専門コラム 第334話 「顧客のファン化」を促すレター戦略とは
最上のマーケティング的ゴールに、「顧客のファン化」というものがあります。
似たようなことは随分昔から言われていまし、もちろんこのコラムでもこのことは度々触れています。
手前事ですが、かつて現役だったころ飛び込み訪問の道すがら、自分がもしもどこかのアイドルグループのひとりだったら「少なくとも今よりドアを開けてもらえる回数は増えたはず」と、半ば真剣に考えたものです。
まあ、飛び込みの道中のことですから、よっぽど気がおかしくなっていたのでしょう。 しかしこの時の発想は、いま考えると「当たらずとも遠からず」です。
「顧客のファン化」を促すレター戦略とは
「顧客のファン化」は顧客との「接触頻度」で決まる
これも「顧客のファン化」では、ほぼ定説となっていることです。
それは、顧客にいくら満足のいくサービスを提供したところで、その方がそのお店のファンになってくれるとは限らないというもの。
しかし、満足のいくサービスを提供せずに、顧客がファンになってくれることはありません。
言い換えれば、満足のいくサービスはすべてのゴールの前提でしかないということです。
例えばオリコンの顧客満足度ランキングなどに、よくハウスメーカーランキングが掲載されているのをネット等で見かけます。
ただ上位にランキングされているメーカーが、ファン客を多く抱えているかと言えばそれは違います。
それでは何がファン客を育てるのでしょう?
それは取りも直さず、顧客との「接触頻度」です。
そのためでしょう。OB 客との懇親会や、アフターに関する定期訪問が定常的に行われているところ、あるいは力を入れている会社は、応援ファンの定着感がより強いと言えます。
またこの接触頻度には後でも触れますが、レターによる接触も含まれます。
営業レベルで「誰々ファン」のリストに多く抱えているのは、間違いなくニュースレターを定期発行し、さらに一定の読者層——ニュースレターを心待ちにしているファン——を抱えています。
こうして見ると、ハウスメーカーより地域工務店、大手の有名メーカーよりスモールビジネス、中小ビルダーの方が、ファン客を創出することに向いていることがわかります。 理由は簡単です。ファン化の仕組みそのものが、先ほどの「接触頻度」という、きわめて地味な努力の積み重ねでしかないからです。
会社が発行するニュースレターがあっても構わない!
ただ、ここで注意しなければいけないことがあります。
それは顧客との「接触頻度」を増やすことは、意外に経費を食い物にしてしまうという点です。
また、懇親会などの大掛かりなイベントに力を入れても、結局はその労力の大きさに企画倒れで終わることもあるでしょう。
そこで皆さんにお勧めしたいのが、さっきも登場したニュースレターの活用です。
これまでコラムでは、営業が書くニュースレターを勧めてきました。
しかしそれとは別に、会社が発行するニュースレターが、もちろんあって良い筈です。
会社が発行するニュースレターは営業が書くレターとは違い、何もハードコピーにこだわる必要もありません。というのも、ニュースレターの発信先はほとんどが OB 客です。ということはレターの届け先に、メールアドレスや LINE 等も使えるということです。
もちろん営業がバースデー・レターをハガキなどで送り、会社からはメールマガジンが届くというふうにしてもいいでしょう。
このようなお金の掛からない質素な方法でも、普通の会社があまり好まない——それゆえ、誰も真剣に取り組もうとしない——方法です。それゆえ「接触頻度」を増やす意味では、絶大なる効果を発揮します。
「見込み客のファン化」もニュースレターの効能
また「見込み客のファン化」という戦略において、営業にとってのニュースレターは、おそらく最強のものと、このコラムでは変わらず捉えています。
ですから、会社が発行するニュースレターがあったとしても——営業マンである以上——ニュースレターの発信は継続して取り組んで欲しいところです。
理由は色々あります。
ただこの文脈からひとつ引き出すとすれば、レター戦略というのは、通常なら人が忘れてしまうタイミングで、初めて出会った時の満足感が継続してしまうことにあります。
サンキューレターやニュースレターには、そうした役目を絶妙なタイミングで果たす機能が自動的に備わっています。それだからニュースレターは、業界を問わず、主にトップセールスと言われる人たちの間で、長い間、意識されてきました。
まだ取り組んでいなければ、いつからでも構いません。
ただ始めるなら、ライバルが躊躇しているうちに、発行に踏み切られることをお勧めします。
記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇
弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。
営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。
また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。