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専門コラム 第326話 展示場を中心とした営業の進め方【番外編】

 

「展示場を中心とした営業の進め方」という記事を、【基礎編】【応用編】【まとめ編】と、三つに分けて書き終えたところです。

ただ【まとめ編】で登場する「売らない」営業について、説明不足だったことは反省の言葉しかありません。そこで補足記事として、「展示場を中心とした営業の進め方」の番外編のつもりで、新たな記事を書き起こしました。

なお、内容は「即決型」から「フォロー型」営業への転換、そしてオートクラインとは何かということで、トピックを立てています。

営業にとって、住宅展示場は常に何かを試される場です。 営業の皆さまのご健闘を祈っています。

  

展示場を中心とした営業の進め方【番外編】

即決型(バブル期)からフォロー型(不況期)への転換

まず「売らない」営業方法の補足として、展示場来場者がアポを許諾するタイミングにあったかということを考えなくていけません。

アポを断った理由は、まだ建築業者を選定できる段階ではなかったとも考えられます。また着座のついても、単純に話が聞きたくて、たまたま座ったということも十分考えられます。

初回はどのように営業を掛けられても、とにかく断ろうと家族間で決めていたかもしれません。

このように考えていくと、展示場の即アポは、営業の技術的な問題というより、単に見学客のタイミングの問題と言えそうです。

特に平成のバブル期の前後を知る営業、また上司は、展示場営業でアポを取れなかったことを——自分を含めて——営業のせいにしがちです。しかし責めるならそこではありません。説得営業に走り、見込み客候補を潰すことはあってはなりません。

その意味で住宅営業は、とっくの昔に即決型(バブル期)からフォロー型(不況期)へと変わっていることを、もう一度肝に銘ずるべきです。

なお、いま決断するつもりがない方を深追い——または説得営業——したら、決断できる時期が到来しても、あなたには二度と声は掛かりません。反対に、深追いを止めてフォロー型に切り替える気があれば、あなたの顧客リストが生き返ります。

営業としては、即決型もフォロー型も、両方できるのが理想です。 ただフォロー型ができないと、営業はこれまで以上に苦労することになるでしょう。

 

あらためてオートクラインとは?

次に「売らない」営業を語る上で、オートクラインは外せません。

ただオートクラインについては、このコラムで初めて触れる言葉ではありませんから、ここでは要点だけを簡単に整理しておきます。

オートクラインは、医学用語の「Autocrine」に由来する言葉ですが、インターネットではコーチング界隈でよく登場します。

営業ではこの脳の基本性能の理解が非常に重要で、ネット以前からセミナーを中心に、トップクラスのセールスマンの間で共有されています。

オートクラインとは、簡単にいうと「人は考えている情報を言葉で出し、それを自分の耳で聞く作業を経て理解する」ということです。

身近なところでは、人から悩みの相談を持ちかけられ、こちらが懸命に話していると、ふと違う問題の解決方法に気づき、深く納得する場面がありませんか? これもオートクラインの作用です。

ここから導き出されるのは、人は「赤の他人の言うことを無視する」かわりに、「他人から説得されることを嫌う」ということです。

人は何らかのサジェスチョン、あるいは命令などを聞いて、行動を促されます。ただそれらが適切なもでなければ、心の中に反発を生みます。

そして重要な決定になると、細胞の「自己分泌」が働き、脳のオートクラインが作用します。 この脳の基本性質をコーチングやセールスに生かしたのが、いわゆるオートクラインです。つまり顧客をどんなに説得しても無駄だということ。それには、人は自分の言葉しか信じない基本性質があるということです。

  

「売らない」営業とは人の本質に沿った営業

それゆえ、深いところで人の心理を理解している営業は、総じて「聞き上手」です。

また優秀な営業ほど、質問と沈黙が的確です。

これはどの分野の営業にも言えます。

たとえば学習教材を飛び込みで売る訪問販売も、営業トークのシナリオにオートクラインの特性が生かされています。

彼らは、お客様が多く話すことでオートクラインが働き、アポ取得や成約への近道ということを無意識に知っています。

訪問販売の名手も売り込んでいるようで、実は売っていません。なぜなら、あからさまな売り込みは、ほとんどケースで拒絶や反発を受けるからです。

「売らない」営業とは、このレベルまでを含んでいます。

「売らない」営業と聞くと、「それは売ることから逃げているだけ」と勘違いする方もいるでしょう。

しかし「売らない」営業とは、決してそうではなく、人間の本質に沿った理論体系のことを言っています。

何も精神論を全否定するつもりはありません。ただ、どうせ営業という仕事を全うするなら、正しいやり方で目標に到達できたほうが、どれだけ効率的か知れません。

これでひとまず補足を終了します。 ここまで読んでいただき、大変ありがとうございます。

 

  

   

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。