます。先日お盆で久々に会ったのですが、ひとしきり話した後、彼女が「これ、見てもらえます？」と、何やら荷物の中から取り出しました。

よく見ると、それは受け持ちのクラスの生徒さんたちが作った、折り紙で編んだバッグのような物。その中には、子どもたちが先生に宛てた手紙が、一通ずつ詰まっていました（「一通ずつ」と言っても、それは3Mブランドが出す四方形のPost-itほどの手紙ですが――）。

普段、手紙の重要性を語っている者として、小学2年生といえど、これはとても見過ごせないものです。

授業で習ったばかりの手紙。
それを小さな手で、あくまで自主的に、担任の教師宛てに人生初の手紙をしたためたのです。もちろん、自分たちが考えた言葉で――。

当然のこと、このクラスの諸君に拍手を送りたいと思います。
ただこれを見たとき「彼女はこの現実を引き寄せたのかも……」と、妙に納得してしまいました。

今日のテーマは、この現実の引き寄せについてみていきます。

「創造の達人」は良いことばかりをを引き寄せない

１　２つの自己啓発書

テーマに入る前に「あなたにとって重要な本は？」と聞かれたら、
筆者は迷わず、ジェームズ・アレンが書いた『「原因」と「結果」の法則』、次にオグ・マンディーノの『世界最強の商人』の2冊をあげるでしょう。

日本語版のタイトルは『世界最強の商人』になっていますが、原題では「商人」は「セールスマン」となっています。セールスマンというと、様々な商品を一人でせっせと売り歩く仕事を思い浮かべがちですが、私たちは誰もがセールスマンだといえるのではないでしょうか。売るものは決して形あるものとは限りません。自分の信条であったり、自分自身であったりします。究極的には、自分自身の価値を世の中にセールスすることが成功の秘訣といえるかもしれません。
オグ・マンディーノ,山川紘矢,山川亜希子. 世界最強の商人 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1414-1418). Kindle 版.

これは『世界最強の商人』に寄せられた「訳者あとがき」の一節です。

ところで山川氏のように^[1]、東大法学部（亜希子夫人は同大学・経済学部卒）から大蔵省、そして退官後に翻訳家という、輝かしい経歴を持ちながら、一方で「私たちは誰もがセールスマン」という意識を捨てません。セールス出身の者として、これは素直に誇らしい気持ちです。

ただ非常に残念なことに、この手の書物の「あるある」とでも言いますか、どれも示唆的な表現が多く、一般の読者には「取っ付き難い」読み物です。

小説仕立てで書かれた『世界最強の商人』はまだ良いでしょう。
しかし『「原因」と「結果」の法則』に至っては、その傾向がよりいっそう強まります。

作者であるジェームズ・アレン。彼の正しい評価はその死後に持ち送りとなります。
そんなこともあって、欧米では聖書に次ぐベストセラーとも言われる『「原因」と「結果」の法則』も、最初の理解者は、人生の成功や幸せを願う人、意欲的に人生の意味を探究する人たちに限られていたようです。なのを隠そう、筆者もこの本を正しく理解できるまで、かれこれ20年近く掛かっています――それだけに「愛着の湧く本」とも言えるのですが……。

^[1] 山川夫妻は、精神世界、自己啓発の本を数多く翻訳しており、両名が関わった作品は、『マスターの教え』『ホワンの物語』『ザ・シークレット』『ザ・メタ・シークレット』『富を「引き寄せる」科学的法則』などがある。

２　「毎朝手を合わせて祈る」

ただ、特定の習慣を持つことで、精神世界や自己啓発本をより近くに感じることも可能です。
それは少し前のコラムにも書きましたが、毎朝手を合わせて祈ることです。

仏壇でも神棚でも結構です。
なければ、手を合わせて祈るだけでも十分でしょう。

要は自分の波動を整え、上げること。
これが精神世界や自己啓発本をより近くに感じる方法です。

しかし、それをするのに「やれマインドフルネスだ」、「瞑想だ」と、我々はなりがちです。
もちろん、それが出来るのなら良いのですが、果たして皆さんは、瞑想をうまく行えますか？

ちなみに瞑想を否定はしません。ただ自身のことで言うと、これまで一度も瞑想をうまくやれたためしがありません。

それでも手を合わせて祈ることは、瞑想などとは違い、日本人なら誰でも習慣的に身に付いています。

ご先祖さまはもちろん、近しい親族に早く先立たれた方がいれば、その方を思い出し、今日も朝を無事迎えられたことに感謝する。
そして「どうぞ本日も、よろしくお願いします」と唱えるだけです。

ただこれも毎日続けると、確実に自分の内部に変化が生じてきます。

筆者はこれを、スピリチュアルのことを気にする以前からやっています。
これもやってみると、精神世界や自己啓発の書物をより深く理解できますし、自分のスピリチュアリティを、心で分かるようになります。なぜそうしなければならないのか？　
それはオグ・マンディーノもジェームズ・アレンも精神レベルがきわめて高く、彼らの作品を正しく理解するには、できるなら同等の精神性が求められるからでしょう。

３　「引き寄せ」には負の側面もある

もちろん「引き寄せ」も同じです。

今年3年目を迎えるこの先生が、毎朝祈っているかは分かりません。
ただ、ご先祖様からは愛重を受けやすい子に思えますし、先だっても、両親が都合で行けなかったお墓参りなども一人でこなします。

また小さな頃から彼女のことを知っていますが、彼女から一度も他人への誹謗中傷を聞いたことがありません。
それでいて、彼女は誰とでも朗らかに交流できます。

もし宇宙が「誰が次に導かれるか」と尋ねたら、筆者なら真っ先に彼女を推薦します。
彼女はそんな子です。

そんなこともあり、筆者を驚かせた子どもたちからの手紙は「彼女が引き寄せた現実では」と勝手に思いました。

しかし、少なくとも去年は違いました。
クラスの子どたちと言うより、特別支援級の先生との連携が思うように進まず、自分と子どもたちとのペースをうまく作れなかった。
その結果、精神的にもすっかり病んでしまい、学期末には新型コロナにも罹患します。

『「原因」と「結果」の法則』の冒頭に、次のような一節があります。

心は、創造の達人です。そして、私たちは心であり、思いという道具をもちいて自分の人生を形づくり、そのなかで、さまざまな喜びを、また悲しみを、みずから生み出しています。私たちは心なかで考えたとおりの人間になります。私たちを取りまく環境は、真の私たち自身を映し出す鏡にほかありません。
『「原因」と「結果」の法則』より

この文章自体もそうですが、実は「私たちは心なかで考えたとおりの人間になります。」という一節そのものが、「引き寄せの法則」のことを言っています。

ただ一概に「引き寄せ」といっても、良いことばかりを引き寄せるのではありません。
去年と今年、心は同じでも、昨年のようにネガティブな思考が際立つと、幾ら彼女でも悪い現実を引き寄せます。

これが「引き寄せ」の負の側面です。
その意味で「引き寄せ」とはまさに「創造の達人」です。

ではどうしたら良い現実を引き寄せられるか。
簡単に言うと「波動を整える」のです。そう考えると、毎朝祈ることが、どれだけパワフルなのかが分かります。

あまりに小さなことなのでずっと黙ってきましたが、毎朝祈ることがどれけ人生を変えるか。気になる方はやってみてください。