専門コラム 第370話 たった一枚のハガキでリストを教育した好例

前回書いた記事に
“またニュースレターでなくても、
こちらで発信する何らかのコンテンツで自分のリストを教育すると、
ほぼ「競合フリー」で戦えます。ここから言える安定受注のカギは、
文章や言葉で見込み客を教育する(囲い込む)ことと言えそうです”
というくだりがあります。
最近私が見聞きした皆さんとシェアしたいエピソードに、ニュースレターを使わず、自分のリストを教育することに成功した事例があります。
それは私の知人から聞いた(その知人も誰かから聞いた)話なのですが、もう少し具体的に言うと、それは一枚のハガキでした。
しかもそのハガキ、相見積もりで負けた見込み客に出していたものです。
その結果、負けた見込み客に出したハガキから、
年間 5,000 万ほどの売上を立てていたのです。
たった一枚のハガキでリストを教育した好例
あるリフォーム会社が出し始めた「お礼のハガキ」
その会社は社員数 5 名、
仲間として活躍されている職人さんが 7 名という規模の
リフォーム会社でした。
皆さんの中にも同じような規模で、
リフォーム会社を経営されている方も
多いのではと思います。
ただ先代の社長が若くして亡くなられ、
現社長(先代の息子さん)はまだ30代だそう。
しかしそんな中でも、このコロナの期間も売上的は順調に推移しており、
「コロナ前と比べて全然変わらなかった」と言います。
なぜ好調なのか?
ある方が質問を投げかけたところ、
現社長いわく、「一つは、やはり先代からの信頼が大きい」
と言っていたのです。
ただ、リフォーム事業を引き継ぐにあたって、
それとプラスしてやったことの一つとして
「お礼のハガキ」をあげていました。
「お礼のハガキ」というと、
一般的にはリフォーム工事を契約された方に出すのが通常でしょう。
しかしこの会社では、工事を契約された方はもちろんですが、
契約に至らなかった方、相見積もりで他社と成約した方にも
「お礼のハガキ」を出しているそうです。
しかもこの「お礼のハガキ」を、契約に至らなかった方、
相見積もりで他社と成約した方にも出そうと決めたのは、
現社長の奥さまだと言います。
断りのワケは人それぞれの事情がある
なぜ現社長の奥さまが、このような判断に至ったのでしょう。
お客さまの断りには、色んな種類の断りがあります。
その中にはご主人の、仕事のお付き合いの関係で、
どうしても断らなければならないケースもあるようです。
そんな事情があることを、あるお客さまからの手紙で知った奥さまは、
せっかく声を掛けて下さったのだから、
「お礼のハガキ」を出す相手を選別していたらダメと思い立ったそうです。
そこで契約に至らなかった方、見積もり競合で負けた方にも
「お礼のハガキ」を出すことにしたそうです。
そうしたところ、約 3 件に 1 件の割合で、
過去に断りを受けたお客さまから、この会社特命で
——ようは競合にまみれることなく——
リフォームのオーダーが入るようになったと言います。
(こういう奥さまがいらっしゃる工務店は、否応なく繁盛します)
皆さんもご存じのように、リフォーム工事というのは
壁を開けなければ実態が掴めないことも多く、
施主さんにも、見積もりの面で泣いてもらうこともしばしば。
そういう面では、新築工事とは別の難しさがあります。
そういう難しい環境で、この会社特命でリフォームの依頼が入る。 それがどれほどの信頼を受けてことか、
想像すれば分かるでしょう。
リストを無意識に教育するとその度合いが一層深まる
ここでもう一度、
“またニュースレターでなくても、
こちらで発信する何らかのコンテンツで自分のリストを教育すると、
ほぼ「競合フリー」で戦えます”
という引用文を引っ張り出しましょう。
このリフォーム会社でも、ほとんど無意識に、
自分のリストを教育したことになります。
どんな教育か。
それは、小さな会社が信頼の絆を獲得する過程といえば良いでしょうか。
そして、この奥さまにしても社長にしても、
何らかの成果を求めて「お礼のハガキ」を出してはいません。
このことが、自分のリストの教育をさらに深めていくのです。
それと同時に「営業イコール博打」という感覚を拭い去ってくれます。
以前、サンキューレターは
ダメになったお客さまにも出すといいと言いましたが、
皆さんはどのように受け止められたでしょうか。