専門コラム 第204話 「どうすれば」ではなく「どうなれば」お客さまは買うのか?
最近はニュースレターのコラムを書くことが多くなっています。
せっかくの機会なので、年内はこの調子で進もうと思います。
もともとこの営業マン応援コラムは、営業が苦手な方に向けて始めたものです。
そして営業に対する苦手意識を取り払う意味でも、周囲の理解があれば、ニュースレターというツールは外せないだろうと考えていました。
ニュースレターについて書ける時は、その流れをなるべく止めずに書く。
これが筆者の本望です。
また前置きが長くなりましたが、
前の記事[1]では「相手がどういう状態になれば商品を購入するか」を考えて、ニュースレターが設計されていると、盛んに差し込みました。
というのも、これがニュースレターを書く上での重要なキーワードだからです。
「相手がどういう状態になれば商品を購入するか」 今日はこれについてコラムを進めていきます。
[1] 『オールラウンドに使えるニュースレターは来年も活躍できるか?』(2022.6.16投稿)
「どうすれば」ではなく「どうなれば」お客さまは買うのか?
1 ニュースレターは「理解、信頼、記憶」をベースに設計されている
「どうなればお客は買うのか?」という言葉。
これは、このコラムで何度も登場している【ドクターツール】小野博史氏の「とてつもなく長いランディングページ(『ニュースレター 成功事例[2]』)」の前半に出てきます。
この前の記事で、ニュースレターの「売り」にも「集客」にも使える「柔軟性・融通性」について、
「相手がどういう状態になれば商品を購入するか」を考えてニュースレターが設計されているから、と説明しました。
でも上の文章だけで、ニュースレターが「売り」にも「集客」にも使えることは、少しわかりにくいですよね。実はこのことを説明するのに、別のコラムを新たに起こさないといけないと思っていました。今日のテーマはそのための記事です。
ニュースレターの融通性を正しく理解するには「どういう状態になれば商品を購入するか」を詳しく説明する必要があります。
そこであらためて『ニュースレター 成功事例』に目を向けると、ページの前半のところで小野氏が力説する箇所が出てきます。
「どうなればお客は買うのか?」
これには「理解、信頼、記憶」が必要不可欠と、小野氏は言っています。
つまりニュースレターが「売り」にも「集客」にも使えるのは、お客さまから「理解、信頼、記憶」されることを念頭に、レターを書いています。
だからニュースレターは、営業・販売のあらゆる場面で融通が利く、また柔軟に使えるのです。 成功しているニュースレターに共通すること。
それは「理解、信頼、記憶」をベースに作られていることです。
そしてお客さまから「理解、信頼、記憶」されることこそ、相手にモノやサービスを売る上で欠かせないものと考えましょう。
[2] [ニュースレター 成功事例](http://www.drtool-1.com/honpen/)
2 「理解、信頼、記憶」してもらうことの難しさ
前項で、ニュースレターが「理解、信頼、記憶」をベースに書かれていることは分かったでしょう。ただ小野氏のページを今回初めて目にする方に、「理解、信頼、記憶」がどう意味を持つのか、分からない方がいて当然です。
「理解、信頼、記憶」というのは、小野氏が考え出した概念で、「どういう状態に置かれると人はモノを購入するか」を説明したものです。
ガスの場合、いったいどうなれば契約してくれるのか?
住宅の場合、いったいどうなれば契約してくれるのか?
まったく魅力の無い商品の場合でも、いったいどうなれば買ってくれるのか?
いずれの場合も答えはひとつ。以下のようなことを満たせば、お客は買います。→ お客が私のことをどんな人間かを、理解している。
→ お客が私のことを燃料に関するプロとして、信頼している。
→ お客が私のことをいつも、記憶している。あとは、他社と同等の商品さえあれば売れる。”
『ニュースレター 成功事例』から抜粋
ここで急な質問ですが、現在折衝中のお客さまがいたとします。
そのお客さまは、あなたをどんな人間か理解していますか。
またあなたを住宅のプロとして信頼していますか。
最後に、あなたのことを、常に記憶していますか。
そのように問うとしたら、些か不安がよぎらなかったでしょうか?
つまりプラン折衝を進めているお客さまでも、3 項目についてはそんなレベルです。
「理解、信頼、記憶」という、すぐ手に届きそうな担保もキープできない……
そう。人から「理解、信頼、記憶」してもらうことは、想像以上に難しいのです。
そしてここまでやって、もうひとつ気が付いたことがあります。
それは想像以上に難しい「理解、信頼、記憶」というものが、ニュースレターによって容易に作れるということ。
• あなたをどんな人間か理解できるのも、
• あなたを住宅のプロとして信頼できるのも、
• そしてあなたのことを、常に記憶していられるのも
全てニュースレターがやってくれます。
禅問答のようですが、ニュースレターは「理解、信頼、記憶」をベースに作られているからです
(もちろん、それには正しいニュースレターの作り方を共有していることが前提になります)
なお『ニュースレター 成功事例』の最後のほうで、小野氏は「理解、信頼、記憶」という 3 要素に加え「商品について語る」ことを入れています。 この「商品について語る」ことについては、別の記事にまとめる予定です。
3 視点は自分側ではなく、常に相手側に置く
最後に「相手がどういう状態になれば商品を購入するか」について注意点があります。
それは「視点」の問題です。
しかしある日、すべての悩みを解決するひとつのキーワードに、私は辿り着きました。
自分の今までの営業に対する考えを根底から覆すものであり、
コンサルタントの先生、上司、先輩、同僚、後輩など、あらゆる人たちのアドバイスには一度も出てこなかった考え方でした。それは「どうすれば売れるのか?」と考えるのではなく
『ニュースレター 成功事例』から抜粋
「どうなればお客は買うのか?」と考えるということです。
• 相手が「どうなればお客は買うのか?」(=視点が相手側)
• 自分が「どうすれば売れるのか?」(=視点が自分側)
視点が「自分側」では、おそらく現在のようなニュースレターは生まれなったでしょう。
それは自分側(売り手側)に視点を置くと、売り手にメリットがある手紙しか作れなくなるからです。
売り手にメリットがある手紙とは「営業都合で書いたレター」といってもいいでしょう。
反対に、視点が相手側に置いて書かれたレターこそ、私たちが目標とする「顧客に愛される」レターです。
ニュースレターというのは、本来セールスパーソンが絶対書かないタイプのレターとも言えます。
考えてもみてください。
ロクに自社製品の宣伝もしない、かといって自分のプライベートのことを気楽に書くレターを毎月決まったように出すこと自体、普通では考えられない方もいるでしょう。
しかしそのようなレターが、顧客から愛されるレターとなります。
このパラドックスを楽しめると、あなたのステージは一段上がり、営業が次第に面白くなっていきます。
そして何といっても——ライバルが売り上げて苦しんでいるときも——受注で困ることが無くなります。 皆さまの健闘を祈っています。
記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇
弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。
営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。
また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。